「サイエンスカフェ鳥取2011」報告
平成23年8月27日(土)にスタートした、「科学遊び広場」主催のイベント「サイエンスカフェ鳥取2011」は、 月に一度のペースで、平成24年1月28日(土)まで6回開催されました。皆さまの参加とご協力ありがとうございます。
サイエンスカフェとは、従来の講演会・シンポジウムとは異なり、科学の専門家と一般の人々が、 喫茶店など身近な場所でコーヒーを飲みながら、 科学について気軽に語り合う場をつくろうというイギリス発祥の試みです。ケーキセットを楽しみながら、科学の面白さに触れることができたでしょうか。
ファシリテーターは「科学遊び広場」のメンバーである鳥取環境大学人間形成センター足利裕人が勤めました。
平成23年度鳥取市市民町づくり提案事業
「サイエンスカフェ鳥取2011」
●日程・講師・内容
日程 講師 テーマ・内容
第1回
8月27日(土)
鳥取環境大学_ 小林朋道教授

テーマ 「動物行動学から見た人間」
小林教授が昨年12月上梓した著書『ヒトはなぜ拍手をするのか 動物行動学から見た人間』(新潮選書,190頁)をベースに「動物行動学から見た人間」というテーマで説明した。?
「なぜ幽霊をこわがるのか?」,「並んで歩くカップルは、なぜ女性が左側になることが多いのか?」など,私たちの何気ない行動の「なぜ」を, 「人類史の中で蓄積された経験に基づく,生存・繁殖するための進化的な適応」という観点から,科学的に説明した。 笑いがまきおこったり,質問がとびかかったりした講義の2時間はあっという間に過ぎ,37名の参加者たちはケーキセットを囲みながら,小林教授の話に興味深く聞き入った。?

第2回
9月24日(土)
京都大学_辻健助教
テーマ:「プレート境界地震のしくみ:東北地方太平洋沖地震の発生メカニズムと南海トラフ地震への展望」
東日本大震災では,「東北沖のプレート境界が海底の浅い場所でずれたことによって派生する断層が動き,複合的に津波を大きくしたのでは」と説明。地震前後に海洋研究開発機構の友人潜水調査船「しんかい6500」が,宮城県沖周辺の海底を調査した結果,海底に多くの亀裂ができていることを発見した。海底面の隆起で津波が生じるが,今回は「海溝付近の浅い場所で大きなプレートのずれが生じ,さらに断層が動いたことで津波が大きくなったのでは」と分析した。さらに,今回の大震災が防災対策やよ防災などのさまざまな局面で見直しを迫る契機になっていると結論付けた。35名参加。




第3回
10月22日(土)

テーマ:「SFアニメと天文学」
福江純教授のアニメを通じた天文学への誘いに,時間が過ぎるのを忘れた。「ユニコーンの日」や「スコペロ」は遠心力による重力を用いたスペースコロニー。「銃夢」は宇宙エレベーターで,静止軌道から芥川の蜘蛛の糸を垂らす発想。「トップをねらえ!」はブラックホールの作り方が,「ノリコとお姉さま」ではブラックホール爆弾の話。会場からの質問に,ブラックホールに落ちていく物体からはX線が放出され,一度に多くの物体が吸い込まれるとジェットの放出が生じる。また,ブラックホールが突然攻めてくることは無いと解説された。「ドラゴンボールZ」の界王星は,重力が10倍であり,半径100m,質量15兆トン,密度3.5トン/m^3でできるので,白色矮星程度。「天空の城ラピュタ」の飛行石の反重力は今年のノーベル賞の宇宙の端の加速の原因であるダークエネルギーにつながっている。「涼宮ハルヒの憂鬱」は最終人間原理で説明。27名参加。





大阪教育大学_福江純教授


第4回
11月19日(土)

宇宙航空研究開発機構(JAXA)
宇宙科学研究所(宇宙研)
清水幸夫主任開発員

テーマ:「小惑星探査機「はやぶさ」の成果とこれからの小惑星探査」
広報担当の清水氏は,イオンエンジン開発の専門家でもある。はやぶさはエンジニアリング的目的が主であった。電気推進ロケットの性能や,はやぶさのカメラでの光学情報に基づく(地球からのコントロールを離れた)惑星間の自律航法,微小重力下でのサンプル採集,惑星間軌道からの直接地球大気圏再突入などである。はやぶさの科学的意義は,太陽系がいかにできたかを調べるため,サンプルリターンによって,始原天体を調べることで,太陽大気とC1コンドライト元素の比較である。また,地上に落下した隕石は落下時に熱変性を受けているため,太陽系の情報が完全には残っていない。はやぶさ2は,目標天体の上で爆破を行い,一皮めくって資料を採集する。化学エンジンではほとんど燃料タンクだけになり,打ち上げ重量が膨大になる。イオンエンジンの良さが実証された。次はC,Pタイプの惑星探査を行う。これによって生物がどこから来たかを探る。定員オーバーの46名参加。

第5回
12月10日(土)

神戸大学_中川和道教授

テーマ「福島原発事故を読み解く −原発事故から9ヶ月−」
福島1〜4号機には原爆2700発分のウランがある。日本は1年間に12万8千発の広島原爆分のエネルギーを使っている。事故が起きないのが不思議である。 新聞報道ではヨウ素やセシウムのことしか言われていない。他のストロンチウム等の危険性はどうか。漏れたセシウムは広島原爆の168倍。ヨウ素131は2.5倍。気体のXe,I,昇華性のCsを主に放出した。幸い海上に行ったものが多いが地上の汚染は深刻。セシウム137は日本中に広がった。 福島は事故当初1.5(神戸の3倍)μSv。 除染の効果はあるのか。3月 13日までは除染は1万3千cpmの22人に,14日からは10万cpm(ものすごい量)の人に行った。ソ連は住めないように屋根を破壊した。除染の最初の敵はヨウ素,次はCs134。 Csの入ってないヨウ素131は乳製品にして3年後に食べることは可。 Cs134の半減期は2年,Cs137は30年。つまり,事故当時の放射線量Cs134:Cs137=3:1で全体で4。2年後には1.5:1つまり全体で2.5に減少するため,除染しなくても政府の目標の2年後に放射線量は半分になる。 大気中の放射線は今はあまり無い。2号機の蒸気は2億ベクレル毎時,クリプトン,ヨウ素,セシウムが出始めている。スリーマイルは7日で閉じ込め,チェルノブイリは10日で閉じ込めた。Csが今後どのように流れるかが問題。海の汚染はゴカイからジャコからサンマまでの汚染が現状。9カ月でカナダに届く。日本への賠償問題が予想さえる。キザミサラダにすると基準無し。来年のしいたけは汚染がでそう。福島の原木には注意が必要。 身近にどこでも食品の放射線測定場所,個人の被爆検診場があるのが必要。生物は進化によってDNA修復能力を獲得してきた。 毎日100Bqのセシウム134を体重60kgの人が食べると1年間の被ばく量は0.66μSv/年。 Srが骨髄にとりついたら逃げていかない。Csはきのこに多い。粘土はCsを吸着するので水田は安全。参加者25名。

第6回
1月28日(土)
理化学研究所計算科学研究機構調査役
関口芳弘
テーマ「光がうまれるひみつ」
「シャープペンに電流を流すとどうなるでしょう?」と実験で始まり,4V,10Vと電圧が上がり,電気を流し,電子が激しく動くと光が生まれると説明した。次いで加熱した錆びた十円硬貨をアルコールで還元し,電子に触ろうという圧電素子を用いた百人おどしがあった。まもなく共用が開始する世界一のX線レーザー施設「SACRA」は,地盤が堅いので山に作られた。SACRAは電子ビームを磁石列が上下に並んだネオジム磁石のアンジュレータに通して,8GeVで加速してX線レーザーを生成する。この原理が動画を用いながら説明された。X線は反射させる鏡がないため,位相を揃えるのに,波長に沿って電子を並ばせる長い距離が必要だが,外国のものに比べ1/3の長さで実現した。たった一個の膜蛋白分子でも撮影できる。逆フーリエ変換には世界一のスパコン「京」(1100億円)がネットワークでつながれた。10.51ペタフロップスという京の速さは,京が1日でできる計算をCORE-i7パソコンでやらせたら200年を要するほどだ。今のパソコンは安定のとために9割使っているため,実際は2000年かかる。レーザーだから単色ではっきり見える。これからノーベル賞級の発見がどんどん生まれるであろう。最後に1円玉と10円玉を交互に重ねた77円電池で赤LEDを点灯させる実験を行った。錆びたコインでなかなか点灯しなかったのが,オキシフルを垂らしてまさに赤々と点灯した。子供向けに準備された解説と実験の組み合わせで,大変分かりやすかったと好評だった。参加者29名。
●各回共通事項
時間 14:00〜16:00
場所 cafe SOURCE (カフェ・ソース)
鳥取市弥生町227 グレースビル本通り2F TEL:0857-21-3457
(本通り駐車場1時間無料券あり)
参加費 1,000円(ケーキ・ドリンク付)
対象 小学生(高学年)以上〜大人   定員40名 (先着順)
主催 科学遊び広場
協力  NPO法人賀露おやじの会
申 込 方 法 下記問い合わせ先まで。
その際、氏名・連絡先 (メールアドレスまたは電話番号)をお知らせください。
問い合わせ先 鳥取環境大学 人間形成教育センター 教授 足利裕人
TEL:0857−38−6753(研究室直通)  090-6414-1218(留守電可)
E-mail:hashikaga@gmail.com