| ○こんな実験です 日よけのためのすだれが2枚重なると,重なった部分に暗い影の縞模様が生じます。すだれが風にそよぐと重なり方が変化して,この縞模様が太くなったり変形したりしておもしろいです。編み目のナイロン製トートバッグやベストなどを透かして見ると,重なり具合を反映した予期しない模様が見られます。また,デジタルカメラで細かな格子柄などを撮影すると、予期せぬ縞模様が映ってしまうことがあります。これらはモアレと呼ばれ,写真やテレビ画面などに生じるとやっかいものですが,製品の歪みの検査や,背骨がずれていないかなどの医療検査に利用されています。ここでは,アルミパンチ板という丸い穴が規則正しく開けられた板を2枚重ね,このモアレでできる丸い模様が距離によって大きさを変えることを利用した距離計を作ります。○こんなことが学べます 幾何学的に周期的な模様が重なると,モアレという縞模様ができることや,重なり方によってその模様の形が大きさが異なることが学べます。また,等間隔におかれた2枚の周期的編み目模様によってできるモアレ図形は,遠ざかるほど大きくなることが分かります。 ○こんな仕組みです モアレ縞の発生原理は、音のうなりに似ています。うなりは波長のわずかに異なる2つの音が重なり合って,お寺の鐘のグオーン,グオーンという長い周期の音の強弱を発生させます。音の波が強め合ったり,弱め合ったりしている様子に似ているので,干渉模様ともいわれます。 図1,図2のように,等間隔に平行な直線をたくさん引いた透明シートを2枚用意し,少し角度をずらして重ねると,直線の縞模様が現れます。重なる角度が大きくなるほど,縞の数が増えていきます。また,ゆっくり重ねても縞の動きは速くなります。これらは,小さな変化を大きく拡大する製品の精度の検査などに利用されています。 点の並びでも,編み目模様でも同じように規則的なモアレ図形が見えます。2枚の編み目を重ねるとそのズレに従ってモアレ縞ができます。もし,ある立体に網を被せておけば、別の網を平面上に張ることにより,モアレ縞によって立体の形が等高線で浮き出してきます。これは背骨の検査にも利用されている方法です。 図3は,ここでの距離計の原理図です。アルミパンチ板には,規則正しく同じ大きさの丸い穴が並んでいます。これを2枚数cm離して並べたものを距離計としました。距離計のアルミパンチ板に垂直な方向からのぞくとき,奥の板の穴を通った光が,手前の板の穴を通って見えるときは,明るい穴が見えます。しかし,奥の穴を通った光が手前の板で遮られる割合が多くなるほど,穴は暗く見えます。図3のように,距離計からとおざかるほど,明るい点が作る明領域と目が作る角度は大きくなり,距離計の大きさに対して観察される穴の数が少なくなります。この穴の数を数えることにより,目と距離計の間の距離を測ることができます。 |
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横1mの大きさのものを作り、第53回教職員発明展に応募したところ、日本弁理士会会長賞をいただきました。常陸宮様も、華子様も、興味深く質問されました。 これだけの大きさになると、アルミパンチ板が曲がって、なかなかまっすぐに並んだ回折パターンを得ることが難しくなります。でも、応募さらた作品の中で、自信を持って発明品(発見に基づく) |
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アルミパンチ板を重ねたとき。右側ほど2枚の板のすきまが大きくなっている |
![]() 図1 重なりの角度が小さいとき |
![]() 図2 重なりの角度が大きいとき |
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図3 観察位置によってモアレ図形(図の明領域)の大きさが変化する原理図 |
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○準備しよう 板(10×30×0.5cm 2枚,10×14×0.5cm),アルミパンチ板(BA-3 20×30cm),両面テープ,セロハンテープ,ノコギリ,アクリルカッター,はさみ,平やすり、巻尺 ○入手先 アルミパンチ板:ホームセンター |
アルミパンチ板をアクリルカッターで切断する |
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| ○作ってみよう @ アルミパンチ板(BA-3)は1mm間隔で,丸い穴が最密になるように規則正しく開けられています。この板の中央を,アクリルカッターにより切断し、平やすりで切断部分を滑らかにします。 A ノコギリで側板と底板を切り出します。 B 側板とアルミパンチ板を箱型に組み両面テープではり合せます。底板を両面テープではります。 C 背面のアルミパンチ板に合わせて和紙を切り、セロハンテープで止めて距離計の完成です。 ○製作の注意 @ モアレパターンは観察される円の並びが斜めに傾かないように,組み立てるときに微調整してください。 A 後ろにはる和紙は,しわがないようにします。しわがあるときは,湿らせてガラス窓などにはって伸ばします。 B アルミパンチ板は,曲がるとモアレパターンが歪みます。注意してください。 |
組み立て図 |
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背面に和紙をはる |
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距離によるモアレパターンの見え方の例 |
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| ○観察の仕方 距離計の前面に見られる円形のモアレパターンの数を数えることにより,目と距離計までの距離を知ることができます。 あらかじめ巻尺で距離を測りながら,その位置で観察されるモアレパターンの数の関係を調べます。観察するときは,目と距離計の中心とが水平になるようにします。観察される円形のモアレパターンの数と、距離の関係をグラフにしておくと便利です。距離計の周囲が暗いときは,背面に蛍光灯などの光源を置くといいです。 ○こんなこともできるよ 大きなアルミパンチ板を使うと、より遠くの物体との距離を測ることができます。双眼鏡を補助にすることもできます。 |
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1m離れて見たとき |
○開発の経緯 オフィスの衝立がたまたま2枚重なっていて,顔を前後に動かすと,衝立の下の丸いモアレパターンが大きくなったり小さくなったりすることに偶然気が付きました。これは,一定の長さの中に見える円の数を数えると距離計として使えるのではないかと考え,この装置を作ってみました。 平成15年度教職員発明考案懸賞募集では奨励賞でした。副賞1万円と盾,参加賞の電波時計をゲットしました。 平成16年8月7,8日に大阪教育大学で開かれる物理教育学会全国大会で発表の予定です。 |
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9m離れて見たとき |
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