第70回:50000系「しまかぜ」

 鉄道ファンでなくとも、一目見るだけで乗りたくなってしまう魅力ある系列だと思います。富吉検車場から名古屋へ向かう回送列車。折り返し賢島行きとなります。 名古屋線近鉄蟹江〜戸田間。  2013(平成25)年3月24日撮影。 

 2013(平成25)年の伊勢神宮式年遷宮(20年ごとに実施)に合わせて登場した新しい観光特急車。「しまかぜ」の愛称で知られています(*1)。ク50100(Tc)−モ50200(M)−モ50300(M)−サ50400(T)−モ50500(M)−ク50600(Tc)の6両編成で、ク50100、50600はハイデッカーのプレミアムシート車、モ50200、50500がプレミアムシート車、モ50300には定員6名のサロン室3室と定員4名の和風個室と洋風個室各1室、サ50400は二階建て構造で、カフェと売店が入っており、形式を「サシ」としてもよいのではと思える車両です。プレミアムシートは全て2+1列の横3列の本革張り、フットレスト・レッグレスト付きの電動リクライニングシートで、シートピッチは1250oとなっています。6両編成の定員は146名。同じ6両編成の23000系「伊勢志摩ライナー」が273名、21000系「アーバンライナーPLUS」が6両時で306名ですので、サ50400形が定員0名のフリースペース車であることを考えても、いかにゆとりのある客室構成であるかが分かります。(*2) 先頭車の正面は6枚のガラスで構成された特徴ある形状で、中央下部分は、はね上げて非常口として使用できます。
 性能的には21020系や22600系とほぼ同じで、台車はKD-320(M車)、KD-320A(Tc.T車)で、乗り心地向上のために近鉄で初めてフルアクティブサスペンションを採用しています。主電動機はMB5097B(出力230kw)です。また、将来的に中間(サ50400とモ50500の間)に2両増解結することができるよう、この2両の間は電気連結器付きの密着連結器となっています。
 2013(平成25)年3月に、6両編成2本が大阪難波〜賢島及び近鉄名古屋〜賢島間の特急としてデビュー。好評により2014(平成26)年には1編成を増備して京都〜賢島間にも就役しました。お召列車として皇族の伊勢神宮参拝にも複数回使用されています。
 2020(令和2)年には名阪甲特急を中心に運用される80000系「ひのとり」が登場しましたが、今後も伊勢志摩方面への観光特急の代表として活躍が期待されます。なお、50000系は鉄道友の会から平成26年度のブルーリボン賞を授与される栄に輝いています。

(*1)「しまかぜ」の漢字表記は「志摩風」ですね。旧日本海軍の高速駆逐艦「島風」を連想してしまったのは私だけでしょうか?
(*2)実質5両編成としても146÷5=29.2。1両あたりの定員は30名を下回ります。

 50000系の特徴の一つであるカフェ車サ50400形。近鉄伝統の二階建て車が組み込まれたのは、地元のファンとしても嬉しいです。  名古屋線富吉〜近鉄蟹江間。 2019(令和元)年7月13日撮影。

50000系の略歴

2012(平成24)年…12月、近畿車両で6両編成2本が製造される。
2013(平成25)年…3月、大阪難波〜賢島、近鉄名古屋〜賢島間の「しまかぜ」として営業運転開始。
2014(平成26)年…8月、近畿車両で6両編成1本が製造される。インパウンド需要に対応してWi-Fiが設置され、モ50300の和風個室の内装が変更される。Wi-Fiは平成24年製造の2編成にも設置。10月から、近鉄京都〜賢島間で営業運転開始。

 田園地帯を快走する50000系。前頭部に2014(平成26)年度ブルーリボン賞受賞記念の装飾が取り付けられています。 名古屋線佐古木〜近鉄弥富間。  2014(平成26)年9月28日撮影。

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参考文献
このページの作製にあたって、以下の文献を参考にさせていただきました。

『鉄道ピクトリアル』2018年12月増刊号(近鉄特集) 鉄道図書刊行会
『近鉄電車』三好好三著 JTBパブリッシング