第29回:1600系

津島線甚目寺〜須ヶ口間。 1999(平成11)年6月13日撮影。 

 津島・尾西〜西尾線系統に残っていた7000系特急を置き換えるために登場した系列です。名鉄の特急車としては初のVVVF制御車・3両固定編成となりました。また、7700系以来久しぶりの前面貫通形を採用しています。将来の中部国際空港連絡特急(2004年に2000系として登場)の試作車的な要素も持ち合わせた系列でもあり、1601Fには空気バネによって曲線通過時に車体を2度傾けることができる、車体傾斜制御装置を取り付けています(*1)。貫通扉には「パノラマSUPER」の表示がありますが、客席からの前面展望がきかないのは個人的には残念です。Tc(ク1600形)-T(サ1650形)-Mc(モ1700形)の1M2T編成で、モーターは出力200kwの強力なものが採用されています(*2)。
 性能的には通勤車3100系をベースとしたIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)素子を用いたVVVF制御車で、回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキを採用したため、1000系など空気指令式ブレーキ車との併結は不可能です。
 車内はシートピッチ1000mmのテーブルつきリクライニングシートを配置し、バリアフリーに配慮して車いす対応トイレや一定時間開放可能な仕切り戸が採用され、扉も幅1000mmの両開き扉となっています。また、名鉄で初めて自動車内放送装置を取り付けました。
 自動解結幌を採用した正面貫通形ですが、自動解結幌は使用されず、主に津島・尾西〜西尾線特急や犬山線の特急などで活躍を続けました。
 2008(平成20)年6月29日のダイヤ改正によって、全車定期運用から離脱、モ1700形とサ1650形の2両は方向転換の上1700系と改称され、新造される一般席特急車4連(2300系2330番台)と併結して6両固定編成に再編されました。塗装も2200系と似たものに変更されて、一部特別席車特急として新たなスタートを切ることになります。ク1600形については、登場から10年を経ずに廃車となりました。
 1601.1602Fは東芝製の、1603.1604Fは三菱製のVVVF制御器を使用しています(*3)。

(*1) 車体傾斜制御装置はあくまで試験用で、営業運転時には使用されていません。この他にも、3両固定編成、前面貫通、客用扉の両開きなど、(製造当初の)2000系と共通する仕様が目立ちます。1600系が登場して間もない時期に、名鉄社員の方から「将来は空港特急の補助的車両として使用する予定。」というお話を伺いましたが、結局所期の目的で使用される機会がほとんどないまま1700系への改造を迎えることになりました。
(補足)『名古屋鉄道車輌史 下巻』(清水武 田中義人著 アルファベータブックス刊)によれば、中部国際空港開港直後の多客期に、3+3の6連で空港特急の運用に入ったことがあるそうです
(*2) 2000系は2M1T編成(M車はモーター3基のため、実質は1.5M1.5T編成)で、モーター出力は3100系などと同じ170kw、ギア比も通勤車と揃えられました。滑走・空転への対応のためだそうです。2000系は後に4両化されましたが、増備車モ2150形(M1)はモーター2基となっています。
(*3) もし近鉄だったら、間違いなく1600系・1603系と形式が分けられているでしょう。

1600系の略歴
1999(平成11)年…日本車輌で3両編成4本を製造。

2008(平成20)年…6月28日限りで運用離脱。7月13日に三河線でさよなら運転実施。8月18日付でク1600形1601〜1604は廃車。モ1700-サ1650は方向転換の上1700系と改称、2300系(2330番台)と編成を組んで一部特別車特急に使用。

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参考文献
このページの作製にあたって、以下の文献を参考にさせていただきました。

『まるごと名鉄ぶらり沿線の旅ver.3DX』 徳田耕一著 七賢出版(2002年初版発行)
『まるごと名鉄ぶらり沿線の旅』 徳田耕一著 河出書房新社(2004年初版発行)
『名鉄パノラマカー』 徳田耕一著 JTB

『鉄道ピクトリアル』2006年1月臨時増刊号 (特集:名古屋鉄道) 鉄道図書刊行会