第72回:300系

デビュー間もない頃の300系。上飯田行きの表示も貴重な記録となりました。 
小牧線犬山〜羽黒間。 2002(平成14)年5月3日撮影。 

 小牧線と名古屋市営地下鉄上飯田線との直通運転用に製造された系列です。日本車両で2002(平成14)年2〜4月に第1次車として4両編成4本、4月に第2次車4両編成4本の計8編成が製造され、平安通方から、ク310(Tc1)-モ320(M2)-モ330(M1)-ク340(Tc2)の2M2T編成となっています。名鉄初のステンレス車体(前頭部は鋼製)の系列で、ブロック構体を用いています。また、側窓は固定式(中央部のみ下降式)で窓ガラスにはUVカットガラスを採用して室内のカーテンを省略しています。座席は扉間ごとにロングシートと転換クロスシートを交互に配置して、ラッシュ輸送と昼間時の快適輸送の両立を図りました。バリアフリー対策として、握り棒はローズピンク色とし、乗降口ステップにレモンイエロー色のラインをつけて視認性を向上させています。また、車いすスペースを先頭部の側扉中央よりに設けています。側扉上部には、LED式案内表示装置を取り付け、ドアチャイム車外スピーカーも設置しました。側扉は名鉄初の電気式ドアエンジンを採用しています。
 制御方式は回生ブレーキ付きベクトル制御で、IGBTインバータ装置は三菱製(モ320形:MAP-174-15V100 モ330形:MAP-174-15V99)、電動機も三菱製(MB-5095-A)で、名鉄初の押し込みファン式の自己通風形を採用、名鉄1500V線区では初のWN継手を使用しています。編成中に1台、純電気ブレーキも採用しています。制動装置は電気指令式で、右手操作のワンハンドルマスコンを採用、滑走防止装置、耐雪ブレーキも装備しています。冷房装置(RPU-6018:21000kcal/h)は各車2台ずつ装備し、年間を通して全自動空調制御となっています。
 車両情報管理装置TICSも初めて採用、相互直通運転に備えて上飯田線内用のATC機器や名古屋市交通局の誘導方式列車無線、ワンマン運転用の対列車映像伝送装置やホームドア制御装置等も搭載しています。これまでに「名鉄初」という言葉が何度か使われましたが、この系列においては名鉄では初めて採用された技術が多く、その後の車両の標準を決定していくことになります。
 第2次車は基本的に1次車と同じ仕様ですが、制御装置が東芝製(モ320形:SVF059-B0 モ330形:SVF059-A0)、電動機が東洋製(TDK6382-A)に変更されました。
 小牧線と上飯田線の直通運転は2003(平成15)年3月27日に開始され、名古屋市交通局7000形とともに犬山〜上飯田間の直通運転に活躍しています。

300系の略歴

2002(平成14)年…2〜4月、日本車両で4両編成4本を製造(第1次車)。4月中にさらに4本を製造(第2次車)。両者の違いは制御装置と電動機のメーカー。1次車は両者とも三菱製、2次車は制御装置が東芝、電動機が東洋製。

2003(平成15)年…3月より名古屋市営地下鉄上飯田線と相互乗り入れ開始。ワンマン運転も実施。

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参考文献
このページの作製にあたって、以下の文献を参考にさせていただきました。

『鉄道ピクトリアル』2006年1月臨時増刊号・2009年3月臨時増刊号(いずれも特集:名古屋鉄道) 鉄道図書刊行会