第62回:初代3300系(モ3300形.ク2040形.モ3600→モ3350形.ク2340形。後の豊橋鉄道先代1800系ほか)

 豊橋鉄道先代1800系として活躍していた、旧名鉄3300系。3扉化改造は豊鉄転入後に実施されました。このモ1851は、元ク2343の車体に国鉄クモハ14形の部品を組み合わせて電装したものです。名鉄時代の画像でない点はご容赦願います。 豊橋鉄道高師駅構内。 1993(平成5)年7月26日撮影。


 愛知電気鉄道(現 名鉄名古屋本線神宮前以東などの母体となった鉄道会社)が、1928(昭和3)年に特急用として製造した車輌。両運転台のデハ3300形6輌、片運転台のデハ3600形4輌、制御車サハ2040形5輌(*1)が製造されました。2扉でゆったりとした固定クロスシートを装備した車輌で「大ドス」という愛称(*2)を持ち、これを使用した神宮前〜吉田(豊橋)間の超特急「あさひ」は同区間を57分で結びました。戦後ク(サハ)2040形は電装されてモ3610形となりましたが、1952(昭和27)年の番号整理で、モ(デハ)3600形とともにモ3350形と改称されています(*3)。また、モ3350形のうち5両は電装解除されて、ク2340形と改称されました。
 長らく名鉄1500V線区各線で活躍を続けてきましたが、1966(昭和41)年から翌年にかけて廃車、機器類は3780系に再利用され、車体は大井川鐵道、北陸鉄道、豊橋鉄道へ譲渡されました。これらの各鉄道では手持ちの機器や国鉄の廃車発生品を利用して再起しましたが、最後まで残った豊橋鉄道の先代1800系が1997(平成9)年に姿を消しました。

(*1) 愛知電気鉄道では、Tc車も「サハ」と称していました。
(*2) 残念ながら「大ドス」の由来はわかりませんでした。どなたかご存じの方がいらしゃいましたら、弊掲示板かメールにてお知らせいただけると幸いです。
(*3) 余談ながら、初代モ3350形はこの時の番号整理でモ3600形と改称しています。HL制御車を3300番台までに、AL制御車を3400番台以降に分けるための措置だったのではないでしょうか。

初代3300系の略歴

1928(昭和3)年…日本車輌で愛知電気鉄道デハ3300形6輌、デハ3600形4輌、サハ2040形5輌を製造。車体色はマルーン。乗務員扉の助士席側は、小荷物輸送の便を考えて710mm幅の引き戸を採用。

1930(昭和5)年…9月20日より吉田(現 豊橋)〜神宮前間を57分で結ぶ超特急「あさひ」運転開始。表定速度は62.5km/h。

1935(昭和10)年…愛知電気鉄道は名岐鉄道と合併し、名古屋鉄道となる。名古屋鉄道モ3300形、モ3600形、ク2040形と改称。車体色をダークグリーンに変更。戦時中にロングシート化される。

1947(昭和22)年…ク2040形5輌全車を電装。モ3600形3605〜3609と改称。

1948(昭和23)年…モ3301.3304を焼失。昭和26年に廃車。モ3305.3306をそれぞれ3301.3304と改称。

1950(昭和25)年…モ3605〜3609をモ3610形3611〜3615と改称。

1952(昭和27)年…モ3600形をモ3350形モ3351〜3354と改称。モ3353(3603の戦災復旧車)のみ運転台を上り向きに変更。モ3610形もモ3350形に編入され、モ3355〜3359と改称。

1965(昭和40)年…モ3351.3352.3354〜3356の5輌を電装解除。ク2340形2341〜2345と改称。

1966(昭和41)年…9月、モ3302.3303.ク2344廃車。11月、モ3353.3358.ク2341〜2343.2345廃車。機器類は3780系に再利用。

1967(昭和42)年…1月、モ3301.3304.3357.3359廃車。形式消滅。機器類は3780系に再利用、車体は大井川鉄道、北陸鉄道、豊橋鉄道へ譲渡され、各鉄道手持ちの機器や国鉄車の機器を組み合わせて再起する。

初代3300系と譲渡先での新旧番号対照

モ3301→北陸鉄道モハ3773
モ3302→大井川鉄道モハ309
モ3303→北陸鉄道モハ3772
モ3304→北陸鉄道モハ3771
モ3353→北陸鉄道クハ1722
モ3357→豊橋鉄道モ1802
モ3358→豊橋鉄道モ1801
モ3359→大井川鉄道クハ508
ク2341→北陸鉄道クハ1723
ク2342→北陸鉄道クハ1724
ク2343→豊橋鉄道モ1851
ク2344→北陸鉄道クハ1721
ク2345→豊橋鉄道モ1852

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参考文献
このページの作製にあたって、以下の文献を参考にさせていただきました。

『名鉄』 白井昭・白井良和・井上広和共著 保育社(1981年初版発行)
『まるごと名鉄ぶらり沿線の旅 ver.2』 徳田耕一著 七賢出版(1998年初版発行)
『鉄道ピクトリアル』1996年7月臨時増刊号 (特集:名古屋鉄道) 鉄道図書刊行会
『鉄道ピクトリアル』2003年1月臨時増刊号 (特集:名古屋鉄道) 鉄道図書刊行会
『名古屋鉄道』(復刻版私鉄の車両11) 飯島巌・白井良和・井上広和共著 ネコ・パブリッシング(1985年に保育社より初版発行。2002年復刻)