第36回:3600系

 もともとは、「いもむし」こと3400系に続くロマンスカー、3450系(モ3450、ク2450)として計画された車両です。しかし、戦時体制に入ったために車体や制御器など一部を変更し、1941(昭和16)年に両運転台つきのモ3350、片運転台のク2050(他に片運転台のモ3650…第15回)として登場しました。ただし、3500系(第14回)と違って、2扉で転換クロスシート車装備という当初の計画に近い姿で登場することができました。
 戦時中も一部のシートを撤去したのみでロングシート化は行われませんでした。その点が幸いして戦後すぐに3400系などとともに優等列車や団体列車に活躍することになります。
 1952(昭和27)年の番号整理で、モ3350→モ3600、ク2050→ク2600と改称されて、これ以降3600系を名乗ることになりました(*1)。1955(昭和30)年には1500Vと600Vの複電圧車に改造、当時は架線電圧が600Vだった西尾線や蒲郡線、広見線などへ直通運転を行い、塗装も赤クリームとチョコレートのツートンカラーに改められました。この複電圧仕様は、前記の各線が1500V化された1965(昭和40)年まで続きました。
 その後、塗装をストロークリームに赤帯、スカーレット一色と改めながらも本線系各線で活躍を続けてきましたが、1987(昭和62)年までに全車廃車となりました。

(*1) 同時に1928(昭和3)年製のモ3600形がモ3350形と改称されており、なかなかややこしいことになっています。HL制御車を3300番台までに、AL制御車を3400番台以降に分けるための措置だったのではないでしょうか。

 春爛漫の天白川橋梁を渡る。右側のMc車はもと両運転台車であったことがわかります。 名古屋本線本星崎〜鳴海間。 1985(昭和60)年4月20日撮影。 


 高運転台化されたク2600形。晩年は、このタイプの車両のみになってしまったのが残念でした。 名古屋本線東岡崎駅。 1985(昭和60)年12月撮影。

3600系の略歴
1941(昭和16)年…日本車輌で両運転台Mc車モ3350形4輌、片運転台Tc車ク2050形4輌(他に片運転台Mc車モ3650形2輌)を製造。

1952(昭和27)年…形式整理により、モ3350形→モ3600形、ク2050形→ク2600形と改称。

1955(昭和30)年…600/1500Vの複電圧化工事実施。

1964(昭和39)年…扉付近のロングシート化実施。

1965(昭和40)年…複電圧機器を取り外し、1500V専用に戻る。

1983(昭和58)年…3月、3604Fが廃車。

1984(昭和59)年…8月、3603Fが廃車。

1986(昭和61)年…9月、3602Fが廃車。2輌とも蒲郡線東幡豆駅近くのパターゴルフ場の事務所・クラブハウスとして再利用。

1987(昭和62)年…1月、3601Fが廃車。形式消滅。

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参考文献
このページの作製にあたって、以下の文献を参考にさせていただきました。

『名鉄』 白井昭・白井良和・井上広和共著 保育社(1981年初版発行)
『まるごと名鉄ぶらり沿線の旅』 徳田耕一著 七賢出版(1995年初版発行)
『鉄道ピクトリアル』1996年7月臨時増刊号 (特集:名古屋鉄道) 鉄道図書刊行会
『私鉄電車ガイドブック4』 東京工業大学鉄道研究部編 誠文堂新光社
『名古屋鉄道』(復刻版私鉄の車両11) 飯島巌・白井良和・井上広和共著 ネコ・パブリッシング(1985年に保育社より初版発行。2002年復刻)