第42回:3730系

三河線への送り込みを兼ねた急行運用につく3741Fほか。 名古屋本線堀田駅。 1987(昭和62)年6月撮影。 

 第41回で登場した2代目3700系に続いて登場した、車体更新車です。大正末期〜昭和初期に登場したモ3200形(旧愛知電気鉄道 電7形/第32回参照)、モ910形(旧知多鉄道デハ910形)などの機器類を流用して、車体を新製しています。2代目3700系の増備車といえますが、踏切事故対策として運転台は高運転台化され、ラッシュ輸送に備えて扉も1400mm幅の両開き(*1)となりました。1964(昭和39)年から1966年にかけてモ3730形33輌とク2730形32輌の合計65輌(*2)が登場しています。当初は40編成が計画されていたそうですが、本来3764F以降となるはずだった6編成は転換クロスシート車として完成、3770系と別形式になっています(*3)。もっとも1969(昭和44)年以降、3752F〜3763Fも転換クロスシート化されているため、3730系と3770系を分ける意味はなくなってしまいました。また、ク2762は1973(昭和48)年頃に転換リクライニングシートの試験車となったことがありますが、これはほかに普及することなく終わっています。
 登場以来支線区を中心に運用され、支線直通特急に使用されたこともあります。塗装もデビュー時のチョコレート+赤クリームから、一部編成のライトパープル一色、クリームに赤帯を経て、スカーレット一色と変化してきました。1981(昭和56)年には3755Fが豊橋鉄道に譲渡されて同社の1750系となり、渥美線が昇圧される1997(平成9)年まで使用されました。
 永年に渡って三河線などで活躍を続けてきましたが、平成時代に入ってから廃車が目立つようになり、1996(平成8)年に形式消滅しました。なお、一部は、AA基準化工事を受けて瀬戸線へ転属しましたが、こちらは1990(平成2)年までに廃車となっています。

(*1)資料によっては1300mm幅両開き扉としたものもありますが、『私鉄電車ガイドブック4』(誠文堂新光社)掲載の図面では1400mm幅になっているので、それに従いました。
(*2)モ3749は2代目3700系のMc-Tc化によって余剰となったク2702を相棒としたために、3730系ではTc車が1輌少なくなってます。なお、ク2749は最初から欠番でした。
(*3)3730系は33編成、3770系は6編成ですので、合計は39編成ですが…まあ、あくまで「計画」ですから。また、車体更新の順番の都合か、先に3765.3767.3769Fが出場していましたが、この3編成は1966(昭和41)年に欠番を埋める形でそれぞれ3760.3762.3759Fに改番されています。なお、3730系クロスシート車は全て2人がけのシートを採用していましたが、3770系はラッシュ対策のため扉付近車端側の4カ所のみ1人がけシートとしていました。


 豊橋鉄道の1750系となった元3755F。 足回りは旧型国電のものを組み合わせています。1990(平成2)年には低運転台化・冷房化などの改造を受け、1997(平成9)年の渥美線1500V昇圧まで活躍を続けました。 
 豊橋鉄道渥美線高師〜大学前間。 1993(平成5)年7月撮影。

3730系の略歴 
1964(昭和39)年…日本車輌で製造開始。1966年までにMc車モ3730形33輌、Tc車ク2730形32輌を製造。

1966(昭和41)年…3770系登場に伴う番号整理を行い、欠番を埋める。3765.3767.3769Fを、それぞれ3760.3762.3759Fに改番。

1969(昭和44)年…3752F以降の編成を転換クロスシート化する。

1973(昭和48)年…ク2762に転換リクライニングシートを装備するが、試用のみに終わる。

1981(昭和56)年…9月、3755F廃車。車体は豊橋鉄道へ譲渡され、同社の1750系となる。3752F.3753F.3754F.3756Fは、AA基準化工事を行い瀬戸線へ転属。

1988(昭和63)年…11月、3743F廃車。

1989(平成元)年…6月、モ3749は相棒のク2702とともに廃車。

1990(平成2)年…6月、3753F.3754F.3756F廃車。7月には3752F、10月に3731F.3736F.3738F.3744F.3745Fが廃車となる。

1991(平成3)年…10月、3732F.3733F.3737F.3741F.3746F.3761F廃車。

1994(平成6)年…5月、3739F.3740F.3748F.3759F廃車。

1995(平成7)年…7月、3742F.3760F.3762F.3763F廃車。8月には3734F.3750Fも廃車となる。


1996(平成8)年…3月、3735F.3747F.3751F.3757F.3758F廃車。形式消滅。

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参考文献
このページの作製にあたって、以下の文献を参考にさせていただきました。

『名鉄』 白井昭・白井良和・井上広和共著 保育社(1981年初版発行)
『名鉄』 白井良和・諸河久共著 保育社(1989年初版発行)
『私鉄電車ガイドブック4』 東京工業大学鉄道研究部編 誠文堂新光社
『名古屋鉄道』(復刻版私鉄の車両11) 飯島巌・白井良和・井上広和共著 ネコ・パブリッシング(1985年に保育社より初版発行。2002年復刻)
『まるごと名鉄ぶらり沿線の旅』 徳田耕一著 七賢出版(1995年初版発行)
『まるごと名鉄ぶらり沿線の旅ver.2』 徳田耕一編著 七賢出版(1998年初版発行)
『鉄道ピクトリアル』1996年7月臨時増刊号 (特集:名古屋鉄道) 鉄道図書刊行会
『鉄道ダイヤ情報』各号 交通新聞社
『鉄道ジャーナル』各号 鉄道ジャーナル社