第25回:5200系

 5000系(第5回で登場)に続いて登場した特急車。Mc-Mcの2輌編成となり、車体はパノラミックウインドウを備えた前面貫通形にモデルチェンジ、車体の裾も直線状となりました。また、窓は一段下降窓を採用しています。本線特急はもとより、2輌編成の身軽さを生かして支線区への直通運転にも使用されました。1964(昭和39)年には、5000系の中間車であるモ5150を組み込んで4輌編成となっています(5209Fを除く)。
 5000系と同様に5200系も、昭和40年代には外部塗装をめまぐるしく変えました。[製造時:チョコレート+赤クリーム、昭和41年以降:ライトパープル一色(*1)、昭和42年以降:ストロークリームに赤帯、昭和43年以降:スカーレットに白帯、昭和45年以降順次:スカーレット一色]
 同系の大きな特徴であった一段下降窓ですが、雨水の浸入による車体の腐食が問題となったため1978(昭和53)年から特別整備が実施され、上段下降・下段上昇のユニット窓となりました(*2)。
 30年近くにわたって本線系の各線で活躍してきましたが、非冷房車だったのが災いしてか1986(昭和61)年から翌年にかけて全車廃車となっています(*3)。機器類は5300系に、車体は豊橋鉄道に譲渡されて同社の1900系に生まれ変わりました。
 
(*1) 5200系は必ずしも全編成がライトパープル塗装にはならなかったようです。弊サイトとリンクしていただいている、「思いで鉄道探検団」内にある「総天然色の名鉄」のページには、1968(昭和43)年撮影のチョコレート+赤クリーム塗装の5200系画像がアップされています。1968年の時点でこの塗装が残っていたということは、少なくともこの編成はライトパーブル化されなかった証拠になります。
(*2) 国鉄も下降窓の雨水侵入には苦心したようで、一段下降窓車として製造されたサロ165やキロ28などでも、ユニット窓に交換した例が見られました。
(*3) 5200系の2年後に登場した冷房車5500系(第1回で登場)が2000(平成12)年まで全車健在を誇り、2005年1月まで現役であったことを考えると、「冷房有無の差はとてつもなく大きかった。」ということがわかります。

 2輌編成のままで生涯を過ごした5209F。 名古屋本線須ヶ口駅。 1985(昭和60)年10月10日撮影。 


 事故のため、復旧時に高運転台化されたモ5202。もともとは5000系の中間車だった、モ5150形との車体断面の違いもよく分かります。 名古屋本線ナゴヤ球場前。 1986(昭和61)年5月4日撮影。

 5200系の車体に、国鉄101系の機器類を組み合わせて登場した豊橋鉄道1900系。冷房化も実施されました。画像のモ1902は元モ5211です。なお、ひとつ上の画像にあるモ5202の車体も豊鉄モ1953として再起しましたが、運転台窓の高さは他車と同様に揃えられています。豊鉄渥美線が1500Vに昇圧された1997(平成9)年まで、渥美線の主力系列として活躍を続けました。
 豊橋鉄道渥美線高師〜大学前間。 1993(平成5)年7月撮影。 

 

5200系の略歴
1957(昭和32)年…日本車輌でMc-Mcの2輌編成6本が製造される。

1964(昭和39)年…5000系の中間車モ5150形を中間に組み込んで4輌編成5本となる。ただし、モ5150形は10輌しかないために5209Fのみは2輌編成のまま残る。

1966(昭和41)年…塗装のライトパープル化開始。翌年には、ストロークリームに赤帯に塗装変更。更に1968年にはスカーレットに白帯に変更。

1968(昭和43)年…モ5202が各務ヶ原線の踏切で大型ダンプと事故を起こして、前面を大破する。同車は翌年復旧するが、その際に高運転台化される。

1978(昭和53)年…この年から特別整備開始。外板の一部取り替え、車内化粧板取り替え、窓のユニット化などを実施。中間のモ5150形の窓枠もアルミ化される。貫通扉の幌も取り外す。

1986(昭和61)年…この年3月より廃車が始まる。一部の編成は中間車のモ5150形のみ先に廃車となり、しばらくの間2輌編成で残った編成もあり。翌年8月のモ5207-モ5208.モ5209-モ5210を最後に形式消滅。機器類は5300系に再利用される。車体は豊橋鉄道へ譲渡され、国鉄101系の機器類と組み合わせて豊鉄1900系となる。1989(平成元)年までに全車の車体が1900系に再利用されて登場。旧モ5202の前面も他車と同様に低運転台化されて、モ1953となる。

5200系の廃車年月日及び豊鉄1900系との番号対照表

名鉄5200系時代の番号 廃車年月日 ()内はモ5150のもの 豊鉄1900系の番号 豊鉄での登場年月
5201-5152-5151-5202 昭62.7.14(昭61.9.3) 1903-1953 昭63.3
5203-5154-5153-5204 昭62.7.14(昭61.8.12) 1906-1956 平元.7
5205-5156-5155-5206 昭61.3.25 モ5150も同時に廃車
1901-1951 昭61.7
5207-5158-5157-5208 昭62.8.29(昭61.8.12) 1905-1955 平元.2
5209-5210 昭62.8.29 1904-1954 昭63.6
5211-5160-5159-5212 昭61.3.25 モ5150も同時に廃車 1902-1952 昭62.3

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参考文献
このページの作製にあたって、以下の文献を参考にさせていただきました。

『名鉄』 白井昭・白井良和・井上広和共著 保育社(1981年初版発行)
『まるごと名鉄ぶらり沿線の旅』 徳田耕一著 河出書房新社(2004年初版発行)
『鉄道ピクトリアル』1996年7月臨時増刊号 (特集:名古屋鉄道) 鉄道図書刊行会
『私鉄電車ガイドブック4』 東京工業大学鉄道研究部編 誠文堂新光社