第1回:5500系

 5000系とともに、高速(*1)運用につく5500系。当時は珍しくもなんともなかった運用です。非冷房の5000系と比べると、屋根が低くなっているのがわかります。 名古屋本線知立駅。 1985(昭和60)年9月13日撮影。
(*1) 正式には「高速急行」。1977(昭和52)年3月に登場した種別。特急と急行の間に位置するもので、いわゆる「全車自由席特急」。この種別の登場により、特急は全車座席指定となりました。(それまでは、「座席指定特急」と「特急」(全車自由席)に分かれていました)1990(平成2)年10月のダイヤ改正で、特急に「特別席(指定席)車」「一般席(自由席)車」を設けることになり、「高速」は「特急」に統合されました。


 昭和30年代初め、電化が完成した国鉄東海道本線や増えつつあった自家用車に対抗して5000系5200系を製造した名鉄ですが、1959(昭和34)年には日本初の大衆冷房車名鉄5500系を登場させます。車体は5200系を基本としていますが、冷房装置の取り付けスペースを確保するために制御装置は、主制御器・主抵抗器を集約して収めたパッケージ形の東芝製MCM形を採用し、屋根高さも変更されています。車内は戸袋部を除いて転換クロスシートを装備して、屋根上に分散型冷房装置TAC153T(4000kcal後に4500kcal)を7基設置しました。
 1959(昭和34)年3月に日本車輌で、モ5500形奇数(Mc1)-モ5550形偶数(M2)-モ5550形奇数(M1)-モ5500形偶数(Mc2)の4連3本とモ5500形奇数(Mc1)-モ5500形偶数(Mc2)の2連2本を製造、同年12月には2連5本と中間車4輌が加わって、4連と2連が各5本の総計30輌となりました。
 本線の特急からローカル運用まで幅広く使用され、40年以上にわたって1輌も欠けることなく活躍してきた点は特筆すべきでしょう。2000(平成12)年の東海豪雨で浸水したため廃車になった5505Fを皮切りに廃車が進み、2003(平成15)年には2連3本のみとなってしまいました。この時点で残った編成は、順次リバイバルカラー化されて(5513F=ストロークリーム+赤帯、5515F=スカーレットに白帯、5517F=赤クリームとチョコレートのツートン)ファンの注目を集めました。
 2005(平成17)年1月、中部新国際空港開港をにらんだダイヤ改正により運用を離脱、形式消滅しています。


 パノラマカー7000系と併結して本線急行の運用につく5500系。 名古屋本線神宮前駅。 2001(平成13)年4月6日撮影。


 1964(昭和39)年に新川工場で火災に遭い、復旧時に高運転台化されたモ5509。5200系モ5202と並ぶ稀少車でしたが、貫通扉窓と高さがそろっていないせいか、アンバランスに見えるのは私だけでしょうか。 名古屋本線神宮前駅。 1985(昭和60)年10月10日撮影。


 デビュー当時の赤クリームとチョコレートのツートンカラー(名鉄のパンフレットによる表現)が復元された5517F。その後は一般運用に入り、急行として走る機会も多かったようです。 名古屋本線二ツ杁駅。 2003(平成15)年8月16日撮影。

 1967(昭和42)年から採用された、ストロークリームに赤帯(200mm幅)の塗装に塗り替えられた5513F。旧塗装復活記念運行時の撮影会では、名鉄で用意してくださった方向板を取り付けるサービスもありました。御嵩行き特急「日本ライン号」の再現(?)です。 
名古屋本線伊奈駅構内。 2003(平成15)年8月16日撮影。
(撮影会ですので、当然ながら名古屋鉄道の許可をいただいております)

 1968(昭和43)年から採用された、スカーレットに白帯の塗装をまとう5515F。上の5517F同様、須ヶ口から急行となる碧南行きの運用についたところです。この塗装の白帯は150mm幅と120mm幅の2種類があったそうですが、リバイバルカラーでは120mm幅が実現されたようです。 尾西線佐屋〜日比野間。 2004(平成16)年3月26日撮影。


5500系の製造銘板です。2枚とも2003(平成15)年8月16日撮影。

 昭和60年代にも存在した5500系の「特急」?実は7700系白帯2連+7000系白帯4連+5500系2連の8連からなる編成で、客扱いは白帯車のみ。残念ながら5500系は回送扱いです。 金山橋駅。 1985(昭和60)年5月4日撮影。

5500系の略歴

1959(昭和34)年…3月、日本車輌で1次車4連3本と2連2本を製造、12月には2次車として2連5本と中間車4輌を製造、4連・2連各5本となる。塗装は赤クリームとチョコレート色のツートン。1次車は冷房装置(TAC153-T)が1輌に7基、主制御器がMC11A、2次車では冷房装置が8基に増強され、主制御器もMC11Bに変更。

1959(昭和34)年3月、デビュー当初の編成
5501-5551-5552-5502
5503-5553-5554-5504
5505-5555-5556-5506
5507-5508
5509-5510

1959(昭和34)年12月以降の編成(オレンジ色は、12月増備の2次車)
5501-5551-5552-5502
5503-5553-5554-5504
5505-5555-5556-5506
5507-
5557-5558-5508
5509-
5559-5560-5510
5511-5512

5513-5514

5515-5516
5517-5518
5519-5520


1961(昭和36)年…名鉄初の座席指定特急「内海」(夏季のみの臨時列車)に使用される。

1964(昭和39)年…新川工場(現 新川検車場)の火災により、モ5509破損。高運転台にて復旧。

1967(昭和42)年…塗装をストロークリーム+赤帯に変更。翌年からは、スカーレット+白帯の塗装も登場する。

1970(昭和45)年…5519Fがスカーレット一色で出場。他編成も、その後順次スカーレット一色に変更される。

1980(昭和55)年…この年から特別整備を実施。車体補修、連結面窓埋め込み、運転室背面仕切壁の窓縮小とその上部への換気扇設置、扉脇内側の座席のロングシート化を行う。1983(昭和58)年に全車完了。

2000(平成12)年…9月の東海豪雨によって、5505Fが新川検車場にて浸水。12月に5500系初の廃車となる。

2001(平成13)年…10月に5519F廃車。

2002(平成14)年…4月、5501.5509.5511F廃車。5月、5503.5507F廃車。

2003(平成15)年…7月から9月にかけて、残存編成のリバイバル塗装を実施。5513Fはストロークリームに赤帯、5515Fはスカーレットに白帯、5517Fは赤クリームとチョコレートのツートンに変更される。

2005(平成17)年…1月のダイヤ改正によって全編成運用離脱、2月10日付で廃車。

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参考文献
このページの作製にあたって、以下の文献を参考にさせていただきました。

『名鉄』 白井昭・白井良和・井上広和共著 保育社(1981年初版発行)
『名鉄』 白井良和・諸河久共著 保育社(1989年初版発行)
『まるごと名鉄ぶらり沿線の旅』 徳田耕一著 七賢出版(1995年初版発行)
『まるごと名鉄ぶらり沿線の旅 ver.2』 徳田耕一著 七賢出版(1998年初版発行)
『鉄道ピクトリアル』1986年12月増刊号 (特集:名古屋鉄道) 鉄道図書刊行会
『鉄道ピクトリアル』1996年7月増刊号 (特集:名古屋鉄道) 鉄道図書刊行会
『躍進30』 鉄道友の会名古屋支部発行

『鉄道ジャーナル』2001年10月号 鉄道ジャーナル社
『鉄道ダイヤ情報』2001年4月号、2002年4月号、10月号 交通新聞社(弘済出版社)