第57回:5700系

 平日のみ運転される名鉄名古屋〜河和・内海間の全車一般車特急(全車自由席特急)の運用につく5700系。 河和線南加木屋〜高横須賀間。 2015(平成27)年8月26日撮影。 

 5000系をはじめとする非冷房SR車の置き換え用として、1986(昭和61)年に登場した急行用車両です。当時は国鉄が分割民営化直前でしたが、民営化後に予想される東海道本線の運転本数増加や速達化に対抗する意味もあったと思われます。車内は転換クロスシートを基本とし、運転台後部には親子3人で前面眺望を楽しめるようにという考えのもと、幅1085mmのシートを配置していました。また、ラッシュ輸送と昼間時の快適輸送を両立させるため、2扉ながら扉は1400mm幅の両開きとし、扉付近にはラッシュ時には鎖錠されて立ちスペースとなる折りたたみ椅子を採用しています。外観上はパノラマカー以来の伝統を受け継ぐ連続窓に、助士席側を大きく拡大して客室からの展望と配慮した正面窓が特徴となっています。制御装置は6500系と同じGTO界磁チョッパ制御です。
 1986(昭和61)年から翌年にかけてTc1(ク5700)-M2(モ5750)-M1(モ5850)-Tc2(ク5800)の4両編成5本を製造、1989(平成元)年に中間車(M車モ5650・T車サ5600各2両)を増備、5701F.5702FのTc1とM2の間に増結して2本が6両編成になりました。モ5650は当時増備中だった6800系にそろえて、界磁添加励磁制御を採用しています。
 2009(平成21)年には、モ5650-サ5600のユニットを外して、再び4両編成5本となりました。なお、5600番台の4両は運転台取り付け改造を実施して新たに4両の編成を組成(4両編成6本に)、中間車に運転台を取り付けたモ5652とク5601は運転台直後に客用扉があり、それが外観上の特徴となっています。
 3300系などの増備に伴い、2017(平成29)年より廃車が始まり、2019(令和元)年12月に5704Fの廃車をもって形式消滅しました。。

 「スーパー戦隊ワールド」の広告車となった5705F。戸袋部を生かしてキャラクターを配置しています。子どもたちには大人気でしょうが…。 尾西線佐屋〜日比野間。 2004(平成16)年3月26日撮影。

5700系の略歴
1986(昭和61)年…6月、日本車輌で4両成3本を製造。(1次車)
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987(昭和62)年…3月、日本車輌で4両編成2本を増備。(2次車)

1989(平成元)年…6月、日本車輌でモ5650-サ5600各2両を増備。(3次車)サ5600に耐雪ブレーキを装備。

1990(平成2)年…名古屋本線120km/h運転に対応して、増圧ブレーキ設置。1.2次車にも耐雪ブレーキを追加。

2009(平成21)年…9月、5701.5702Fに組み込まれていたモ5650-サ5600のユニットを外し、全編成が4両に。

2010(平成22)年…3月、抜き取られたモ5650-サ5600のユニットに、廃車となった5300系5313Fの運転台を取り付け。モ5652(Mc)-サ5602(T)-モ5651(M)-ク5601(Tc)の4両編成1本を組成。5700系は4両編成6本となる。

2017(平成29)年…6月、5702F廃車。7月、5601F廃車。

2019(平成31・令和元)年…1月、5701F廃車。3月5703F廃車。11月、5705F廃車。12月、5704F廃車により形式消滅。

 5652と5601の先頭車改造によって登場した5601F。運転台後方の窓がなく、先頭車と中間車のドア間長さが等しくなっているのが特徴です。残念ながら2017(平成29)年に廃車となってしまいました。 名古屋本線豊明〜富士松間。 2011(平成23)年7月2日撮影。

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参考文献
このページの作製にあたって、以下の文献を参考にさせていただきました。

『名鉄』 白井良和・諸河久共著 保育社(1989年初版発行)
『まるごと名鉄ぶらり沿線の旅』 徳田耕一著 七賢出版(1995年初版発行)
『鉄道ピクトリアル』1996年7月臨時増刊号 (特集:名古屋鉄道) 鉄道図書刊行会
『鉄道ピクトリアル』2006年1月臨時増刊号 (特集:名古屋鉄道) 鉄道図書刊行会
『鉄道ジャーナル』1986年9月号 鉄道ジャーナル社