第75回:7500系

 特急犬山号として颯爽と本線上を快走する7500系。 名古屋本線金山橋(現 金山)〜ナゴヤ球場前(現 山王)間。 1985(昭和60)年8月4日撮影。

 7000系の改良型として、1963(昭和38)年から製造された系列です。名古屋本線の特急運用による高速運転を意識した設計となり、電動機(TDK848-A)は複巻式を採用、他励界磁制御としました。これによって、定速制御、回生ブレーキ、回路無接点化が可能となりました。外観では、全ての客室床高さを990mmとしたため、先頭部客室との段差がなくなりました。その分、2階の運転台が突出して見え、パンタ台も高くなっています。
 当初はオールM車の6両編成で登場しましたが、サ7570形の増結によって6M1Tの7両編成、さらにモ7570形(サ7570はM車化)の増備によってオールM車の8両固定編成も登場しました。パノラマカーの8両固定編成は、7500系の6本と7000系の2本が存在しましたが、1970(昭和45)年の4月までに全編成が6両固定編成に戻されています。蛇足ながら1969(昭和44)年10月から翌年3月にかけて車両不足を補うために、モ7665(Mc1')-
モ7556(M2)-モ7655(M1')-モ7566(Mc2')の運転台付中間車を両端に配置した4両編成も存在しました。
 1977(昭和52)年には、7519-7523Fの3編成が特急用として内装の整備を行いました。1979(昭和54)年からは制御装置の更新が行われて制御装置のIC回路化、定速度制御装置の撤去等が実施されています。また、1982(昭和57)年からはコンプレッサーの交換も行われました。
 1988(昭和63)年から1991(平成3)年にかけて、7501〜7513Fの7編成に特別整備工事が実施されて面目を一新します。その一方で、1990(平成2)年10月ダイヤ改正による名鉄の特急営業政策変更(名古屋本線の特急は、これまでの全車指定席から原則として特別席車(指定席)と一般席車(自由席)の併結となる(*1))により、特別整備工事の対象外となった7515〜7523Fの5編成は1992(平成4)年から翌年にかけて廃車、機器類は1030系・1230系(特別席車と一般席車の併結編成)、1850系(一般席車増結用)に再利用されました。
 残った編成は、名古屋本線はじめ各線で急行等に活躍していましたが、制御装置の関係で他系列との併結ができないことや(*2)、床が低いために空港線への乗り入れができない等(*3)の理由で2004(平成16)年から廃車が進められ、中部国際空港が開港(2005年1月29日)した直後の2005(平成17)年9月に最後まで残った7503Fが廃車、形式消滅しました。
 
(*1)2019(令和元)年現在、「特別車」(指定席)、「一般車」(自由席)に改称されています。
(*2)7000系は、7700系、5000系、5500系などのSR車と併結することができ、特別整備工事等の際には7000系と5500系の混結編成も見られましたが、7500系ではそれが不可能でした。そのため、運転台付き中間車のモ7665-モ7566が製造されました。
(*3)7500系の床高さは990o、空港線などで採用された名鉄の新規格によるホーム高さは1070oです。そのため7500系は一度も空港線には入線しなかったそうです。

 新岐阜(現 名鉄岐阜)行きの「高速」(*4)に活躍する7500系。4月に入り、線路端の桜がきれいに咲いていました。 名古屋本線桜〜呼続間。  1986(昭和61)年4月撮影。
(*4)正式名称は「高速急行」。特急(指定席)と急行の中間に位置する、全車自由席特急的な種別。1977(昭和52)年3月改正で登場し、1990(平成2)年10月改正で特急に統合されるまで約13年間存在しました。

7500系の略歴
1963(昭和38)年…11月、1次車として、6両編成4本(7501〜7507F)を日本車両で製造、主幹制御装置はACRF-H-875-758A、台車はFS-335A、主電動機はTDK-848-A、コンプレッサーはAR-1−A。

1964(昭和39)年…2月、サ7570形4両(サ7571〜7577の奇数番号のみ)を日本車両で製造。1次車に組み込み、6M1Tの7両編成4本とする。7〜8月、2次車として、6両編成3本(7509〜7513F)を日本車両で製造。

1967(昭和42)年…4月、3次車としてモ7570形4両(モ7572〜7578の偶数番号のみ)を日本車両で製造。1次車に組み込む。台車をFS-335A1に変更、クーラーはポンプレス式のRPU-1504型とする。モ7572のみ中間運転台付きのMc車として登場する。同時にサ7570形は全車電装され、7501〜7507FはオールM の8両編成となる。
 12月、4次車として6両編成2本(7515(除モ7566).7517F+二代目モ7572)を日本車両で製造。7515Fのモ7665は中 間運転台付き。3次車のモ7572は昭和43年1月にモ7566へ改番して7515Fに組み込み。そして、4次車のうちの1両として製造された二代目のモ7572(運転台なしM2''車)を7501F に組み込む。4次車以降は製造当初から先頭車へのフロントアイ装備。(フロントアイなしで製造されたモ7501〜7514は、昭和51年4月以降順次フロントアイを設置する)また、4次車から車内のロングシート部につり革を取り付けた。なお、7515Fは後に前面の逆富士型行き先・種別板を大型のものに交換して、それを前面虫よけ板試用の台座に利用した。 

1968(昭和43)年…10月、5次車としてモ7570形4両(モ7579〜7582)を日本車両で製造。7515.7517Fに組み込まれ、7500系は8両編成6本(7501〜7507F、7515.7517F)、6両編成3本(7509〜7513F)となる。

1970(昭和45)年…4月、6次車としてモ7500形6両(モ7519〜7524)を日本車両で製造。既存の7500系8両編成を全編成6両化し、捻出された中間車と6次車を組み合わせて6両編成3本を組成。7500系は6両編成12本となる。6次車は車体がA-A基準準拠になる。また、運転台のワイパーが2連に変更された。

1976(昭和51)年…4月以降、モ7501〜7514の先頭部にフロントアイ設置。

1977(昭和52)年…3月のダイヤ改正で、列車種別を整理。特急は全車座席指定となり、従来の一般車(自由席)特急は「高速」になる。特急は、基本的にパノラマカー(及び7700系)の限定運用となる。特急の旅客サービス向上のため、一部編成を特急用として整備。座席モケットを赤にして白い枕カバーを取り付け、カーテンを緑地のものに交換する。この改良工事は、7000系7029〜7047F(4両編成7本、6両編成3本)、7500系7519〜7523F(6両編成3本)、7700系全車(4両編成4本、2両編成4本)の合計88両に及ぶ。

1979(昭和54)年…この年3月から昭和56年12月にかけて制御装置の改造実施。トランジスタ回路からIC回路に変更、主幹制御装置をES758Bとする。この改造によって定速度制御機能は撤去。

1982(昭和57)年…この年5月から昭和59年4月にかけてコンプレッサーの交換。C-2000Lを1編成あたり2台設置(豊橋方先頭車のモ7500形奇数番号車と豊橋方から5両目のモ7550形またはモ7570形)したが、中間運転台車を組み込む7515Fのみ3台搭載(モ7515、モ7665、モ7565)。

1988(昭和63)年…この年から特別整備開始。7000系と同様に内装更新、車体補修、中間車妻窓埋め込み、側窓支持構造を金属枠からHゴムへ変更、前面への電動式行き先・種別表示器設置などを行う。また、7500系では化粧板の交換(5700系と同じクリーム色)や側面への電動行き先・種別表示器の設置も行われた。この年6月のモ7552-モ7651を皮切りに、2両単位のユニットで実施。平成3年10月のモ7512-モ7561まで、7501-7513Fの7編成42両が特別整備を受けた。先頭車を含むユニットが整備のために入場する際には、中間運転台付きのモ7665-モ7566のユニットを組み込んだ編成が見られた。

1992(平成4)年…2月に7515F、4月に7517F、5月に7521F.7523Fが廃車。機器類は1030系・1230系・1850系に流用。(7515F →1851〜1853F、7523F→1131F、7517F→1132F、7521F→1133F)

1993(平成5)年…4月、7519F廃車。機器類は1030系・1230系(1134F)に流用。残りの編成はこの年の3月までに主電動機の更新を行い、TDK-848-0Aとなる。

2004(平成16)年…12月、7507.7511F廃車。

2005(平成17)年…3月、7513F廃車。7月、7501F廃車。8月、7505.7509F廃車。最後まで残った7503Fは8月7日を最後に運用離脱し、9月7日付で廃車。形式消滅。



 展望室と一般客室の段差がなく、運転台が大きく突き出している点が特徴の7500系。 
須ヶ口駅。 2001(平成13)年6月3日撮影。
 

 こちらは7000系。展望室が一般客室より一段低く、運転台の突き出しも7500系ほど大きくありません。 
津島線甚目寺~須ヶ口間。 1999(平成11)年7月10日撮影。

7500系編成の推移  ※ 特別整備工事などによる一時的な編成組み替えは除く。製造年次を以下の通りの色で表示。
(1次車) (1次車追加増備) (2次車) (3次車) (4次車) (5次車) (6次車)  (T)=同一番号の初代 (U)=同一番号の二代目

編成の位置
←豊橋方  岐阜方→

1963(昭和38)年…11月、7501〜7507F製造。(1次車)モ7500形奇数(Mc1)-モ7650形偶数(M2')-モ7650形奇数(M1')-モ7550形偶数(M2)-モ7550形奇数(M1)-モ7500形偶数(Mc2)の6両編成4本。

7501-7652-7651-7552-7551-7502  7503-7654-7653-7554-7553-7504  7505-7656-7655-7556-7555-7506
7507-7658-7657-7558-7557-7508


1964(昭和39)年…2月、サ7570形(T1)4両(サ7571.7573.7575.7577)製造。(1次車追加増備)1次車のM2車とM1車の間に組み込み、7両編成化。

7501-7652-7651-7552-7571-7551-7502  7503-7654-7653-7554-7573-7553-7504  7505-7656-7655-7556-7575-7555-7506
7507-7658-7657-7558-
7577-7557-7508

 7月、7509〜7513Fの6両編成3本製造。
(2次車)

7509-7660-7659-7560-7559-7510  7511-7662-7661-7562-7561-7512  7513-7664-7663-7564-7563-7514



1967(昭和42)年…4月、モ7570形(M2'')4両(モ7572(初代).7574.7576.7578)製造。ただし、初代モ7572のみ中間運転台付き(Mc2)。(3次車) 3次車を7501〜7507Fに組み込み。同時にサ7570形の電装化を実施。(T1→M1''に) 7501〜7507FはオールMの8両固定編成となる。

7501-7652-7651-7552-7551-7572(T)-7571-7502  7503-7654-7653-7554-7553-7574-7573-7504  
7505-7656-7655-7556-
7555-7576-7575-7506  7507-7658-7657-7558-7557-
7578-7577-7508

 
12月、7515.7517Fの6両編成2本を製造。(4次車) 7515Fのモ7665は中間運転台付き(Mc1')。3次車の初代モ7572は昭和43年1月8日に二代目モ7566へ改番して7515Fに組み込み。同時に4次車の初代モ7566を二代目のモ7572(運転台なしM2''車)へ改番して7501F に組み込む。初代モ7572は新製から8か月余りで、初代モ7566(昭和42年12月20日竣工)は新製からわずか19日後に改番されている。


7501-7652-7651-7552-7551-7572(U)-7571-7502
7515-7666-7665-7566(U)-7565-7516   7517-7668-7667-7568-7567-7518


1968(昭和43)年
…10月、モ7570形4両(モ7579〜7582)を製造。(5次車) 7515.7517Fに組み込む。

7515-7666-7665-7566(U)-7579-7580-7565-7516   7517-7668-7667-7568-7581-7582-7567-7518



1969(昭和44)年…10月、昭和45年正月の輸送に備えて、7505Fからモ7556.7655を、7515Fから運転台付中間車モ7665.7566(U)を抜き取って展望室のない4両固定編成を組成。

7505-7656-
7555-7576-7575-7506  7515-7666-7579-7580-
7565-7516
7665-7556-7655-7566(U)


1970(昭和45)年…4月、モ7500形6両(モ7519〜7524)を製造。(6次車) 7501Fのモ7551.二代目7572と7517F のモ7581.7582を7521Fの中間車へ、7503Fのモ7553.7574と7515Fのモ7579.7580を7523Fの中間車へ、7505Fのモ7555.7576と7507Fモ7557.7578を7519Fの中間車へ、展望室なしの4両編成を組んでいたモ7556.7655は7505Fの中間車へ、モ7665.二代目7566は7515Fの中間車となる。この編成変更によって、8両編成は解消。7500系は6両編成12本となる。以後は特別整備工事等による一時的な変更を除いて、最終時まで以下の編成を基本とする。

7501-7652-7651-7552-7571-7502  7503-7654-7653-7554-7573-7504 
7505-7656-7655-
7556-7575-7506  7507-7658-7657-7558-7577-7508

7509-7660-7659-7560-7559-7510  7511-7662-7661-7562-7561-7512  
7513-7664-7663-7564-7563-7514
  7515-7666-7665-7566(U)-7565-7516  
7517-7668-7667-7568-7567-7518
  7519-7576-7557-7578-7555-7520  
7521-
7572(U)-7581-7582-7551-7522  7523-7574-7579-7580-7553-7524



1992(平成4)年
…3月、7515F廃車。4月、7517F 廃車。5月、7521F.7523F廃車。機器類は1030系、1230系、1850系に流用。


(廃車)
 7515-7666-7665-7566(U)-7565-7516(→機器類1851〜1853F)  7517-7668-7667-7568-7567-7518(→機器類1132F)
7521-7572(U)-7581-7582-7551-7522(→機器類1133F)  7523-7574-7579-7580-7553-7524(→機器類1131F )


1993(平成5)年…4月、7519F廃車。機器類は1030系、1230系に流用。

(廃車)
 7519-7576-7557-7578-7555-7520
(→機器類1134F)


2004(平成16)年…12月、7507.7511F廃車。

(廃車)7507-7658-7657-7558-7577-7508
  7511-7662-7661-7562-7561-7512


2005(平成17)年
…3月、7513F廃車。7月、7501F廃車。8月、7505.7509F廃車。9月、7503F廃車。

(廃車)7513-7664-7663-7564-7563-7514  7501-7652-7651-7552-7571-7502 7505-7656-7655-7556-7575-7506
  7509-7660-7659-7560-7559-7510   7503-7654-7653-7554-7573-7504 

 7500系の機器類を流用した車体更新車1030系。 名古屋本線妙興寺〜島氏永間。 2002(平成14)年9月撮影。

 新岐阜駅(現 名鉄岐阜)に並んだ7500系。名古屋本線新岐阜駅。 2002(平成14)年5月2日撮影。

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参考文献
このページの作製にあたって、以下の文献を参考にさせていただきました。

『名鉄』 白井昭・白井良和・井上広和共著 保育社(1981年初版発行)
『名鉄』 白井良和・諸河久共著 保育社(1989年初版発行)
『まるごと名鉄ぶらり沿線の旅』 徳田耕一著 七賢出版(1995年初版発行)
『鉄道ピクトリアル』1996年7月臨時増刊号・2006年1月臨時増刊号・2009年3月臨時増刊号(いずれも特集:名古屋鉄道)2008年12月号(特集:名鉄パノラマカー) 鉄道図書刊行会
『名鉄パノラマカー』『パノラマカー栄光の半世紀』 徳田耕一編 JTBパブリッシング
『鉄道車輌ディテールファイル19 名鉄7000系』 山田司著 ネコ・パブリッシング