第12回:770形

 長らく大正生まれの古豪510形、520形によって運転されてきた揖斐線直通急行の近代化を目指して製造された連接車。外観は美濃町線の880形に似ていますが、600V線専用で製造当初から冷房つきです。また、市内線の急カーブに対応して車体幅がやや狭くなっています。(880形の2236mmに対して、770形は2106mm)
 4編成8輌が製造され、平成に入ってから増備されたボギー車780形と共に、揖斐線直通はもとより忠節までの市内線運用にも活躍していました。名鉄600V線区廃止後は、全車が福井鉄道へ譲渡されることが決まりました。福井でも市内線〜鉄道線の直通車としての活躍が期待されます。

 1997(平成9)年以降、780形とあわせた新塗装に塗り替えられた770形。鉄道線である揖斐線では、補助ステップを出したままの状態で運転しています。1996(平成8)年から市内線でもワンマン運転を実施するようになったため、正面下部に「乗降中」表示灯が設置されました。
 揖斐線旦ノ島〜尻毛間。 1999(平成11)年12月17日撮影。 

 古豪750形と並ぶ770形。鉄道線における補助ステップの役割がよくわかる画像です。 揖斐線黒野駅。 2001(平成13)年7月22日撮影。

 新岐阜駅前を行く770形。デビュー時のスカーレット一色時代です。市内線では補助ステップは格納して運転していますが、市内線電停停車時には、扉下の折りたたみステップが開きます。市内線ではツーメン運転をしていた時代なので、正面の「乗降中」表示がありません。なお、画面右に写っている、柵つきの枠が「新岐阜駅前電停」です。 岐阜市内線新岐阜駅前。 1992(平成4)年7月19日撮影。

770形の略歴
1987(昭和62)年…日本車輌で2編成4輌製造。当初からワンマン運転対応だが、ワンマン運転は揖斐線内のみ。
1988(昭和63)年…日本車輌で2編成4輌製造。
1994(平成6)年…名鉄創業100年(*1)を記念して、773-772が青を基調としたブルーライナー塗装となる。(1997年まで)
1996(平成8)年…9月から市内線区間でもワンマン運転を実施。正面下部に「乗降中」表示を取り付け。
1997(平成9)年…780形登場にともない、塗装をアイボリー基調に変更。
2005(平成17)年…名鉄600V線区全廃。770形は全車福井鉄道へ譲渡。

福井鉄道に譲渡され、名鉄時代の番号そのままで使用されている770形。 
福井駅前。 2013(平成25)年7月28日撮影。

(*1)名鉄の前身、名古屋馬車銕道(てつどう)の開業は1894(明治27)年。

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参考文献
このページの作製にあたって、以下の文献を参考にさせていただきました。

『名鉄』 白井良和・諸河久共著 保育社(1989年初版発行)
『まるごと名鉄ぶらり沿線の旅 ver3.DX』 徳田耕一著 七賢出版(2002年初版発行)
『鉄道ピクトリアル』1996年7月臨時増刊号 (特集:名古屋鉄道) 鉄道図書刊行会
『路面電車と町並み 岐阜・岡崎・豊橋』 日本路面電車同好会名古屋支部編 トンボ出版
『岐阜のチンチン電車』 郷土出版社