第19回:2代目800形

美濃町線日野橋駅。 2000(平成12)年8月15日撮影。 

 前回は昭和初期の800系でしたが、今回は平成ふた桁、2000年生まれの800形です。600形と交代する形で登場した、新岐阜乗り入れ用の複電圧車ですが、バリアフリーに対応した構造を持ち、中央扉付近はノンステップで、ホームとの段差はわずか75mmとなっています。室内は前後10%の傾斜がつけられており、車端部と中央部とでは窓の高さに違いが表れています。床の傾斜のため台車の動軸と従軸とでは車輪径が異なっており、座席は見合い式の固定クロスシートを採用しています。また、この形式からは1500V区間でも冷房が使えるようになっています(*1)。
 これまでの低床路面電車と異なり、国産の技術を活用した独特の構造が評価されて、鉄道友の会より平成13年度ローレル賞を受賞しています。これで名鉄美濃町線は、870形・600形・800形と3つのローレル賞受賞車が走る路線となりました。このような路線は、軌道線では全国唯一の例ではないでしょうか。(厳密には870形は札幌市電時代の受賞ですが)

 複電圧車による1500V線区への直通、列車の増発、冷房化、低床車の導入と様々な努力をしてきたにもかかわらず、乗客減に歯止めがかからないとして、名鉄は平成17年春の岐阜地区600V線区廃止を申請しました。この動きに対して、岡山電気軌道がこれら600V線区の経営引き継ぎに名乗りを上げ、自治体が施設や車輌を保有し、岡山電軌が運営に当たるという方式を検討していたようですが、結局岐阜市は引き継ぎを断念し、2005(平成17)年3月末限りで全線廃止となりました。
 廃止後、この800形は福井鉄道と豊橋鉄道へ譲渡されています。

(*1)これまでの美濃町線冷房車(880形など)は、600V区間でしか冷房を使用することができませんでした。そのため新岐阜駅での停車中に車内がサウナ状態になってしまうこともしばしばあったようです。

 名鉄600V線区最終日の800形。旧塗装の593号を従えた続行運転です。 美濃町線競輪場前〜野一色間。 2005(平成17)年3月31日撮影。


800形の略歴
2000(平成12)年…7月、日本車輌で3輌製造。美濃町線に投入。
2001(平成13)年…10〜11月にかけて福井鉄道に802を貸し出し。福井市内線区間でトランジットモールの実験に試用。
2005(平成17)年…3月末で名鉄600V線区全廃。3輌中2輌が福井鉄道へ、1輌が豊橋鉄道へ譲渡。

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参考文献
このページの作製にあたって、以下の文献を参考にさせていただきました。

『まるごと名鉄ぶらり沿線の旅ver.3 DX』 徳田耕一著 七賢出版(2002年初版発行)
『まるごと名鉄ぶらり沿線の旅』 徳田耕一著 河出書房新社(2004年初版発行)