第22回:880形

880形同士の交換風景。 美濃町線日野橋駅。 2000(平成12)年8月15日撮影。

 美濃町線の近代化と運転本数の増強のために1980(昭和55)年に日本車輌で880〜889の5編成10輌(*1)が製造された連接車。新岐阜乗り入れが可能な1500V/600Vの複電圧車です。名鉄軌道線の車両としては、590形以来23年ぶりの完全新車です。室内はロングシートですが、一人分の座布団が明確に分けられており、定員に合わせて着席できるように工夫されています。また、連接部分の通路を円形とするなど、斬新なデザインも注目されました。
 1981(昭和56)年2月のダイヤ改正によって、日中15分間隔に増発された美濃町・田神線新岐阜〜新関間の主力として、活躍を続けてきました。当初はラインデリアのみの非冷房車でしたが、1991(平成3)年以降、順次冷房化改造が行われました。ただ、この冷房は600V区間でしか使用することができず、新岐阜駅停車中に車内が「サウナ状態」になってしまうのが難点でしょうか(*2)。
 2005(平成17)年3月末で全線廃止となった名鉄600V線区ですが、880形は全車が福井鉄道に譲渡されました。

(*1)トップナンバーの下1桁は「1」で始まるのが原則の名鉄にあって、この形式は「0」から始まる珍しい例です。10輌の車輌をすべて880番台内におさめるための措置だったのでしょうか?この付番方法は550形や770形にも見られます。
(*2)2000(平成12)年登場の800形になって、ようやく1500V区間でも冷房が使用できるようになりました。

 名鉄600V線区最終日の880形。この年の1月29日に行われたダイヤ改正によって、新岐阜駅は名鉄岐阜駅と改称され、本線系の車両は方向幕の差し替えが行われました。しかし、廃止が決定している600V線区の車両は方向幕の「新」が消されただけにとどまり、何とも寂しい幕切れを迎えました。 美濃町線日野橋駅。 2005(平成17)年3月31日撮影。

880形の略歴
1980(昭和55)年…日本車輌で5編成10輌を製造。
1991(平成3)年…冷房改造開始。
1999(平成11)年…ワンマン化。正面下部に「乗降中」表示を掲出。
2005(平成17)年…3月末で600V線区全廃。全車福井鉄道へ譲渡。

福井鉄道譲渡後も、名鉄時代の番号のまま活躍を続けている880形。
福井駅前。 2013(平成25)年7月28日撮影。

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参考文献
このページの作製にあたって、以下の文献を参考にさせていただきました。

『名鉄』 白井昭・白井良和・井上広和共著 保育社(1981年初版発行)
『名鉄』 白井良和・諸河久共著 保育社(1989年初版発行)
『まるごと名鉄ぶらり沿線の旅』 徳田耕一著 七賢出版(1995年初版発行)
『鉄道ピクトリアル』1996年7月臨時増刊号 (特集:名古屋鉄道) 鉄道図書刊行会
『路面電車と町並み 岐阜・岡崎・豊橋』 日本路面電車同好会名古屋支部編 トンボ出版
『岐阜のチンチン電車』 郷土出版社