第34回:8800系

津島線須ヶ口〜甚目寺間。 1999(平成11)年6月30日撮影。 

 1984(昭和59)年に、モ8800形による2編成4輌が登場したデラックス車輌で、「パノラマDX(デラックス)」の愛称をもちます。観光客の高級志向に呼応した系列で、前頭部はハイデッキ構造の展望席、中央部は2人用と4人用のコンパートメント席をそれぞれ3つ、後部扉をはさんだ連結面寄りに通路をはさんだ6人用区分室を2つ設けています。塗色もこれまでのスカーレット基調から一転して、クリーム色にスカーレット帯を配し、裾周りをグレーとした新色が採用されました。ただし、機器類は廃車となったパノラマカー7000系のものを流用しています。
 1987(昭和62)年には2次車として2編成4輌が増備され、展望席の定員が16→20名と増加したほか、中央部を1人がけ回転リクライニングシート8脚と4人用コンパートメント席4つに変更、連結面寄りに4人用の個室を設けています。外観上は展望席正面にもワイパーが取り付けられました。特急座席指定料金もDX特急料金として別に設定されていました(*1)。
 1989(平成元)年にはトイレ付き中間車としてサ8850形を4輌新製し、全編成3輌編成となります。サ8850形には、1人がけ回転リクライニングシート9脚と4人用コンパートメント席5つの他、ラウンジを設けて一層のデラックス化が図られています。なお、3連化にともないモ8800形のモーター出力を75kw→90kwに増強しています。
 1992(平成4)年以降、8807Fを団体輸送用として残した他は、津島〜西尾線の全席特別車(指定席車)特急に転用されています。サ8850形の座席は全て2人がけの回転リクライニングシートに変更、2次車のモ8805.8806は展望席の定員を16名に、車端部の4人用個室を6人用区分室に変更して、1次車と定員を揃えました。この時パノラマDXの座席指定料金も廃止され、他の特急と料金を統一しています。
 機器類再利用の車体更新車ながら、約20年間にわたって活躍を続けてきましたが、2005(平成17)年1月29日のダイヤ改正で引退しました。
 なお、この系列は昭和60年度ブルーリボン賞の栄に輝いています。

(*1) 1984(昭和59)年当時、特急座席指定料金が\250だったのに対して、パノラマDXの座席指定料金は倍の\500でした。


 昭和60年度ブルーリボン賞受賞時の記念運転。ブルーリボンをあしらった特製マークを掲出していますが、この画像でははっきり確認できないのが残念です。当時は2輌編成でした。 名古屋本線ナゴヤ球場前。 1985(昭和60)年8月4日撮影。

8800系の略歴
1984(昭和59)年…日本車輌でモ8800形2編成4輌を製造。機器類は、廃車となった7000系モ7052.7054.7151.7153のものを再利用。

1986(昭和61)年…テレホンカード専用電話を設置。

1987(昭和62)年…日本車輌でモ8800形2編成4輌を増備。機器類は、廃車となったモ7061.7062.7064.7163のものを再利用。内装を一部変更。

1989(平成元)年…日本車輌でサ8850形4輌を増備。モ8800形のモーター出力を75kwから90kwに増強。

1992(平成4)年…DX特急運転終了にともない、津島線〜西尾線特急用として改装。

2005(平成17)年…中部国際空港開港に対応した1月のダイヤ改正により、引退。

「名鉄いろいろ」目次へ戻る

分館トップページへ戻る


参考文献
このページの作製にあたって、以下の文献を参考にさせていただきました。

『名鉄』 白井良和・諸河久共著 保育社(1989年初版発行)
『まるごと名鉄ぶらり沿線の旅』 徳田耕一著 七賢出版(1995年初版発行)
『鉄道ピクトリアル』1996年7月臨時増刊号 (特集:名古屋鉄道) 鉄道図書刊行会
『名鉄パノラマカー』 徳田耕一著 JTB