第30回:デキ300形

 新川工場(現 新川検車場)にて。デキ305。 この画像は工場前の踏切(現在は閉鎖)から撮影したものです。  1985(昭和60)年10月10日撮影。 

 もともとは三河鉄道(名鉄三河線などの母体となった鉄道)のキ10形として製造された電気機関車です。1926(大正15)年日本車輌製のキ10.11(デキ301.302)と1927(昭和2)〜1929(昭和4)年にかけて三菱造船所で製造されたキ12〜14(デキ303〜305)の2グループに分かれ、前面窓の数や側面通風口の形状などに違いがありますが、性能的には同一です。なお、1936(昭和11)年には1928(昭和3)年製の同系列機である、一畑電気鉄道1号機を譲り受け、キ10形15号(デキ306)としています。
 1941(昭和16)年に三河鉄道は名古屋鉄道に合併し、この時にキ10形10〜15からデキ300形301〜306と改称されています。
 長年にわたって、三河線を中心に貨物列車牽引に活躍してきましたが、事故などのために少しずつ数を減らしてきました。平成5年より更新工事が始まり、塗色を黒+警戒色から青+黄帯に変更しています。2014(平成26)年3月までに全車除籍されましたが、303の1両のみが舞木検査場の牽引機として引き続き使用されています。


 豊田市鞍が池公園に保存されていた当時のデキ302。日本車輌製の301.302は正面窓が3枚(うち1枚は出入口)です。残念ながら2003(平成15)年の公園整備の際、貨車ともども解体されてしまいました。後に続く貨車は、ト1とワフ71です。 1994(平成6)年10月撮影。 

 車体を更新、塗装も青系統に変更されたデキ300形303。2014(平成26)年に除籍されましたが、その後も検査場内の牽引車として使用されています。  舞木検査場。  2021(令和3)年8月27日撮影。

デキ300形の略歴
1926(大正15)年…日本車輌で三河鉄道キ10形10.11として2輌製造。

1927(昭和 2)年…三菱造船所で、1929年までにキ12〜14の3輌を製造。

1936(昭和11)年…1928年三菱製の一畑電気鉄道1号機を譲受、キ15と改称する。

1941(昭和16)年…三河鉄道は名古屋鉄道に合併。キ10〜15は、デキ300形301〜306に改称。

1964(昭和39)年…新川工場の火災により、デキ304廃車。

1966(昭和41)年…事故のため、デキ301廃車。

1968(昭和43)年…モーターを交換。

1979(昭和54)年…この年から翌年にかけて前照灯をシールドビーム2灯化。

1984(昭和59)年…名鉄の貨物列車全廃にともない、デキ302廃車。豊田市鞍が池公園に2003(平成15)年まで保存。

1993(平成 5)年…この年から翌年にかけて車体更新。塗装を青+黄帯に補助電源をMGに変更。

1997(平成 9)年…4月の舞木検査場新設にともない、303が鳴海工場より転属する。305は新川検車場、306は犬山検査場に常駐。

2014(平成26)年…2月、305.306の2両が廃車、3月に303が除籍。デキ303は舞木検査場の牽引車(工場設備扱い)として引き続き使用されている。

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参考文献
このページの作製にあたって、以下の文献を参考にさせていただきました。

『名鉄』 白井昭・白井良和・井上広和共著 保育社(1981年初版発行)
『名鉄』 白井良和・諸河久共著 保育社(1989年初版発行)
『まるごと名鉄ぶらり沿線の旅』 徳田耕一著 七賢出版(1995年初版発行)
『鉄道ピクトリアル』1996年7月臨時増刊号 2006年1月臨時増刊号 2009年3月臨時増刊号(いずれも特集:名古屋鉄道) 鉄道図書刊行会
『私鉄電車のアルバム 別冊B 機関車/ナローゲージの車輌』 慶應義塾大学鉄道研究会編 交友社