海難

海難は、洋上における、船舶の事故である。
難破とも言う。
戦闘によるものは、本来は海難とはいわないが、結果的に船舶、人員等に損害が及ぶため、海難に含まれることがある。


海難事故の原因
・気象・海象によるもの
海洋という自然界にもまれるため、多くの海難はこれによる。
操船や、造船技術等により、回避できる要素も多い。
・船員の操船技術によるもの
操縦のミスによるもの。
・船員の操船判断によるもの
気象・海象に対する不注意、天候の読み違えによるもの。
海洋法規や慣行の解釈ミス・誤解によるもの。
見張り不十分による他船・桟橋・氷山との接触・衝突など。
・船舶の堪航能力によるもの
設計ミス、材質の強度不足、構造欠陥などによるもの。
小規模な船体損傷から船体折損などの重大なものまで、さまざまなものがある。
当初予定していたものとは別の用途に転用されるなどした際に、問題点が顕在化するケースなどもある(運用の問題とも関係する)。
・船舶の搭載機関・搭載機器の性能・整備・運用によるもの
故障や火災など施設の管理問題に由来するもの。老朽化に由来するもの。積載重量オーバー・荷崩れなど運用管理に由来するもの。
・故意によるもの
戦争・海賊行為・船内での騒擾などによるもの。


海難事故の様式
・沈没
船体が水面下に沈んでしまうもの。潜水艦の浮上不能も含む。
浅海で沈没した場合、船の上部構造物が海面上に出ていることがあるが、座礁とは異なる。
・転覆
船体がなんらかの理由で横転、上下逆になるもの。横倒しになるとたいてい沈没するが、さかさまになってしまうと案外沈まない。
・座礁・触底・乗揚げ
船底が海底・川底と接触し操船が不能になるもの。
船の多くは、液体の水の上に浮くことで全体で分散して重量を負担する設計となっているため、固体の海底などに接触しそこに重量が集中すると、容易に船体断裂などの損壊を引き起こす。
潮の満ち引きなどの影響で結果として同等になる場合はあるが、座礁・触底は「通常の喫水で航行中に浅くなっているところに乗り上げる」ものであり、沈没とは異なる。
・機関故障・推進器故障・かじ故障などによる漂流
なんらかの理由で航行できなくなり、海上を漂うもの。
・落水
船上から乗組員・乗客・積荷が転落するもの。
・火災
・浸水


沈没へのプロセス
船体の損傷等により浸水し、予備浮力が失われると沈没にいたる。
一般に、隔壁によって浸水区画は限定されるが、隔壁による水密性が不十分だと、浸水が拡大する。
また、船体の破壊が大きいと、船体が折れることもある。


海難事故の影響
引き起こされる結果としては、以下のようなものがある。
・人的損害
死亡・怪我など。
・物的損害
船体の喪失・荷物の流失・港湾施設の損壊など。
・自然損害
燃料・輸送物の漏洩・散乱による海洋汚染など。
オイルタンカーの海難事故の場合には特に大きな被害の発生が報告されている。
そのため、二重底化が進められている。


海難事故の複合的様態
海難事故は、個々に様態が異なり、またさまざまな複合的要素を持つ。
たとえば「荒天による操船不能→座礁→船体断裂→燃料流出」など。
また、関係者が生還しないケースも少なくなく、原因の解析が困難なことも珍しくない。


海難事故の法的扱い
海難事故は、船舶という陸上での経験があまり通用しない交通機関にかかわるものであること、独特の法的規制や慣習があることなどに鑑み、法的に特殊な扱いがなされる場合がある。

日本における海難事故の法的扱い
日本では、一般に事故をめぐる責任の追及については民事上の責任や刑事上の責任が問題となり、海難事故に関しても同様であるが、海難事故の場合には特に将来的な海難の防止という観点から、運輸安全委員会による海難事故の究明がなされ、故意・過失によって海難を発生させた船員に対しては海難審判所の海難審判による懲戒がなされる。
なお、海難事故の究明や海難審判について以前は海難審判庁が担っていたが、2008年10月の法改正により海難審判庁は廃止され現行の体制に移行した。


海難事故の損害賠償枠組み
一般的な海難事故の損害賠償については、通常の損害賠償保険によって扱われる。
しかしながら海難事故の場合、特にオイルタンカーの座礁事故などの際には、その汚染規模が大きく、被害額・除染費用などが巨額に上ることが少なくなく、補償の実効性には疑問が持たれるケースも少なからず存在した。
そのため、1967年のトリー・キャニオン号事故を契機として1969年には「油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約」が作られ、以下いくたびか改定されている。
この条約では、タンカー事故などについて、ほとんど無過失責任であるといえるレベルの損害賠償責任を負わせている。
また、現実的な被害救済のために、一定量以上の荷主に拠出を義務付けるなどして国際基金を整備し、確実に補償がなされるような枠組みを作っている。
日本国内では、この条約に基づいて船舶油濁損害賠償保障法が制定されている。
また、保険未加入船舶については入港を拒否するといった方法で、補償が期待できないような被害の発生を防止している。


主な海難事故


参考
海難
海難救助
船舶消火
救難設備
救命艇/救命筏
遭難信号
ライフジャケット 救命胴衣
油防除
曳航




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新規作成日:2010年4月16日/最終更新日:2010年4月16日

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