近畿大学通信教育部司書課程のレポート


近畿大学通信教育部の司書課程のレポートを掲載します。
各自のより良い学習とレポート作成のために、課題と採点者の要点をつかめたらば幸いです。
コピペして利用することは、得られるものと失うものをご一考ください。

5301 生涯学習概論
5302 図書館概論
5303 図書館経営論
5304 図書館サービス論
5305 情報サービス概説
5306 図書館資料論
5307 専門資料論
5308 資料組織概説
5309 児童サービス論
5401 図書及び図書館史
5402 コミュニケーション論
5403 情報機器論


5301 生涯学習概論
課題:ポール・ラングランが生涯教育に必要な理由として第一にあげている「激しい社会の変化」について、その内容を説明しなさい

 ラングランは、「生涯教育が必要な理由」に、激しい社会の変化をあげており、その内容として、「社会の加速度的な変化」「人口の増加(寿命の延長)」「科学技術の進歩」「政治の領域における挑戦」「情報化社会への対応」「余暇時間の増大」「社会階級、年齢、性別等の違いによる標準化した生活様式などの模範の消失」「肉体と性の社会生活への侵入に対する正しい理解」「イデオロギーの危機」がある。
 社会の加速度的な変化については、家庭にある製品から考察することにより実感することができる。20年前には、ほとんどの家庭になかったコンピューターが普及し、10年前には新技術として紹介されていたインターネットが接続されていることが普通となった。このことにより、世界中の情報が即時に入手でき、会ったことがない人とコミュニケーションを取ることが可能となった。これまでは、マスコミの報道や有識者の著書を通じて、二次的情報しか得ることはできなかったが、政府・政党・各企業・著名人の発表内容や意見を直接知ることができ、さらに自分の意見を発表することが可能となった。
 この変化は、情報化社会となり、手放しに賞賛されることではない。各主体が情報を発信できるために、その情報の真偽について、より注意深く情報に接する必要が発生し、同時に、情報を発信する際にも受け取り側のことを推測しなければならなくなった。例を挙げると、「電話に出たときに名乗るべきか」という問題について、「名乗らなければ失礼に当たる」という考えと、「なりすまし詐欺に使われないように、個人の情報を拡散してはならない」という考えがあり、どちらもその時代での考え方としては、主流である。こういった、その時代時代に適した対応でなければ、不都合が起きる可能性が高まる。
 こういった個人レベルでの変化だけではなく、国家的なイデオロギーの変化も加速している。東西の冷戦が終結し、ソビエト連邦等社会主義国家の崩壊が起きた10年後には、資本主義から新自由主義が生まれ、市場に介入しないという方針から、ヘッジファンドが台頭したが、それも長く続かずに、2008年の金融危機を引き起こした。歴史を紐解くと、帝国主義から資本主義に移り変わるために、大きな戦争や数十年から数百年の時間を要したが、第二次世界大戦以後の近代史のみでも、上記の通りの激しい変容が起きている。さらに現在は、行き過ぎた自由主義について歯止めをかけて、環境対策等の地球規模への問題に対して、国家を超えた枠組みでの対応が主張されている。ラングランは、このような社会の変化を人間への「挑戦」であり、「生涯教育」は課題に対する対応策への位置づけも持っていると述べている。
 情報を発信する方向において、個人が発表するハードルは著しく下がった。以前は投書や自費出版等しか意見を発表する手段がなかったことを考えると、大きな変化である。例えば、短歌や音楽を発表することも、現在ではコンピューターがあれば簡単にできる。寿命が延びたことと、労働基準法を遵守する意識が浸透したために、余暇時間が増えた。その増えた余暇時間について、技術の進歩についていくことができたならば、何歳でも、何でも挑戦できるようになった。
 逆に言うと、技術がいくら進歩しても、その技術を受け入れる側に学習意欲がないならば、何も変わることはない。むしろ、全体の進歩から取り残される結果となる。ただ、進歩から取り残されることは悪いという短絡的なことではないと思われる。伝統芸能や工芸等、変わらないことが価値とされることもある。ただし、それはあくまで変化に対応しないという選択の結果としてなされるべきであり、変化に対応できないから結果的に変わらないということとは大きく異なる。
 現在のいかなる職種においても、コンピューターを使わない職業はないと言っても過言ではない。コンピューターはあくまで道具であるので、帳票を手と目で照合していたことを電子的に行うことに変わっただけである。他の例を挙げると、定規と製図板で設計をしていたが、CADという専用のコンピューターソフトで代用・効率化が可能となった。多くの技術は、効率を重視し、誰が作業しても同じ結果になるように意図されている。ある作業に慣れることは、職業としては必要であるが、それだけを遂行しても、すぐにより安い労働者にとって変わられる可能性が常にある。つまり、常に新しいことを学習し、新しい考えを理解することが、社会の一員として必要な資質となると考えられる。
 高度に情報化が進んでいるために、社会の変化のスピードが、これまで以上に早まっている。社会人枠の大学・大学院や自治体の生涯学習センターといった公的な施設や、カルチャースクールといった私企業の態勢も整っているために、これらを利用し、生涯を通じての学習が必要であると思われる。
参考文献
「暴走する資本主義」 東洋経済新報社 ロバート・ライシュ

総評:合格
講評:生涯学習を、よく理解しています。
1.設題の理解:A 2.教材の理解:A 3.考察力: 4.文章表現力: 5.論文の構成: 6.基礎の理解:A 7.要約力: 8.論旨の明確性: 9.条文の明示: 10.用語使用方法: 11.誤字・脱字: 12.訳語・訳文の研究: 13.公式の理解: 14.資料・参考書研究:
5302 図書館概論
課題:ある公共図書館について、施設(規模・単独館か複合館)、立地、蔵書数、貸出数、図書館職員について調査やインタビューを行いなさい。併せて、図書館サービスの実態も調べ、簡潔に記述しなさい。この調査を通して、対象館に期待すること及び感想を述べなさい。必ず館名と所在地を記しなさい。調査前に必ずアポイントを取って下さい

 大阪府池田市にある池田市立図書館(本館、通称:丘の上の図書館)を調査した。以下では、池田市立図書館と記載する。
1.立地(平成22年3月31日時点)
 池田市立図書館は、昭和37年に開館し、昭和55年に現在の建物に移設された。図書館の他に、歴史民俗資料館を併設しており、建物の裏には古墳時代末期とされる五月丘古墳がある(出土品は、歴史民俗資料館で保管されている)。昭和55年に移設される際に、文化財にも触れ親しんでもらうために、現在の立地となったということであった。そのため、駅周辺の市の中心部から離れた場所に立地している上に、バス停からも離れており、利便性が良いとは言えない。さらに、丘陵地の中腹に位置するために、大きな駐車場も併設することができず、利用しづらい。
2.施設(平成22年3月31日時点)
 施設は、鉄筋コンクリートの地上2階地下1階建てで、施設面積は2512.32m2(うち、書架・閲覧室・自習室は1199.83m2)である。1階に児童書と一般書の文学、雑誌などの利用頻度が高い図書を置き、2階に理工学書や自習室を置き、利便性を高めている。
3.蔵書数および貸出数(平成22年3月31日時点)
 池田市立図書館の蔵書数は、275,246冊で内訳は、一般書:168,506冊、児童書:94,110冊、AV資料:1,867点、雑誌:10,763冊である。同時期の池田市の人口は、104,048人のため、一人あたりの蔵書冊数は、2.62冊となる。
 貸出については、34,471人(うち、市民は33,112人)が貸出登録をしており、これは池田市民の33.1%にあたる。
 平成21年度の池田市立図書館の貸出冊数は、480,998冊であり、登録者一人あたりでは13.95冊である。なお、市民一人あたりに直すと4.62冊である。また、一日あたりの貸出冊数は、1,318冊である。
4.図書館職員について(平成22年3月31日時点)
 池田市立図書館では、22名が業務を行っている。具体的には、館長1名(司書資格有り)、副館長と副主幹が各1名(それぞれ司書資格有り)、主査3名(うち1名が司書資格有り)、主事1名(司書資格有り)の合計7名が常勤職員である。一方、非常勤職員は、再任者3名(うち1名が司書資格有り)、アルバイト12名(うち8名が司書資格、1名が司書補資格有り)という構成となっている。
 以上が、池田市立図書館に関する調査である。
 図書館サービスについて、貸出、返却、レファレンスサービス、複写サービス等がある。貸出業務においては、Web上から資料の検索、予約、貸出期間の延長が可能である。なお、貸出期間の延長は、電話でもできる。ただし、予約に関しては、集中することがあるために、電話では受け付けていない。
 また、視覚障がいがある方のために、対面朗読サービス、大活字本や録音テープや拡大鏡があり、聴覚障がいがある方のために、筆談による対応がある。その他、肢体不自由・内部機能障害があるため図書館まで来られない方に、宅配で本などを貸出するサービスも行われている。
 視聴覚AVコーナーには、ビデオテープ・DVD・CDがあり、希望者は視聴できる。しかし、ビデオテープが中心であり、資料の更新が進んでいない印象を受ける(私見だが、20年以上前に視聴した資料がまだ保管されていた)。
 図書館主催の行事として、子どもに対する「おはなしのへや」という絵本の読み聞かせや、利用を促すための図書館見学会が行われている。その他には、読み聞かせや録音テープを作成するボランティアの育成、一般を対象とした講演会も図書館で行われている。
 池田市立図書館は移転から30年が経過した。そのため、設備の老朽化が進みつつあると言える。一般向け文学の書架の配置場所が足りなくなり、一部がロビーに設置されていることと、平成21年度には廃棄図書9,366点に及んでいることからも分かる。しかし、児童図書室は、ロビーや他の図書室よりも明るい照明と配色をして、自習室は広めの机を用意するなど、運用面で工夫が感じられると言える。
 池田市立図書館の最大の欠点は、立地である。市民への利用を促すために、最寄り駅とは異なる駅前に別館を設置した。別館は蔵書数が7分の1だが、貸出数は5分の2程度であるため、立地の重要性が鑑みられる。平成21年には、貸出と返却を行うサービスセンターを最寄り駅内に設置したが、十分周知されているとは言い難いため、サービスの広報活動と他の地区への設置が急務と考えられる。
参考文献、その他参考情報
参考文献:市民の図書館 田中共子 岩波書店
公式Webサイト:http://www1.lib-ikedacity.jp/top/index.htm
所在地:大阪府池田市五月丘1丁目10−12

総評:合格
講評:現状の図書館サービスについて具体的に記述しています。立地の点で問題があるようですが、今後その点についてどのように考えますか?
1.設題の理解:A 2.教材の理解:A 3.考察力:A 4.文章表現力:A 5.論文の構成:A 6.基礎の理解:A 7.要約力:A 8.論旨の明確性:A 9.条文の明示:A 10.用語使用方法:A 11.誤字・脱字:A 12.訳語・訳文の研究: 13.公式の理解: 14.資料・参考書研究:
5303 図書館経営論
課題:研修の必要性をのべるとともに、具体的展開としての研修の種類をあげ論ぜよ

 図書館の基本要素は、資料・施設・人と言われるが、研修は人の能力・意識向上のための方法である。
 研修の必要性としては、資料を利用者に提供すること、施設を適切に運営・管理することいった図書館の目的を遂行させるための人員を育成・維持していくことである。したがって、研修は、研修を受けることが目的ではなく、利用者サービスを向上させるための手段であり、あくまで図書館の利用者が主であるという、奉仕の精神による利用者中心の思考でなければならない。
 職員が研修を受けることで、自館の至らないところを認識すると考えられる。他の図書館の事例を学び、違いを認識することで、対応策を考えられる。そして、研修で学んだことと対応策を他の館員と共有化して、所属する図書館の発展に役立てることができる。さらに、自館での対策を他の研修で発表することで、図書館全体としてのレベルアップが図られる。これが、研修の必要性と言える。ただ、このような好循環を生むためには、建設的発展思考を館員が行っているという、組織的な受け皿が必要である。
 研修の具体的な種類としては、能力開発として@自己啓発研修A集合研修BOJTの3つと、能力を測定するCヒューマンアセスメント研修がある。以下で、各々を述べる。
@自己啓発研修
 自己の研鑽の基づく自発的な研修を指す。そして、自己啓発は、能力開発の原点や教育の原点と言われる。図書館員における自己の学習としては、参考図書の研究や専門主題に関する研究がある。こういった自助努力の結果として、より高度な図書館サービスの提供が可能となる。
 専門職性を高めるために研修は欠かせないが、団体が主催する外部研修に依存していることが現状である。しかし、自己啓発し、知識を深めるという意欲が能力開発の原点であり、自力が先で、他力は後という考えが重要である。
A集合研修
 一会場に人を集めて、職務に関係する特定テーマについて講義を受けたり、ロールプレイをしたりする形式が一般的である。民間企業を例に取ると、管理者研修、昇格者研修、新人研修などがある。
 ビジネスセミナー等のビジネスベースで研修が行われると、どうしても流行のテーマに偏ることが多いが、会場に行ったり講師を招いたりせずに、内部の知識・経験を持つ者を講師として、内部で行うこともある。
BOJT
 業務中に、上司が個々の職員に、職務遂行能力の向上を目的として行う研修である。OJTには定型業務と非定型業務を扱うが、定型業務は、指導計画表を作成して行われる。
 明治大学図書館の西脇亜由子氏は、各館でサービス対象が異なるために、「同じ図書館の勤務経験であっても、具体的にどこまで生かせるものなのかは分からない」と記述している。このことから、職員としての定型業務を処理できるようになるまでには、OJTが不可欠である。
 一方、非定型業務を扱うことを戦略的OJTと言う。自館や環境の変化を感知して課題を認識する課題形成と、課題の解決方法を模索して、実行計画を練り、実行後にその方法を評価する課題解決に分かれる。課題解決は、ほとんどのマネジメントの書籍に「PDCAサイクル」として紹介されている。
Cヒューマンアセスメント研修
 個々人の能力や適性を把握するための研修である。内容によって、知識研修(資料の知識、利用者ニーズの認識、発注・受入等)、技能研修(パソコン操作、分析力といった職務遂行能力)、態度研修(仕事への意欲、責任感等)、問題解決力(諸問題を解決し、総合的能力を培う)の研修と、4つに分けることができる。
 以上が研修の具体的な種類である。さらには、近畿大学通信教育部の毛利和弘氏は、館員研修には、「未来予測できる研修と、利用者の自立を高める利用者教育のための研修が特に必要である」と記述している。前者は、社会のニーズと図書館を乖離させないためであり、後者は利用者が自立することで、図書館の存在価値が高まり、質の高い図書館サービスが展開されるためである。
 今後の図書館は、職員の裾野を広げることが重要であると考える。利用者の多くは、開架の棚を見て、背表紙から推測される内容の資料を手に取ることが図書館の利用だと思っている。レファレンスサービスなどの職員の専門性を利用できることを、もっと身近にすべきである。そして、我が国の司書の教育課程は公共図書館を対象としているために、海外の経済専門司書や法律専門司書といった専門司書の育成が遅れていると言える。したがって、職員と言うより専門職としての研修が急務であると考えられる。
参考文献
図書の譜(明治大学図書館紀要)9号 明治大学図書館編 明治大学図書館

総評:合格
講評:設題の「研修の必要性をのべる」の部分が弱くなっているのが残念です。
1.設題の理解:B 2.教材の理解:B 3.考察力:B 4.文章表現力:B 5.論文の構成:B 6.基礎の理解:B 7.要約力:B 8.論旨の明確性:B 9.条文の明示: 10.用語使用方法:B 11.誤字・脱字: 12.訳語・訳文の研究: 13.公式の理解: 14.資料・参考書研究:B
5304 図書館サービス論
課題:身近な公共図書館(都道府県立より、市区町村立が望ましい)を観察し、このテキストに書いてあることと比較しつつ、その図書館の特徴を述べ、またあなたの具体的で実現可能な希望を述べなさい

大阪府池田市にある池田市立図書館(本館、通称:丘の上の図書館)を調査した。以下では、池田市立図書館と記載する。
1.立地(平成22年3月31日時点)
 池田市立図書館は、昭和37年に開館し、昭和55年に現在の建物に移設された。歴史民俗資料館を併設している建物の裏には、古墳時代末期とされる五月丘古墳があり、文化財にも触れ親しめるように、現在の立地となった。そのため、駅周辺部の市の中心から離れた場所に立地している上に、バス停からも離れており、利便性が良いとは言い難い。さらに、丘陵地の中腹に位置するために、大きな駐車場を併設することができず、利用しづらい立地と言える。
2.施設(平成22年3月31日時点)
 建物は、鉄筋コンクリートの地上2階地下1階建てで、施設面積は2512.32m2(うち、書架・閲覧室・自習室は1199.83m2)である。1階に児童書と一般書の文学、雑誌などの利用頻度が高い図書を置き、2階に理工学書や自習室を置き、利便性を高めている。
3.蔵書数・貸出数(平成22年3月31日時点)
 池田市立図書館の蔵書数は、275,246冊で、内訳は一般書:168,506冊、児童書94,110冊、AV資料:1,867点、雑誌:10,763冊である。同時期の池田市の人口は、104,048人のため、一人あたりの蔵書冊数は、2.62冊となる。なお、貸出数は、480,998冊であり、一人あたりに直すと4.62冊である。
 平成17年の社会教育調査よると、公立図書館の蔵書数は339,022千冊で、同時期の人口統計では127,768千人のため、我が国一人あたりの蔵書数は、2.65冊となる。したがって、池田市立図書館の蔵書数は、ほぼ平均と言える。
 同程度の規模の自治体と比較するため、東京都昭島市について調査した。昭島市は一般書:229,612冊、児童書:100,359冊を所蔵している。池田市は一般書:204,376冊、児童書:109,047冊である。したがって、池田市は、児童書の割合が多いと言える(池田市には池田市立図書館と石橋別館があるため、2館の合計を算出して求めた)。一人あたりの貸出数は、昭島市が6.07冊、池田市が6.57冊であり、池田市は比較的利用されていると言える。
 以上が、池田市立図書館に関する調査である。そして、実際のサービスについて、観察の内容を以下に記述する。
 貸出業務は、多くの公共図書館と同じく、Web上から資料の検索、予約、貸出期間の延長が可能である。
 また、視覚障がいがある方のために、対面朗読サービス、大活字本や録音テープや拡大鏡があり、聴覚障がいがある方のために、筆談による対応がある。その他、肢体不自由・内部機能障害があるために図書館まで来られない方のために、宅配で本などを貸出するサービスも行われている。
 視聴覚AVコーナーには、ビデオテープ・DVD・CDがあり、希望者は視聴できる。しかし、ビデオテープが中心であり、資料の更新が進んでいない印象を受ける(20年以上前に視聴した資料がまだ保管されていた)。
 図書館主催の行事として、子どもに対する「おはなしのへや」という絵本の読み聞かせや、利用を促すための図書館見学会が行われている。その他には、読み聞かせや録音テープを作成するボランティアの育成、一般を対象とした講演会も行われている。
 児童図書室は、ロビーや他の図書室よりも明るい照明と配色をして、広めの机を用意するなど、運用面について工夫が感じられると言える。しかし、一方でヤングアダルトサービスの不十分が挙げられる。登録者の統計情報からも、小学生以下は多いが、中高生は少ないという事実がある。児童図書室と一般図書室しかないため、独立したコーナーがなく、ヤングアダルトの特性からも利用しづらいという問題がある。この点について、児童図書の一角か、一般図書の一角にコーナーを設けるなどの対応が必要と考える。
 さらに、池田市立図書館の欠点として、立地が挙げられる。開館当時から、専用車両による移動図書館を行う他に、市民への利用を促すために、最寄り駅とは異なる駅前に別館を設置した。別館は蔵書数が7分の1だが、貸出数は5分の2程度であるため、立地の重要性が鑑みられる。平成21年には、貸出と返却を行うサービスセンターを最寄り駅に設置した。しかし、サービスセンターは、19時までのサービス提供であるため、通勤客が多いという駅の利用特性を考えると不十分であると言え、サービス提供時間の延長が望まれると考える。
参考文献・参考URL
市民の図書館 日本図書館協会 日本図書館協会
池田市立図書館公式Webサイト
http://www1.lib-ikedacity.jp/top/index.htm
昭島市民図書館Webサイト
http://www.library.akishima.tokyo.jp/index.html

総評:合格
講評:池田市立図書館のことがよく調べられています。ご希望が実現するよう、働きかけてみて下さい。他の自治体の図書館を訪れ、相違点を考えてみてください。
1.設題の理解:A 2.教材の理解:A 3.考察力:B 4.文章表現力:B 5.論文の構成:A 6.基礎の理解:A 7.要約力:B 8.論旨の明確性:B 9.条文の明示:A 10.用語使用方法:A 11.誤字・脱字:A 12.訳語・訳文の研究:B 13.公式の理解:B 14.資料・参考書研究:B
5305 情報サービス概説
課題:図書館の利用指導(利用教育)の目的を明らかにし、指導内容はいかにあるべきか、大学図書館の例をあげ論ぜよ

 図書館の利用指導は、利用者が自立して、各自が探している情報を効率的に調査・検索できるようにすることが目的である。
 「通信技術やコンピュータの飛躍的な発達に伴い、大量の情報が生産され、流通・蓄積・廃棄という活動が展開される社会」という情報化社会において、日々生成される膨大な情報から、自分に必要な情報を探し、問題解決を行うためには、情報入手のための調査法を学ぶことと情報の選択能力をもつことが必要とされる。このことを図書館の利用者に身につけてもらうことが利用指導(利用教育)である。
 大学では、学生がレポートや卒論の作成のために、資料を集める必要がある。しかし、米国と比較して、ほとんどの学生が文献調査法を知らず、また「小・中・高校における教育において、文献調査法を教える教員はごく少ないのが現実である」ことから、学生の在学中の効率的な情報収集のみならず、生涯教育としての面も踏まえて、利用指導を行うべきである。
 大学図書館で行われている指導内容としては、@オリエンテーション(図書館が独自で行い、新入生を対象として数十分程度のプログラムで行う)A図書館ツアー(図書館内を案内しながら利用の仕方や図書館サービスの種類を説明する。多人数の場合には視聴覚メディアを使用する場合もあるが、対象者を定員制にするなどして実際のメディアにふれることを重要視する場合もある)BOPAC検索・カード検索指導(オンラインデータベースであるOPACの使用方法や、まだコンピュータ化していない図書館は目録カードによって、図書・資料の検索を行うための手法を教育する。図書館ツアーに含まれる場合もある)C文献探索法(おもに1・2年生が対象である本・雑誌論文記事・新聞記事探索の一般文献探索法と、3・4年生が対象となる主題別文献探索法がある。最近はオンラインサービスやインターネット利用を含めて文献探索法を指導することが多くなっているため、情報リテラシー教育とも言われる)Dコンピュータリテラシー教育(パソコンや学内ネットワーク端末機の操作、インターネットの使用方法や効率的な検索の方法といったコンピュータの操作方法の教育である)Eレポート・論文を作成するためのステップ指導(レポートや論文を作成するための資料収集や参考文献の引用の記述方法、表現方法を指導)F視聴覚機器やコンピュータ機器を使っての編集指導(レポートや卒論、研究発表等を電子媒体で作成する場合の編集方法や使用方法を指導する)がある。
 以上の指導内容は、個々の学生への教育効果を期待し、実際にその成果を出すことが目的であり、指導教育を行うことが目的ではない。教育成果を測定することは難しいが、相談窓口を設けて、原始的調査法しか知らない学生に対しては図書館ツアーを勧めることや、実際に単位を付与するというカリキュラム化の検討も必要と考える。
 特に、近年はインターネットの利用法やデジタル資料への対応が急務と考えられる。近畿大学通信教育部「情報サービス概説」によると、特定レポートの作成に新聞記事を使用した学生は約200人中1人で、他の学生は全て図書を利用した(上記の1人も図書がなかったから新聞記事を使用したということだった)。さらに、現在では、図書を利用する学生が少なくなっている。読売新聞によると、「(コピー&ペーストを発見するプログラムを)開発した花川典子教授らが7月下旬、全講義のリポート5249件を調べると、約4割にコピーの可能性があった。」という調査がある。それどころか、Webで検索をすると、「代筆屋」というレポートから卒論・修士論文まで代筆を請け負う業者が大々的に広告を出している。
 これを、「最近の学生は勉強しない」と片付けることは、簡単ではあるが発展的ではない。前述の新聞記事にも、「学生時代は考える力をつけ、社会で活躍するための大切な準備期間だと何度も助言しても、目の前の楽しさに負けるようだ」と教授のコメントが掲載されている。しかし、現在の学生が18〜22歳であることを考えると、彼らが小学生の時には、既にコンピュータは身近なものになっており、携帯電話を使用して物事を調べることに抵抗感はない世代と思われる。つまり、分からないことはコンピュータでインターネット上の情報を探すことが普通であり、学校図書館や公共図書館を使用するという意識自体が低いと言える。これは、彼らだけの責任ではなく、大学以前で文献の調査方法を教えられていない現状が大きく関係している。
 したがって、大学では、文献探索法とコンピュータリテラシー教育の充実に加え、文献とWebを引用する際の注意点や著作権についての啓蒙が重要であると考えられる。
参考文献
読売新聞 2010年8月15日 朝刊

総評:合格
講評:学習・理解はよくできています。

1.設題の理解:A 2.教材の理解:A 3.考察力:B 4.文章表現力:B 5.論文の構成:A 6.基礎の理解:A 7.要約力:B 8.論旨の明確性:B 9.条文の明示: 10.用語使用方法:A 11.誤字・脱字: 12.訳語・訳文の研究: 13.公式の理解: 14.資料・参考書研究:B
5306 図書館資料論
課題:「図書館の館種と資料の選択」についてまとめ、私見を加えてください

図書館の館種は、サービス対象や設置主体によって下記の5種類に分かれるため、それぞれについてまとめる。
1.公共図書館
 公共図書館は、現行の図書館法で規定されており、教養・調査・レクリエーションを目的とする施設をいう。一般的な市立・区立図書館であり、最も身近な図書館である。住民(実際には、その市区に通勤・通学する者も含まれる場合が多い)が身近に利用する図書館であるが、全ての利用者に対して、求める資料が所蔵されていることは現実として不可能である。しかしながら、利用者の要求について、満足を最大化する努力をするべきである。人気作家の最新小説などはその好例であり、多数の利用者の要求に対して複数冊用意する、同書籍の寄贈を募る等の対応を取ることが望まれる。
 他に、市区立図書館に求められることとして、調査・研究のために、その地域の歴史的資料の収集も重要であると考えられる。旧家や地区の公共施設等にある資料を一定数揃えることで、地域の特性を知りうる貴重な史料であり、極論すると「その地域にその資料が所蔵されていること」が価値となる。この点においては、図書館職員だけではなく、歴史学者や地域研究家、教育関係者などを含めることで、より史料性の高い資料を収集することが可能であると考えられる。
2.大学図書館
 大学図書館は、学生のためでもあるが、それよりも研究施設の附属図書館という面が強い。各大学にある学部・研究科に応じて専門書籍が収集される(ただし、ほとんどの大学には一般教養科目もあるため、この限りではない)。専門書籍は発行部数が少ないが、内容が陳腐化することもあるため、所属する専門家の協力を得て収集されることが望ましいと考えられる。  研究機関であるため、常に新しい情報の情報源を収集する必要がある。経験的には、書籍として編集・出版される前に発表される各学会の論文集を国内外問わず収集することが望ましい。図書館のみではなく、各学会に所属する教官が所有している場合も往々にしてあるため、図書館単体ではなく、大学組織として、図書館がゼミや研究室と相互に情報を伝達することによって、網羅的な収集が望まれる。
3.学校図書館(小・中・高校)
 学校図書館は、児童・生徒のものであり、学校の教育活動に則して、成長につながるものでなければならないと考える。しかし、学校図書館は、専任担当者の不在、資料費の不足、教育カリキュラム上の優先度が高く設定されていないといった点から、資料の選択に関して十分検討がなされていないという問題が指摘されている。したがって、児童・生徒が本に接しやすく、学校の教育カリキュラムと整合していること、特定の思想に偏らないような多面的な資料の選定が望まれる。そして、児童・生徒の理解力の水準に合わせることが必要不可欠であるが、小学校には小学生対象の書籍と決めつけることは望ましくないと考える。児童・生徒と一括りに言っても、個人で理解力に差があり、背伸びをしたい年頃でもあるため、少し上の年齢が対象の書籍も一部準備することが、学校図書館には必要と考える。
4.専門図書館
 専門図書館は、企業や研究機関の図書室等の、特定のメンバーを対象に、資料の提供を行うために設置されたものである。したがって、資料は所属しているメンバーの要求するものが主体となる。専門分野によっては、専門書籍が高価であるため、専門図書館の意義は大きいと考えられる。資料は、専門分野ごとに収集されるために、特定分野に限定されることが多い。  その他、民間研究所の関連企業グループに関する研究結果や出版物の収集、公開を行っている場合がある。例えば、三菱総合研究所は、三菱グループの企業活動や社会活動についての研究を行い、財団として研究成果を公表している。これらについて、一般公開されている場合には、部外の利用者は少ないにしても、企業の行っている活動を理解できる数少ない場所でもあるため、今後も予算が組まれて、継続されることを願う。
5.国立図書館
 国立図書館は、日本国内で出版されたすべての出版物を収集・保存する日本唯一の法定納本図書館である。支部図書館として、各省庁の図書館があり、例えば国土交通省なら、国土計画や治水事業等の専門書や教育書が収集されている。他には、省内の委員会の議事録、各種統計資料が所蔵されており、受動的ながら、情報公開を行っている。
 納本制度により、全ての出版物(書籍の他に、CD・DVD等の電子媒体も含まれる)が保管されているため、資料の収集のルールは明快である。しかし、ここ数年は、出版物の増加に伴い、格納する倉庫の容量の問題が発生している。

総評:合格
講評:設題について、基本的な事柄の理解はよくできています。
図書館の館種は5種に類別され、それぞれは設置の目的やサービスの対象が異なる。
そのため、各図書館では利用者の要求に対応しうる有効な資料の選択、収集の合理的システムを構築して運用、実施にあたる必要があるでしょう。
末尾に参考文献を掲出すること。

1.設題の理解:A 2.教材の理解:A 3.考察力:B 4.文章表現力:B 5.論文の構成:B 6.基礎の理解:A 7.要約力:B 8.論旨の明確性:B 9.条文の明示: 10.用語使用方法:B 11.誤字・脱字:B 12.訳語・訳文の研究: 13.公式の理解: 14.資料・参考書研究:C
5307 専門資料論
課題:参考図書について説明せよ

 参考図書とは、いろいろな事柄を個別的に体系的に、網羅的に調査・参照するときに利用することができる図書のことで、レファレンス・ブックスとも言う。図書の中でも小説や一般専門書のように通読されず、目的に応じて必要な箇所を部分的に読むものが参考図書である。つまりは、特定の事実または知識についての情報を、求められた場合に即座に得られるように、情報を集めて配列した編纂物であるため、主題や内容が独立しており、それぞれの事項や言葉を個別的に調査・探索するための有効なツールと言える。したがって、特定の主題や疑問を調べるためや、手掛かりをつかむために利用する。
 参考図書は2つに区分でき、@求めている情報をその場で提供するものA求めている情報の有無または所在を示すもの、である。前者は、辞典、事典、年鑑、人名辞典、地図、地名事典、便覧などが含まれ、後者は書誌、索引がある。
 以下では、それぞれの参考図書について説明する。
 辞書とは、一定の配列方法にしたがって、ことばを並べ、ことばの意味、起源、語訳、綴り、発音、音節、用語などを記述している図書である。例として、ことばのいろいろな事柄を説明している「広辞苑」(岩波書店)や、漢字を集めて配列して、それぞれの音訓などを明らかにしている文字の書として「大字典」(講談社)が挙げられる。
 百科事典とは、人間のあらゆる分野の知識の集大成であって、あらゆる情報を網羅的に収録しようとの意図のもとに編纂された図書である。しかし、一般的な百科事典は、専門的な事項を広い視野で背景を加えながら、誰にでも理解できるようにまとめたものであるため、専門のことを詳細に記述したものではない。したがって、調査を開始するにあたって、百科事典を用いて予備知識を得て調査を進めると効率的であり、事項に関する基本的文献や、より専門的に記述されている文献に進むことができる。例として、「世界大百科事典」(平凡社)等が挙げられるが、網羅的に収録されているために、数十巻に及ぶものもある。
 専門辞典とは、知識の全分野ではなく、特定の主題分野についての基本的な知識や必要な情報を提供する資料であり、主題百科事典とも言われる。専門辞典は、専門領域の情報や知識が比較的容易に得られる。例として、「岩波理化学辞典」(岩波書店)や「経済学大辞典」(東洋経済新報社)などが挙げられる。
 年鑑類として年鑑と名鑑がある。年鑑は、もともと、特定年間に生起したもろもろの事柄を一定の体系にまとめて記録・解説している年刊の逐次刊行物をいう。内容としては、一般に、年誌、年間の概観、新しい発明・発見、統計資料などの、数年または十数年ごとの改定では追いつかない新しい情報は年鑑に収録されることが多い。年鑑には、一般的な総合年鑑、地域別年鑑、統計年鑑があり、性質の近いものには白書、年報がある。例として、総合年鑑には、「朝日年鑑」(朝日新聞社)があり、統計年鑑では「日本統計年鑑」(総務省統計局)が挙げられる。
 名鑑とは、原則として年ごとに刊行され、現存する個人または団体を検索して、それに関する簡単な情報を与えることを目的とした刊行物のことである。例として、「日本紳士録」(交詢社)や「日本医籍録」(医学公論社)が挙げられる。
 便覧類とは、便覧ハンドブックのほかに、総覧、要覧、全書、宝典、手引、必携、大成、集覧、案内などがある。便覧とは、もともと手軽に携帯できる便利で小さな本という意味である。このことから、ハンドブックは、特定の学問分野やある主題に関する知識を要領よく手短に解説し、項目別あるいは分類別に配列して、手に持つことのできる程度にまとめられている。収録されている主題分野の実務家や研究者たちにとって、有用な参考図書となるだけではなく、詳細な索引がついているので、各種の事実、専門用語、動向、最新の技術などを簡単に得ることができるので、一般の人々に対しても当該分野の事柄を調査することにも役立つ。例として、「JISハンドブック」(日本規格協会)や「ポケット六法」(有斐閣)が挙げられる。
 索引とは、単行書や雑誌その他の資料を対象として、その中の特定の部分に容易にアクセスできるよう、アクセスの手がかりとなる語(索引見出し)を一定の規則で配列し、各見出し語のもとに該当する情報の所在表示を記載したリストのことである。索引は、さまざまな情報への媒体となる資料を指示する二次資料であり、書物の中の語句と事項を探しやすい配列した表の内容索引と、図書や雑誌の中の論文・記事を探し出すことができるようにしたリストの文献索引の意味がある。例として、「雑誌記事索引」(国立国会図書館編)が挙げられる。
参考文献
「レファレンスワーク」 小田泰正 (日本図書館協会)

総評:合格
講評:全体に参考図書の意義については基礎の理解がよいと思いますが、もう一歩、論文構成を研究してください。
1.設題の理解:A 2.教材の理解:A 3.考察力:A 4.文章表現力:B 5.論文の構成:B 6.基礎の理解:A 7.要約力:A 8.論旨の明確性:A 9.条文の明示: 10.用語使用方法:A 11.誤字・脱字:A 12.訳語・訳文の研究: 13.公式の理解: 14.資料・参考書研究:A
5308 資料組織概説
課題:図書(和古書と洋書を除く)の組織化について、その概要を次の5項目に区分して述べよ
1.記述対象 2.記述 3.標目 4.配列 5.請求記号
付随して、NDCの特徴について説明せよ

 図書の組織化とは、図書を利用者に効果的かつ効率的に提供できるようにする業務である。その業務は、一館内でも複数の人々が長く従事するために統一を維持することが難しい。したがって、維持するためのツールがあり、目録規則として日本目録規則(NCR)、件名標目表として基本件名標目表(BSH)、分類表として日本十進分類法(NDC)が挙げられる。
 組織化は、NCRに沿うと、1.記述対象を決定する2.記述を記録する3.標目を付与する4.記入を配列する5.請求記号を与えるという過程となる。以下では、それぞれの過程について述べる。
1.記述対象を決定する
 図書には複数のタイトルが共存する場合が往々にしてあるため、記述対象を決定するために、書誌階層構造がある。一連のシリーズの集合書誌レベル、図書のシリーズではない単行書の単行書誌レベル、その図書の一部分の構成書誌レベルと、上位レベルから下位レベルまでが存在する。さらに、逐次刊行物では、逐次刊行書誌レベルを設定する。このうち、単行書誌レベルと逐次刊行書誌レベルを基礎レベルと言い、これを記述の冒頭に置くことで記述対象を決定できる。
2.記述を記録する
 記述とは、目録記入(目録を構成する最小単位で、個々の図書についてタイトルや著者名などの書誌的記録を記録したもの)の主体で、他の資料と識別するために必要な書誌的事項を組織的に構成したもの、または書誌的事項の全体をいう。実際には、図書のタイトル等を、組織的に構成していく作業のことである。記述の記録対象は、各図書館間の協力のために、目録情報の多寡が大きくずれないように、NCRで3つの水準を示している。
 内容としては、第1水準:必須の書誌的事項、第2水準:標準の書誌的事項、第3水準:NCRにおいて規定されているすべての書誌的事項となっている。
3.標目を付与する
 標目とは、図書についての目録記入を一覧に並べる際に使われる見出しである。目録内での並びの順番を決める第一要素であり、目録の利用者が検索する際の手がかりとなる。
 標目には、タイトル標目・著者標目・件名標目・分類標目の4種類がある。このうち、タイトル標目・著者標目・件名標目は、単語で区切って片かな(記載方法はNCRで規定されている)で記入し、分類標目は所定の記号で表わす。件名標目と分類標目は、利用者が図書を検索する際の手掛かりとなるが、件名標目は主題を言葉で表わし、分類標目は記号で表現するという違いがある。
 利用者の検索を保障するために、目録には同姓同名の著者の識別や異名同人の著者の関連付けを示す機能があり、これを統制することを典拠コントロールと言う。
4.記入を配列する
 配列とは、標目の文字・数字・記号および書誌的事項などによって、記入と参照を一定の順に編成する作業である。参照とは、記事に先行文献の書誌情報を添えることである。この作業が完了すると、利用者による記入の検索が初めて可能となる。配列の基本原則としては、「無は有に先行する」である。この原則は、カードでも電子データのレコードでも差はなく適用される。
5.請求記号を与える
 図書自体にラベルを背に貼り、記号を記入して、その図書は請求記号の指示にしたがって配架される。そのラベルに記入する記号が請求記号であり、@書架分類記号とA図書記号(同一分類記号の資料を区別するために与える記号)から構成され、さらにB補助記号とC別置記号を伴うことがある。記載位置も決まっており、別置記号と書架分類記号が第1段、図書記号が第2段、補助記号が第3段である。
 書架分類記号は、一般に書誌分類記号を簡略化するか、そのまま転用して得られる。書誌分類記号は、複数の主題全てに対応するために、目録中に分類標目として表現される。
 NDCでは、十進記号法によって、数字のみで分類記号を配当する。このように一種類の記号から配当される記号法は、純粋記号法と言われる。十進記号は、数値ではなく順序を表わす記号であるため、関連する図書が探しやすいという特徴がある。NDCのように、全ての主題に対応した分類項目をあらかじめ分類表に用意する方式を列挙型分類法という。
 NDCの記号は、知識の相対を9つのグループ(第1次区分)に区分し、どれにも属さない包括的な主題の資料のためにもう1つのグループ(総記)を用意して10のグループを作る。さらに、第2次区分、第3次区分と詳細化し、第6次区分まで細分化する。しかし、あらゆる分野で主題を9等分できないため、関連性の高い複数の区分肢を同一分類記号の下に合併することや、主要な主題を8つに分類した後に、9つ目にその他の主題とすることで解決している。
参考文献 図書館情報学用語辞典 日本図書館情報学会 丸善

総評:合格
講評:ほぼ記すべきことを堅実に記したレポートである
1.設題の理解:B 2.教材の理解:B 3.考察力:B 4.文章表現力:B 5.論文の構成:B 6.基礎の理解:B 7.要約力:C 8.論旨の明確性:B
5309 児童サービス論
課題:ヤングの特徴にもとづいて、YAサービスの必要性を説き、働きかけの例をいくつか述べて下さい

ヤングアダルトの特徴
 ヤングアダルト(以下YA)とは、青年期の人たちである。思春期に入り「性の芽生え・性の衝動」を自覚して、自分自身の中に起こっている未知のことに戸惑いおののく。
 第二次性徴で生殖可能ということから、自分では「もはや子どもではない」と思う一方で、周りの大人は未熟な面から「まだ大人ではない」と扱う。
 ここに大人とYAの間で、摩擦が起こる原因がある。
 もはや子どもではないという認識は、親離れとなって、自分を律していこうとする自律から、自分が望むように自分を作り直し、自己を形成していくという「第二の誕生」と言うことができる。
 しかし、自分が望む姿になるためには努力と苦労を要し、イメージをするためには思考力と精神力を要する。この時に探究心が強くなるが、身体的・知的・社会的な発達が並行して進行しないために、葛藤と矛盾が共存するという特異な時期である。
 これは、YAの形成する文化に集約されている。大人が眉をひそめるような奇抜なファッションや音楽、美術等を形成するが、自分に真剣に向き合わっていないという逃避的な一面が存在し、現実への抵抗としての「しらけ」等、多くの問題を抱える。
ヤングアダルトサービスの必要性
 YAには、独自の文化がある。そのため、YAに限定されたサービスを検討する。YAは、子どもと大人の狭間にあり、個人の興味も千差万別である。興味・関心のある分野や領域について知りたいという欲求がある一方で、成長過程のために十分なリテラシー能力が備わってない。ここに、対象を限定したサービスの役割がある。
 YAは、携帯電話を中心とする情報機器やインターネット等の新鋭の技術には明るい。そして、現在の情報技術では、瞬時に膨大な情報を得ることができ、刺激的な娯楽が増えた。あわせて、AV機器の充実により、自宅でも視覚や聴覚から物事を疑似体験できるため、読書やその他資料の閲覧によって、自らの想像を膨らませる機会が減った。
 しかし、読書は、YAが抱える将来への不安や自分の思うとおりに成長できないという悩みについて、先人たちも同じ悩みを持ったことを伝え、社会を支えていく側になるための準備として、話題の情報を提供する。そして、その特有の不満を破壊衝動に向かわせずに、荒ぶる魂を鎮める効果も期待できる。
 社会や大人に反発心や反抗心を持つ時期であるため、周りの大人の影響を受けにくい。そこで、サービスを提供する側が歩み寄るとともに、自分で対象を選び、自分で学ぶという過程で独立心を養うことが望まれる。さらに、YAが自分自身ですら気づいていない潜在的な欲求に対して、働きかけるものであることが、YAのさらなる成長に手を貸すこととなる。
ヤングアダルトへの働きかけ
 働きかけるために、まずYAが集まることができる場を提供することが挙げられる。大人や社会に反抗的であるために、押し付けがましくなってはならない。さらに、同世代の繋がりを大切にすることから、YAだけが集まれるスペースとなることが望ましい。ただし、YAの流行の盛衰は激しいため、こまめな更新が望まれる。
 場を提供した後に、一人前の大人直前という微妙な時期にいるYAへ読書の支援を行うことは、多くの意味があると言える。実際に図書館では、フロアワークやレファレンスサービス等のサービスが展開されている。
 フロアワークとは、図書館職員が館内を巡回して、利用者の質問に答え、本の選び方の相談を受ける、資料と利用者を結び付ける活動である。YAは、大人とのコミュニケーションが上手く図れないことも多いため、根気強く、忍耐と自信を持った態度で対応していくことが望ましい。
 レファレンスサービスとは、利用者が学習・調査を目的として必要な情報や資料を求めた際に、図書館員が必要とされる資料を検索・提供・回答することによってこれを助ける業務である。YAは、大人に反抗的な態度を示すために、子ども扱いしないことが重要と言える。レファレンスサービスは、フロアワークと同じく、根気よく自分で調べるという、もうすぐ社会に出るというYAにとって大切な能力を養えるチャンスでもある。
 いずれのサービスも、図書館員が行うべきは、あくまで補助であることが望まれると考える。YAが成年へと成長する過程および、それ以降においても使用可能である、自主的に多彩な検索手段を身に付けることが目的である。これは、社会に出て、いろいろ直面する個別性の高い自分だけの問題を解決するに役立つ。児童で利用した図書館を、YA、それ以降も継続的に利用できるよう、図書館は魅力的な場であることが望まれる。
参考文献
児童サービス論 辰巳義幸 東京書籍
子どもと発達 岡本夏木 岩波書店

総評:合格
講評:「ヤングの特徴」はよく書けていますが「YAサービスの必要性」が設題の求めるところとやや異なります。設題は「ヤングの特徴」でヤングの特徴性の衝動から第二の誕生までこの時期のヤングがたどる道筋を理解します。「YAサービスの必要性」は多大な苦労をともなう自己の確立には読書も役立つことヤングアダルトの読書について述べ(自分を知るための読書、潜在的な欲求に応える読書)ヤングアダルトサービスの必要性を説きます。ヤングアダルトの読書をもう少し詳しく述べて欲しかったです。上記の部分が注意点ですが、基本的な理解はできています。
1.設題の理解:B 2.教材の理解:AB 3.考察力:B 4.文章表現力:B 5.論文の構成:B 6.基礎の理解:AB 7.要約力:B 8.論旨の明確性:B 9.条文の明示:B 10.用語使用方法:AB 11.誤字・脱字:B 12.訳語・訳文の研究:B 13.公式の理解:B 14.資料・参考書研究:B
5401 図書及び図書館史
課題:西洋または日本のどちらかを選び、それぞれの時代(古代、中世、近世、近代以降)の図書館発展の特徴的なところを探り、骨太に要約してください

 日本の古代、中世、近世、近代以降について、各時代でまとめる。
1.古代
 中国、朝鮮からの渡来人によって漢字が伝来し、製紙法も7世紀に高麗の僧より伝わったのち、日本独自の和紙を開発した。
 この時代には、中務省の図書寮、東大寺写経所、太政官の文殿、天皇の宮中文庫、公家文庫があった。したがって、図書は、貴族と僧侶のためのものであり、大陸から伝わった文化(特に仏教)を記録するために使用されることが主であった。
 奈良時代末期の石上宅嗣が開いた芸亭は、仏教書以外の書を蔵する院も設けて、公開の図書館の始まりとされている。
2.中世
 鎌倉幕府以後は、公家文化から武家文化と変遷した。そこでは、宗・元文化からの影響で、禅宗が基調となった。仏教の記録・発展のために使用されたという点は同じだが、図書の対象は、公家から武家に変わったと言える。
 江戸時代に入ると、幕府は儒教思想を治世の根底に置き、文武両道の太平の実現を目指した。徳川家光は書物奉行を置いて富士見亭文庫の管理にあたらせた。その他、各地の有力な大名が文庫を置いた。特筆すべきは、仙台の青柳文庫である。青柳文庫は、仙台藩藩校・明倫養賢堂から分離独立した仙台医学館構内に1831年に設置され、身分に関係なく閲覧・貸出がなされた。そのため、日本初の公共図書館と言われる(前述の芸亭が日本初という解釈もあるが、運営方法が現代の公共図書館と類似しているため、本文では青柳文庫であると考える)。
 江戸時代には、幕府・大名の他に町人や国学者による公開の文庫や貸本屋もあった。19世紀に入ると、庶民の民間読書は、実用・教育・娯楽にて盛んになり、図書の対象が一部の特権階級から、庶民である町人にも拡大されたと言うことができる。
3.近世
 明治時代に入ると、鎖国が解かれると同時に富国強兵策の一環で海外、特に西洋の図書館文化を習う動きとなった。
 明治5年に文部省博物局によって、初の博覧会が行われ、閉会後に文部省博物局博物館と書籍館が開かれた。書籍館は、文部省の市川清流の「建白書」によるところが大きく、日本の近代的図書館の始まりといわれる。その後、明治30年に「帝国図書館令」によって、書籍館は国立図書館となった。なお、文部省博物局が明治5年に定めた「書籍館書冊借覧規則」には借覧料が明記されており、有料であった。
 書籍館の他には、明治6年に会員制図書館である京都の集書院、各地の新聞閲覧所、書籍縦覧所、千葉県成田山神護新勝寺や出版者博文館の社主などが提供する民間の図書館も開かれた。
 そして、明治32年に「図書館令」が公布され、明治41年には、東京市立日比谷図書館が開館した。日比谷図書館は、「通俗図書館」として新聞閲覧室、児童室、婦人閲覧室を設けて、利用者にとって敷居の低い図書館となることを務めた。日比谷図書館の他には、小学校校舎を午後に借り受けて開く「簡易図書館」が全区で設けられた。
 大正2年に簡易図書館から改称された公共図書館は、自由図書館として大正11年には3300館を越えた。しかし、開館は年に数日で、全体の3分の2が蔵書は1000冊未満という実態で、十分に整備されたとは言い難い。
 そして、図書館も世界大戦の影響を免れなかった。昭和6年の満州事変以来、治安維持法などの思想・言論の統制・弾圧は、図書館での閲覧禁止図書の指定が発生した。
4.近代以降
 戦後の日本の図書館は、アメリカの指導のもとで建て直しが進められた。GHQの民間情報教育部によって、昭和27年にはCIE図書館が21ヶ所に及び、アメリカの公共図書館のレファレンス・開架書架・視聴覚資料などのサービスが行われた。
 昭和23年に国立国会図書館法、昭和25年に図書館法、昭和28年には学校図書館法が制定され、現代の図書館の基礎が完成した。学校図書館法により、ほぼ全ての学校に図書館が設けられた。しかし、条文の不十分さによって、司書教諭の配置を滞らせたが、平成9年に一部改正されて、解決した。
 戦時中の言論規制を繰り返さないように、昭和29年に全国図書館大会において、「図書館の自由に関する宣言」が採択され、資料収集と資料提供の自由、検閲の反対を宣言した。そして、昭和55年には、日本図書館協会総会にて、社会的責任の増す図書館員の自律的規範として「図書館員の倫理綱領」が決議され、権力から知る自由を守る意識が浸透した。
参考文献、参考URL
日本図書館史概説 岩猿敏生 日外アソシエーツ
宮城県図書館だより「ことばのうみ」第23号 http://www.library.pref.miyagi.jp/kotobanoumi/23.html

総評:合格
講評:よくまとめてあります。印刷・出版の歴史とも大いに関連しますので、本の歴史にも注目して図書館の進歩を概括してください。今日の動向にも注目を。特に電子媒体と図書館との関連。
1.設題の理解:A 2.教材の理解:A 3.考察力:A 4.文章表現力:A 5.論文の構成:A 6.基礎の理解:A 7.要約力:A 8.論旨の明確性: 9.条文の明示: 10.用語使用方法: 11.誤字・脱字: 12.訳語・訳文の研究: 13.公式の理解: 14.資料・参考書研究:
5402 コミュニケーション論
課題:社会とコミュニケーションについて説明せよ

 コミュニケーションは、一つの個体が、他の個体と互いに交渉しあうことを意味する。コミュニケーションによって、この2つの個体が関係を持つこととなる。これにより、社会を構成している個人と個人の間、あるいは集団と集団、国家と国家の間の現在の関係を維持することができる。すなわち、コミュニケーションによって、人間は社会的存在になると言える。
 コミュニケーションの社会における機能は、シュラム(W.Schramm)がコミュニケーションの必要な理由を5つに分類した。これについて、以下で述べる。
1.環境の見張り
 古くはインディアンにおける他部族の侵入を防ぐための監視、現代では新聞やラジオの天気予報や、国内における記者と各国に派遣されている特派員が見張り役である。
 見張り役からの合図によって、自分たちの集団を取り巻く環境に変化が起きるということを察知して、心理的準備をするということになる。
 したがって、見張り役からのコミュニケーションが正確で迅速であればあるほど、準備期間を長く取れ、次の行動をより有利にすることができる。これにより、集団と集団に所属する個人は、広い意味での安全を確保しうる。
2.政策決定とその施行
 見張りからのコミュニケーションにより情報を得たら、集団は統率する者の判断を受け取って、対応する。この判断を伝えることと判断を受け取ることは、集団の統制のためのコミュニケーションと言える。
 インディアンの部族、会社や国家は、周りの環境が変わったことを感知したなら、長老や取締役会や議会が、集団の目標や方針を伝えて、その新しい環境に対応する行動を準備し、実行に移す。つまり、環境つくりのコミュニケーションであり、これは、環境の見張りの対極に立つ。
3.新しい成員の社会化
 コミュニケーションは、組織内でも行われる。小さな単位としては、家族間において、授乳の仕方や排泄の習慣をしつけとして子どもとの間に結ぶ。
 部族では部族の成り立ちや先祖の話、現代社会では義務教育という形で、世代間のコミュニケーションを取る。これにより、新しい世代は、自分の生まれた社会での行動様式を学習する。これにより、その集団が持っている知識と価値を次の世代へ譲り渡す。
 一つの集団が、かなりの長期にわたる尺度の中で存在し続けるためには、このような世代間のコミュニケーションを不可欠とする。
4.たのしみの機能
 コミュニケーションには、楽しみの機能として、慰安コミュニケーションもある。慰安コミュニケーションには、インディアンの部族内における伝承の話だけではなく、唄・おどり・劇もある。
 慰安コミュニケーションにおいて、実用的な面がないわけではない。集団の情緒的な連帯感がかもし出され、集団の統制機能のための心理的な潤滑油として作用することもありうる。秋の収穫祭のように、1年間にわたる肉体的精神的な緊張からの解放であるとともに、次の1年の共同作業を円滑に運ぶための結合感覚の酵母のような役割を果たす。
 ハックスレイ(J.Huxley)は、娯楽は逃避のメカニズムとして使用されると主張した。慰安コミュニケーションの唄・おどり・劇に陶酔することで、わずらわしい集団から一時的に逃避するということである。
5.経済生活のため
 考古学的に2人以上の人間がコミュニケーションを取り結んだ理由に、物質的な生産の必要という事実が有力な要因と考えられている。これは、2匹のチンパンジーが同時に台を引いたら食物が出るようにしたときに、最初は偶然に食物を手に入れていたが、何度か繰り返すうちにタイミングを合わせるように一方のチンパンジーがもう一方のチンパンジーにサインを交わすようになったというクロフォード(M.Crawford)の実験から引き出せる。
 したがって、大きな獲物を狙う、得た大きな獲物を輸送するという社会的な必要が、コミュニケーションを成立させたという現実的基礎である。社会が進化して、狩猟だけではなく、交換や流通のコミュニケーションが必要になると、経済的な流通のための特殊な記号の体系が作られた。これが貨幣単位の発明や、手形や小切手の信用となっていった。
 以上がシュラムの5つの分類である。それぞれは独立しているのではなく、互いに結びついて機能している。人間は、これらの機能を含んだコミュニケーションを必要であるから生成し、意識して行う唯一の動物であるという点が重要である。
参考文献
コミュニケーション論 中森強編著 東京書籍
コミュニケーション論 林進編 有斐閣

総評:合格
講評:全体として、社会におけるコミュニケーションの必要性をよく考えています。内容も充実しているよいレポートです。
1.設題の理解:A 2.教材の理解:A 3.考察力:A 4.文章表現力:A 5.論文の構成:B 6.基礎の理解:A 7.要約力:A 8.論旨の明確性:A 9.条文の明示: 10.用語使用方法:A 11.誤字・脱字:A 12.訳語・訳文の研究: 13.公式の理解: 14.資料・参考書研究:A
5403 情報機器論
課題:図書館で情報にアクセスする時に使う機器や記録媒体(紙以外)について、個別に長所と短所を述べなさい。また、それらの長所や短所を踏まえて、情報機器を導入するときの留意点について、全体的・総合的に述べなさい。

機器・電子媒体の長所と短所
 それぞれの機器及び電子媒体について述べる。
 マイクロ資料とは、本のページや新聞の紙面などを写真の技術を用いて縮小複製したものである。そのため、大量の情報をコンパクトに収納できる収縮性、原資料の大きさによらずに資料サイズを統一できる定形性、紙でできた資料よりも高い耐久性、コピーを作りやすいという高い複製性が利点として挙げられる。一方で、美術品など美術的観点からマイクロ化すると資料の価値が反映されないもの、退色の激しい資料で、文字の判断が難しいものはマイクロ化に適さない。そして、マイクロ化は写真技術を用いているため、フィルムがその媒体となる。フィルムがリール状では、特定のコマを検索することが不便であり、情報の訂正や加除が難しい。シート状では、フィルムの数が多くなるために紛失しやすいという欠点を持つ。
 視聴覚資料は、静止画資料・動画資料・音声資料に分かれる。静止画資料は、絵画と写真であり、文字情報に比べて視覚的な情報の伝達が可能である。一方、資料のサイズや紙質等から保管が効率的に行えないという欠点がある。ただし、近年のデジタル化技術により、原資料でなければならない場合を除き、その問題は、ほぼ解決されている。動画資料は、一連の静止画像を間欠的に連続投影することで動きや変化を知覚することに優れている。一方で動画資料の媒体が多様化(約20年で、8mm・VHS・VHS−C・CD・LD・DVD等と変化している)していることで、それぞれに対応する再生機器が必要であるという欠点を持つ。音声資料は、聴覚情報の資料であり、楽譜や歌唱、文字おこしといった記録情報より、元の音楽・音声を記録することが可能である。一方、動画資料と同じく、媒体が多様化しており(オープンリールカセット・Lカセット・カセット・CD・MD・DVD等)、それぞれに対応する再生機器が必要である。
 電子資料は、紙に印刷された形ではなく、「データ」そのものであり、記録媒体としては、大きく分けて、持ち運び可能なパッケージ系と、通信回線を用いてアクセスするオンライン系がある。電子資料自体の共通の長所としては、印刷が不要であるために速報性が高いことが挙げられる。一方で、パッケージ系の場合では、貸出中には他の人が使えないことと輸送費が掛かること、オンライン系の場合では、通信費が掛かることとサービスに入会しておく必要があることが短所として挙げられる。
 コンピュータの利用は、図書館の業務を大きく効率化した。例えば、目録の作成において形式を共通化することで、複数の図書館で利用が可能となり、受入・閲覧といった業務と目録を連結させることで当該資料の状況が把握できるようになった。一方で、利用者と職員に十分な数の端末を用意することについて費用が掛かること、そして利用と使用について一定の教育が必要であることが短所として挙げられる。
 インターネットの利用により、コンピュータの利用価値はさらに高まった。図書館内のネットワークだけではなく、外のネットワークと接続して情報をやり取りすることで、検索サービスのマルチメディア化、他の図書館や企業体が行うサービスの利用により、情報源の拡張が可能となった。ただし、サービスの利用において、コンピュータネットワーク網が常に使用可能であることが前提であり、サービスの継続的な利用のために一定の費用が掛かる。

情報機器を導入するときの留意点
 最初に留意すべき点は、対象となる利用者の決定であると考えられる。熟練した職員のみが使用するならば、複雑なインターフェースだが高性能の業務処理用パッケージソフトウェアを導入するべきと考える。しかし、子どもから高齢者までの全利用者が利用する書籍検索端末などは、利用に教育があまり必要ないインターフェースを備えたソフトウェアの導入が望ましい。次に、将来的に機器の製造が停止される可能性が低い、現在主流の機器を選択するべきと考える。例えば、現在はLD再生機の製造は停止されているが、メディアは数多く保管されている。最後に、全体のバランスを考慮することが重要であると考えられる。特定の業務やメディアについて最新の機器を導入しても効果は限定的になる。例えば、貸出業務が書籍の巻末に貼りつけられている貸出カード方式であるのに、市内の複数の図書館にある資料が横断的に検索可能なシステムを導入しても、その資料が貸出中かどうか不明であると十分に活用されているとは言えない。また、まだメディアが少ないブルーレイ再生機を導入しても、利用されることは少ない。つまり、機器はあくまで道具であり、便利な道具を効率的に導入するという意識での選択が望ましいと考える。
参考文献
「インターネット自由自在」 石田晴久著 岩波書店

総評:合格
講評:長所・短所はそれぞれが明確になるよう、書いてください
留意点としては次のことをも考えてみて下さい
1.利用者になじみやすく費用対効果はいいのか
2.多様なメディアで得られる情報は重複しないのか

1.設題の理解:A 2.教材の理解:A 3.考察力:B 4.文章表現力:B 5.論文の構成:A 6.基礎の理解:A 7.要約力:B 8.論旨の明確性:B 9.条文の明示:A 10.用語使用方法:A 11.誤字・脱字:A 12.訳語・訳文の研究:B 13.公式の理解:B 14.資料・参考書研究:B

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