AGA
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アレルギー性肉芽腫性血管炎の一例

17歳と稀な若年発症のアレルギー性肉芽腫性血管炎、以下AGAに、さらに虚血肢を合併した症例を経験したので報告する。

17歳、女性。平成109月より気管支喘息を発症し3回の入院治療歴があるがここ1年は落ち着いていた。平成12727日朝、突然右足、左手の痺れが出現し救急外来受診した。上肢に虚血所見はなかったが、右下肢はスライドのごとく趾尖部にチアノーゼを認め脈派でも平坦波で虚血の程度は重度と考えられた。しかし、上下肢とも手、足関節まで主幹動脈の拍動はよく触知された。一般検査を示したが、白血球とくに好酸球が1万と著しく増加しており、またCRP2.62 血小板も高値を示していた。若年であり、凝固異常も考えたが、ATV、プロテインS Cいずれも正常であった。

DSAでは大腿、下腿の動脈に異常はなかった。しかし矢印のごとく足背動脈、後頚骨動脈が途絶しており、わずかな側副血行路が見られるのみであった。またスライド右上のごとく痺れのある左手指のDSAでは明らかな動脈閉塞はなかった。

入院後の治療と症状の経過を示した。薬物療法の適応と考えられまず血管拡張剤、血小板抑制剤の投与を行なった。しかし右下肢の痺れ、痛みは増強し、皮膚虚血所見の進行も見られた。また治療後2週間を経て左のみならず、右手指のしびれも出現するようになり疾患の進行が考えられた。

気管支喘息の既往があること、好酸球の増多が著明であること、多発性単神経炎の存在からAGAと診断し、ステロイドの投与を開始した。すなわちメチルプレドニゾロン1g/3日間投与しその後プレドニン内服に移行した。

 また下肢虚血は極めて高度で切迫壊死の状態でありステロイドのみで改善は期待できず、硬膜外カテ留置によるブロック、リポPGE1製剤の動注、ニトロダームTTS塗布といった下肢趾尖部の虚血所見の変化を示した。

左上段は治療変降直後の写真であるがいまだ高度の虚血状態である。治療を継続するにつれて、虚血領域が鮮明となり、さらに皮膚のみの壊死となり、かつ縮小傾向が見られた。

また当初リポPGE1動注に対する反応は十分でなかったが、右下段のごとく回を重ねる度に反応が良くなり趾尖先端まで拡張効果が得られるようになった。その後壊死部は完全に消失し、17歳うら若き乙女の足を切断することなくプレドニン10mg内服維持で1014日退院した。強力な血管拡張療法を同時に併用した。

しかし、強力療法後のDSAでは、これはivなので鮮明な画像ではないが、わずかに側副路の発達が得られたものの、当然だが閉塞本幹の開存は得られていない。今後再燃時、虚血の進行が心配されるところである。異常値を示した白血球、好酸球、CRPの推移を示した。当然血管拡張療法とは無関係で、ステロイド開始によって初めて改善が得られている。特に疾患に特徴的な好酸球増多は一時61%1万以上に達したが、退院の時点で1.2% 83と正常値になっていた。

本疾患の診断基準を示した。確診に必要な3主徴はすべて見られており、さらに腓腹筋生検で好酸球の血管周囲への浸潤を認めた。また参考検査所見とされる IGEの上昇、血小板増多も見られたが、さらにANCA関連血管炎症候群として重要なMPO-ANCAも陽性でありAGAの診断は確定的と思われた。しかし、一般的にAGAに見られる血管炎症行群は皮膚、神経、消化器などが通常で本症のように下肢の高度の虚血症状を呈する報告はほとんどなく極めて稀と思われる。 AGAに合併する心筋梗塞例の血管病変がPNに類似する

との報告があり本例もPNとの移行例の可能性がある。

また、先に示したごとく病勢のコントロールにはステロイドが必要不可欠であったが、重症虚血の改善は容易でなくその救肢ためには本会などでも発表された強力な血管拡張療法が必要であった。

(AGAに一般的な事柄)

AGA:

1951年、CHurg とStraussPNの中から病理学的にも異なる特徴を呈する疾患13(剖検)を報告したのが始まり。壊死性血管炎の一病型。当時は多発性肉芽腫を認めることが多かったが、現在では必発の存在、条件ではない。PN WGなどとの移行例もあると。(WG:上気道と肺の壊死性肉芽腫。壊死性肉芽腫性血管炎。壊死性半月体形成腎炎がtrias

ANCA( antineutrophil cytoplasimc antibody)血管炎症候群として解釈

(三主徴)

1、気管支喘息

2、好酸球増加

3、血管炎症候群

  (典型的臨床経過)

最初に好酸球増加と喘息が起こり。ステロイド治療後発熱、紫班、多発性単神経炎、体重減少を伴って血管炎による多臓器症状が出現する。

  疫学

1989年までに74例。成人発症。性差なし。喘息患者5000人に一人発症気管支喘息の病型はアトピーとは限らない。喘息は比較的重症例が多いといわれるが、血管炎発症時は改善していることが多い。喘息発症から、血管炎症候群発生まで3年以内が多い。

病因

発症機序は不明。何らかの抗原刺激により好酸球が活性化され、組織障害蛋白の産生される。(好酸球やその代謝産物による組織障害性はかなりあると認めらるれているようだ)免疫複合体、補体活性化を介して壊死性血管炎が生じる。Tリンパ球活性化による各種サイトカイン産生によりマクロファージの活性化から類上皮細胞への変化、肉芽腫形成がもたらされることなどが推定されている。IgE免疫複合体が組織沈着しマスト細胞、血小板に作用しchemical mediatorの放出を促す。ANCA(好好中球細胞質抗体)特にMPO-ANCAの出現が確認されている。WeginerではPR3-ANCAが発現。MPNMPOANCA

ANCA関連血管炎ANCA抗原は好中球細胞質のライソゾーム顆粒に存在し蛍光抗体染色のパターンからcytoplasmicperinuclearかに分類される。MPA,CSS,WGは未治療の活動期にANCAの力価が高く疾患の発症と進展にANCAが密接に関係することが明らかになってきた。ANCAは好中球を活性化しミエロペロキシダーゼや種種の酵素を放出させたり血管壁に接着した白血球に働いて各種組織障害因子を放出させ、同時にいくつかのサイトカインネットワークを起動して血管を障害するものと考えられている。

気管支喘息、好酸球の増多などの1型アレルギーに引き続き、血管炎の3型アレルギー、肉芽腫性病変の4型アレルギーへ移行するユニークな発生病理が推定されている。

病理

傷害される血管は小、細動脈、細血管、細静脈。小血管に著明な好酸球浸潤を伴う、肉芽腫性またはフィブリノイド壊死性血管炎を認める。好酸球にとむ肉芽腫。血管炎の組織像が古典的PNと変わらない症例も一部に存在する。AGAと古典的PNとはまったく別の疾患でなく、連続したスペクトラムの両端に位置するものと考えられる。

検査

好酸球数について:2000/ul以上が普通。アトピー性疾患のみでは3000まで。CRP高値。血症板増加。(40万以上)IgE高値。(600U以上)RF因子陽性。(70%にみられると)免疫複合体陽性がしばしば。MPO-ANCAの陽性率が高い。

 

症状

血管炎症候群:

単神経炎(必発――60%)――多発性--神経叢を養う血管炎

 日ごと移動するような痛みのことあり。筋症状もあり、筋力低下も見られる。なかなか改善しずらいとの記載がよくある。

皮膚症状(紫斑、皮下出血)30%

  皮疹はAGの50-70%以上。WGの半数。多くは急性期、活動期に多い。無痛性。結節の組織は真皮上層から中層の微小血栓を有する壊死性血管炎、真皮下層の小血管の肉芽腫性血管炎、著しい好酸球の浸潤と膠原繊維のフィブリノイド膨化。(WGはpanch out様の浅い飼い様

 

診断

 確定診断

 主要徴候 3

 主要徴候 1,2と

著明な好酸球浸潤を伴う、肉芽腫性またはフィブリノイド壊死性血管炎

内弾性板の断裂を伴う瘢痕性血管炎の存在

のうちのどちらかの組織像を認める 

AGAは組織診断 CSSは臨床診断

腓腹筋生検—AGAに特徴的な病理所見を得ることは50%の頻度

腓腹神経生検

 神経伝達速度、誘発電位の測定  --正常の例も多い

血管造影小動脈瘤 狭窄などの所見。これは生検陽性に匹敵するといわれる。

消化器(出血、穿孔)

循環器(心筋梗塞、心不全、心包炎)

 心筋梗塞は結節性動脈周囲炎(PN)型血管炎による症状。

呼吸器(間質性肺炎、胸膜炎)

筋炎、関節炎

腎障害は極めて少ないが、腎不全症例の報告もある。

 (WGは呼吸器、腎臓の罹患が多い。上気道の壊死性肉芽腫性病変は特異的。PNも高率に腎機能障害あり)

  

治療:ステロイドの早期投与が第一選択

ステロイドによく反応する.80%はステロイドのみで寛解)20%は抵抗性。10%は重篤例。(WGは容易でないようだ)

40-60mg/日を2-8週約週間で10%ずつ減量。離脱可能例もあるが、5-10mgの維持量を必要とする例もある。

重症例:ステロイドパルス サイクロフォスファマイド。 免疫抑制剤、や血漿交換を行わなくてもすむことが多い。

 抗凝固療法:血小板抑制剤、ヘパリン、など

予後

通常は予後よし。 ステロイド漸減後7%が再燃、死亡例19%。 診断、治療が遅れると心疾患などで死亡することあり。

死因:心不全、 心筋梗塞、脳血管障害、消化管出血、呼吸不全、感染症などの報告あり。

 

 

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