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日本と欧米の認識の差
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チョット面白かったので抜粋して載せました。「有名医学雑誌より」 日本と欧米での胃癌の認識、治療成績の差に関して 2001 冬 日本と欧米では胃がんに対する認識が大分異なります。欧米ではかなり悪性度の高い癌と考えられその治療成績も十分ではありません。一方日本では胃がんの治療成績は高く、なおり得る癌のひとつと考えます。この違いはどこから来るのでしょうか。 欧米人の胃癌の予後が悪いのはなぜだろう? 米国の胃癌はstage I(早期と考えてください) でも5年生存率が50%しかなく,どのステージをとっても日本の成績より格段に悪い.これを見ると確かに同じ悪性度を持つ疾患とは思えないが、では欧米の胃癌は日本よりたちが悪いのだろうか。日本人と英同人の胃癌を分子生物学的に比較した研究では差はなく、分化度も深達度をそろえれば差がないそうだ。差を生じる原因として考えられるのは第1に手術の差である.欧米でD0のリンパ節郭清をしない手術が一般である。これは潰瘍の手術と何ら差はない。また術前・術中診断の甘さから切断端の陽性率が驚くほど高い。日本のD2(かなり広範囲にリンパ節郭清をやる)手術を見学に来た欧米人は、癌に対する局所制御がこれほど異なればそれが生存率に反映されることは理解できる,と納得して帰るそうだ。我々日本人は日本にいてよかったと痛感する事実である。 ではなぜ欧米人はD2郭清をやらないのか? 欧米の消化器外科医は手術が下手なのか。欧米の消化器外利医の胃癌学術経験はもちろん目本の外科医ほど豊富ではないようである。しかし特に上部消化管外科の専門医として活躍する外科医達は,基本的に我々とかわらぬ技術を身に付けているといえるらしい.基本的に異なるのは外科医ではなく患者で、心肺合併症が多く肥満の例が普通、さらに欧米では重篤な術後合併症として肺梗塞があり,この予防のためにヘパリンを使うのが通常でこうした患者に合併症を覚悟で広範な郭清を行なうにはそれなりの根拠か必要のようだ。 欧米でもリンパ節郭清に無関心であったわけではなくDIとD2を比較する二つの大規模RCT(オランダ,イギリス)が行われている。これではともにD2による生存率の改善を示すことかできず、むしろD2の術後合併症率と術死亡率の高さが注目された。この試験からは少なくとも欧州ではD2を標準とすることは危険であるとの認識ができあがった。2001年1月にイキリスで作成された上部消化器癌の冶療ガイダンスでは治癒切除可能な胃癌は専門的施設でのみ手術が行われるべきであり,D2は臨床試験試験を除いて通常は行うべきでない」と明記されている。このガイダンスへの反発もあるが欧州の外科医自身の手による2つのRCTから得られた結果を尊重するならはこの結論もいたしかたない。むしろイギリスのこのガイダンスのポイントは、D2を捨てるのてはなく経験を積んだ専門医による臨床試験の余地を残していると点にあり,また見よう見まねでD2を行う危険を戒めていると解釈すベきであろう.ビデオテープを通して学んだD2の術死が13%に達したことを無駄にすべきではない。 胃癌そのものが減少している欧州では胃癌の冶療は専門施設で行うべきであるという考えが今後も進むであろう。米国では、Memorial Sloan Kettering Cancer Centerなどごく一部の施設を除いて,D2手術は行われていない。興味を待つ外科医も非常に少ないようである。 日本人は癌ではないものを癌として治療しているのだという主張 高分化腺癌の病理学的診断基準か日本と欧米で異なることがLancet誌に発表されて以来欧米人の心に疑惑が巣食っている.「欧米でdysplasiaと呼ぶ非浸潤病変を日本では癌として治療している、成績か良いのは当然だ」という皮相な解釈が横行した。しかし粘膜内で浸潤を示さないさない癌はごく一部であり日本の治療成績が高いことに変わりが無いのです。 また欧米では術前に早期胃癌と診断されることはほとんどない.切除後の病理診断で初めて早期胃癌と判明する.よって今日本で行われている内視鏡的粘膜切除(早期の1部に適応あり)も日本から数多くの英語論文か出版されているにもかかわらず、上記の思い込みから十分理解されてておらずよって欧米人は大きな損をしているのだ。 悪性腫瘍に対して欧米と日本では考え方に根本的相違がある 乳癌では初め、Halstedによる根治的乳房切断術,さらには拡大手術が行われたが、結局は局所制御の程度と予後が相関しないことか分かり、手術は急速に縮小の方向へ向かった.同時に,化学療法やホルモン療法が奏効する乳癌では,手術、照射という局所療法とこれら全身療法を組み合わせた集学的冶療が発展し、大規模な無作為比較試験(RCT)を通して次々と標準治療か確立してきている.こうした歴史を通して欧米の外科医か学んだことは、 1)乳癌局所制御の成否と予後は相関しない. 2)乳癌のリンバ節転移は癌の全身化を表す指標になるが、リンパ節を郭清することは予後を改善させない。 3)RCTを通してえられる知見は臨床経験的な予測を超えており、こうしたevidenceに基つく集学的治原か重要である ということであった. 一方日本では、最も頻度の高い胃癌の臨床研究が固形癌の冶療をリードしてきた。腫瘍の占拠部位に応じたリンパ節転移の実態か詳細に検討され,郭清すべき範囲が規定された。 より早期の癌を発見する努力が早期胃癌の発見増加をもたらし,生存率が格段に上昇した。 胃癌は乳癌と比較するとより良く局所にとどまる癌である。 胃癌の血行性転移と腹膜転移を癌の全身化であるとするなら,この全身化は粘膜から発生した癌が漿膜に到達するまでの問は稀にしか起こらない。 そしてこの成長過程でもリンパ節転移だけは頻繁に発生するがこれは郭清することにより冶癒する.また胃癌では、化学療法を含めて補助療法の効果が非常に小さく,巣学的冶療よりも「一発勝負」の手術の重要性が高い。局所再発はすなわち不冶を意味することになり,乳癌とはこの点でも際立った対照を示す。 こうした経験から日本の外科医か学んできたことは, 1)胃癌は局所に長くとどまるので,早期に発見することで治癒する 2)リンバ節転移は癌の局所進展であり、郭清の治療効果は高い. 3)切除例の詳細な検討から冶療範囲は標準化されうる ということであった。 欧米と日本では,固形癌の治療に関する基本的な考え方にこれだけの差異かある.問題は,それぞれ乳癌と胃癌から学んだことを他の癌にも当てはめようとしてきたことである。
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