胃癌化学療法
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化学療法の現況など(いくつかの文献から)

少し雑多ですがまとめてみました。EBMに興味を持ちよく理解して治療を受けたいかたは勉強してください。

現在,胃癌に対して有用と考えられている薬剤には,5ーFU系薬剤,CDDPMMCADRの4種があります.いずれも奏効率は10〜20%前後であり,著効(CR)は得られ難い.本邦における5-FU系経口薬の開発は特異な発展を遂げました.ftorafur(FT)の成功に発して,第2世代のUT5"-DFURcarmofurなどを経て,第3世代のS-1capecitabineといった新薬の出現に至っています. その他irinotecanpaclitaxe1docetaxe1などの新薬も約20%前後の奏効率であり,併用療法に組み入れられての有用性が現在検討されています。

多剤併用療法

第一世代:主に19701980年代の治療法であり,これらにはFAM療法,FAMTX療法,FAB療法,MFC療法などがある.しかし効果に再現性がなく,少なからず副作用も問題視されました.

第二世代CDDPの導入や,BCMに立脚した5-FUleucovorin5-FUmethotrexateの併用効果,また,他臓器癌におけるCDDPetoposide(ETP)の効果などが参考にされ研究された.EAP療法,ELF療法,FAMTX療法,FP療法などである.しかし副作用が重篤であり,治療関連死がみられること(RAP療法,FAMTX療法),その割には生存期間の改善が認められないことから反省期に入っています.本邦で独特な発展をとげたものに,5-FUMTX交替療法,LD-FP療法がある.前者は胃癌におけるBCMの典型であり,低分化型腺癌に対しときに目覚ましい抗腫瘍効果か得られることからその有用性か認められている。 後者も多分にBCMの冶療概念を含んでいるが異論も多い。

高度進行 再発癌に対する化学療法

 BCMとの比較ではMSTの延長が証明されている。

化学療法による生存期間延長の恩恵はあるのかないのか。 この疑問に答え比較試験が4つ施行されている.そして、ありとの結論が得られている。高度進行あるいは再発胃がんに対する化学療法は,欧米での5-FUあるいはcisplatinを基本とした併用療法の進歩により,緩和維持療法(best supportive care BSC)よりも生存期間の延長か証明されている。さらにBCMの導入、新規抗癌剤(S-1、タキサン系抗癌剤)によりさらに奏効率の向上あるいは延命効果が期待されている。 

  しかし、どのようなレジメンか最も有効で効果的かが重要であるが、各レジメン間の比較では差が出てこない。

 第111相比較試験

1)1985年FAM療法 vs FA療法vs5-FU単独の比較;MST7ヵ月で有意差はなく,薬の費用はFAM療法$4505-FU単独$20という結果てあった。

2)韓国では,FAM療法vs FP療法vs 5-FU単独の比較;奏効率は、FP療法51%対他の2療法ともに25%前後とFP療法が有意に優れたが、MSTに有意差は認められなかった.

3)本邦では,JCOGにてUFT MMC療法vs FP療法vs 5-FU単独が研究された。奏効率は,それそれ9vs 34vs10%MST6.4ヵ月vs 7.7カ月vs 7.7ヵ月といすれも有意差は認められなかった.

 4)Euroean organi zatlon for Research and Treatment of Cancer(EORTC)でもFAMTX療法vs ELF療法vs FP療法の比較研究がなされた。奏効率は,それそれ12v59vs 20%,MST6.7ヵ月vs 7.2ヵ月vs7.2ヵ月であり3群間に有意差は認められなかった.

 以上のごとく,前世紀に開発された多剤併用療法の効果としては,奏効率3050%秤度,全症例のMSTは810ヵ月であった.そして,比較試験にて有意に優る多剤併用療法は認められず,また,エンドポイントを生存期間にすると,5-FU単独療法に優る多剤併用療法はなく、この意昧では20世紀の標準的治療は5-FU単独療法といえる

 

進行癌に対してまとめは,

1)化学療法には延命効果がある.

2)多剤併用療法の奏効率は3050%,MSTは810ヵ月である.

3)しかし,MSTに関しては,5-FU単独療法に優る多剤併用療法は現存しない.

 

いくつかの薬剤の雑多な事柄

(CDDP)

Japan clinical oncology groupJCOG)での5−FU単独 high doseFPとの比較 奏効率ではFPで優れているがsurvival benefitなし。またlow dose FP療法は,その投与量,スケシュールか様々であり、臨床的有効性は報告されており、また副作用の軽減から本邦では広く用いられるに至っているが,無作為比較試験によるエビテンスはない。 現在奏効率の高い治療レシメンの開発を目的として、S1CDDP併用療法(第I相)で80%近い奏効率が得られており,第II相試験が進行中である。

FPのレジメ

   Fは日本の場合 静注であったり、経口薬であったりとのことLD-FPは 5−FU250-500mg/body/day  CDDP 3-10mg/body/1-5day/week  奏功率30-50% しかしMST 5−7Mでエビデンス不明)

一般的にCDDPを加えたときの奏功率は高いが生存期間の延長がさほどでない。また副作用が強い

 

(paclitaxel)

 extent of intramural angiogenesis , as indicated by microvessel tortuosity and microvessel density, was significantly reduced by paclitaxel un a dose-dependent manner. Paclitaxel also suppressed expression of VEGF

  タキソテール(ドセタキセル) 60mg/m2 2−3w毎

  奏功率 25% 50%生存期間 27w(2d lineとして) CDDP 5−FUと交叉耐性がないことが最大の利点

   (タキソテール+CDDP)(タキソテール+5−FU)

(TS−1)

CDHPを加えることで5−FU持続静注によって得られる血中濃度を維持できる薬  未分化でも効くとのこと 奏効率 50%  MST250日  grade 3-4白血球減少2% 重篤な下痢2%で安全性も優れていると 80−120mg/body  4w     2w休薬  grade3以上の副作用 白血球減少56.3% 悪心、嘔吐 17%  食欲不振 17% 脱毛 10%

   (TS−1 +CDDP)

  術後補助化学療法

術後補助化学療法有効性のエビデンスは低い

胃がんに対する後補肋化学療法のsurvival benefitは,本邦および欧米での臨床試験のメタアナリシスの結果から,stageTに対しては認められていない。一方stage2-3では、手術単独群と比較し、MMC,アンスラサイクリン系、アルキル化剤,フッ化ピリミジン系抗癌削との併用効果が示されているが(odds ratio 0.8-082)、その効果は小さく、部分的であり、個々の比較試験での統計学的有意差はきわめて小さい.

 本邦での術後補助療法は,1960年代のMMCに始まるが,その俊5-FU系経口抗癌剤の開発により併用療法の有効性が検討されてきた.週2回の中等量間欠投与法(008mg/u,2/w)では,手術単独群と比較して投与群か5年生存で優れ,特にstage II で顕著であった.しかしながら、術後早期の大量投与法(04mg/m2day1;02mg/m2.day)では,5生率では有意差はみられなかったものの,後層別解析ではstage3で投与群が優れていた.さらにその後MMC,MMC十CPAMMC+5-FUCPAを用いた比較試験では、抗癌剤投与群でのsurvival benefitは認められなかった.1999Nakajimaらにより10年間のMMC+5-FU+UFTと手術単独群とのRCTで有意差を示せなかった。

一方欧米でも術後MMC単独投与の臨床的有効性はAlcobendasらによって報告され,GrauらもMMC+FT併用群が術単独群に比較して,stage lb stage IIにてsurvival benefitを有することを報告している。しかし、反するデータも多数ありその原因として、サンプルサイスの問題、抗癌剤の胃癌に対する低感受性、抗癌剤感受性に与える因子の遺伝的背景の違いなどか考えられる.

  --------本邦の術後補助療法の無作為比較試験でのsurvival benefitに関するエビデンスは,MMCで若干示唆されているが,MMC+フッ化ピリミジン系経口剤では,そのエビデンスは十分とはいえない。

   (原因)異なった抗癌剤感受性を有した患者群での比較検討である  やはり有効でない

 

Total cell killingの概念は,Skipperらの理論にもとづいて対数的な殺細胞効果が得られれば,最終的に癌細胞を除去できるという可能性はあるが,実際の固形腫瘍の場合には,血液系腫瘍とは異なりheterogenousな集団であること,抗癌剤耐性が出現しやすいことなどから,理論上の効果は必ずしも一定でない。しかしながら,奏効率の高い治療レジメンの開発は,予測遺残癌細胞に対するtotal cell killing の可能性を示唆するものであり,術後補助療法による生存率向上が期待される.従来の5-FUおよびCDDPに加えた,SICPT-11,タキサン系などの新規抗癌剤を含もレジメンの開発は,術後補助化学療法によるsurvival benefitの証明に新たな展開をもたらすと思われる.

---------術後補助といえども効果を期待するなら奏効率の高い投与方法を選ぶべきということだろう。

  2000年の第36ASCOで手術単独群(275例) VS  5-FU + LV +45Gyの体外照射(281例)でover all survival   disease  free survivalで有意差が出た。ただしD0 D1大部分でD2を標準とする日本には当てはまらないかも。しかし欧米では標準治療になっていく可能性がある。

 投与時期に関する実験的研究では,腫瘍の外科的切除後,遺残癌細胞の細胞周期回転は24時間以内に始まり,1週間で測定可能病変になることが報告されており,術後1週間以内に行うことが理想的である。メタ アナリシシ解祈では,術後46週間以内に開始すれば生存率に影響がないとされている。しかしながら,遺残癌細胞を標的とした術後補助化学療法が有効に働いているかの指標はこれまでのところなく施行抗癌剤がtotal cell killingを達成しているかは不明である.

  

 

当科での胃癌の化学療法をすすめるにあたって

 (前提事項)効くケースもあるが手術には遥かに劣る。  再発例では根治はまずあり得ず、よって延命が目的なのでQOLを考えインフォームドコンセントの下に選択を。  時間が掛けすぎて患者の貴重な時間を入院によって奪わぬように。  費用を意識して。  奏功率ではなく、生存期間の延長×QOLを考えて選択。

術後アジュバント

 まずガイドラインに従って根治度Aはケモ(−)。ステージU以上の根治Bがアジュバントとして対象になる。

根治度C 再発例

無治療群に比べて生存期間中央値が延びるという報告は複数あるので無理の無い範囲でやりましょう。ただレジメンで これ というものはない。 日本ではFP、 MTX 5−FUが最も多く施行されているようだ。

などを考えながら決まったらアップロードします。

 

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