間歇性跛行とは
フォンテイン分類の2度にあたる間歇性跛行とはどんな現象でしょう。
安静にしているときには症状は出現しませんが、歩行など足の筋肉に負荷がかかったときに出現する痛み、違和感をさします。通常の歩行でも安静時に比べて5−10倍くらいの血流が無いと足の筋肉は動いてくれません。慢性閉塞でいくら自然のバイパス路が発達しても限界があるのです。特徴的なのは数分休むとまた歩けるようにあることです。ただまた同じくらい歩くと痛みが出現します。そして、歩行できる距離は発達したバイパス路の太さによります。

上の写真は腸骨大腿動脈閉塞ですが、豊富なバイパス路が見られます。但し左の方は発達が十分ではありません。
このように下腿の主幹動脈閉塞があっても細いバイパスでなんとか足に血液が流れ安静時の症状は出ません。




いてて--足が動かねーや。
といった具合です。
ところで間歇性跛行に治療を行う意味を考えてみましょう。(ちょっと難しいかもしれませんがご家族などに閉塞性動脈硬化症の方がいて治療方針をよく理解したいかたは頑張って勉強してみてください)
1)間歇性跛行自体の症状を取ることを目的とした場合
間歇性跛行が仕事に支障をきたす場合、特に活発な社会活動を必要とされる壮年期の方では通勤で回りの人と同じペースで歩けない、外勤で歩くことが多いが続かないなど の場合症状の除去が必要であり原則手術の対象となるであろう。ただ勤務が地方で歩行する機会が少なければ対象から外れる場合もある。いずれにせよ生活に関わる、社会にとっても生産性の期待できるケースでの治療ということになり、十分保険適応である。
ではもう一度山登りをしたい、ゴルフをしたいなどといった場合はどうか。これは保険外、私費で治療すべきことになるかもしれない。特に跛行距離が長ければ、間歇性跛行の予後がTASKとおり良好なら、自分の趣味のための治療に対しては私費がリーズナブルだろう。
この際に選択されるべき治療法だが、仕事の継続のためなら効果が高いもの、また保険適応なら経費のかからないものがよいと思われる。今まで最も経験のつまれた手術を選択するのが合理的と考えるが、総合的に手術以上のメリットがあればインターベンションでもよい。たとえば腸骨動脈3cm以下の狭窄の治療に関してはステントの方に旗が上がる。
仕事を引退した高齢者の場合は予後の良いと思われる状態であるとき積極的な手術適応はないと思われる。特に高齢になればなるほど虚血性心疾患、脳疾患の合併を考えるべきで、本人の希望や、全身状態、手術リスクを考慮し十分なインフォームドコンセントの元に私費で治療すべきである(薬物療法の場合でも)。
2)重症虚血に陥る可能性がある場合
まず注意しておくが現在の検査法で重症化を予見できる確実な方法はない。間歇性跛行は治療の有無に関わらず専門家の厳重なフォローが必要であるとする根拠はここにある。
繰り返すが専門家の目以上のエビデンスある検査法はない。
一度重症化するとその治療は困難である(重症虚血肢の治療を参照)。よって重症化が予見される場合はいかなるケースでも最も確実な治療の適応である。切断にまでいたる例は少ないのでできるだけ保存的に引っ張ってーーという考えも適当ではないと思う。少数例であっても切断後の患者本人、家族のQOLへの影響を考えると現に結果を先送りする方針は避けるべきである。術式に関しては重要な検討項目であるが、完全血行再建がよいか、IN
FLOW SUERGERYがよいか case
by caseだろう。また術者の技量が選択範囲を左右するだろう。
(2001年ASO関連ある座談会で発言されたことに対して私見を述べてみます)
近赤外線分光法によって重症度を評価して手術の必要性を決める。収速時間3分以下は手術せず。3分、特に5分以上は保存両療法の効果が上がらず手術へ。という記載に対して:
近赤外線分光法は動的評価としてよいものと思われるが、重症化の指標となりえるかのエビデンスはほかの検査法と同じで無いのでは。
運動後のABPIなどで評価を行い、その結果で治療法を決めている。という記載に対して:
これも動的評価のひとつだがこれで悪い場合なぜ手術なのか、また良ければなぜ手術をしないのか。良いものは重症化しないのか。やはり虚血の進行との関連は証明されていないわけで、明らかに重症であればこれはすでに重症虚血肢として手術すべきだし。QOL改善の治療と考えるならなにも動的評価などせず、患者さんが今日常困っているかで判断すればよいのではないでしょうか。
運動療法によりAPIは不変だが、歩行距離が長くなった。収束時間が改善した。という記載に対して:
歩行距離が長くなったから虚血が良くなったかどうかはまったくわからないと思う。慣れ、歩き方がうまくなったというケースをどうやって否定するのか。そしてこれらの例の治療はその後どう計画されるのか。またAPI不変で収束時間が改善したというのは、極めて小さな効果に過ぎないわけで、これで運動療法を大きく取り上げるのは疑問である。また運動療法で効果があったASO例は重症化しないのでしょうか。
手術、インターベンションは血流をダイレクトに増加させその効果も大きい。薬物療法、運動療法は側副血行路が増加しその結果血流が増えるもので効果は小さく、個人差があり、普遍的ではない。その違いをはっきり認識して治療法を選択すべきであると思う。
生意気言ってすみませんでした
(^。^;)