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サウスポーの外科その1 基本事項
外科手術は、胃、大腸、肝臓、膵臓、胆道など腹部外科から、血管外科、乳腺外科、呼吸器外科、食道、甲状腺外科、更に悪性良性と様々な疾患が対象になります。それぞれの疾患とターゲット臓器別に解剖、生理を考えながら目指す目的に最短距離で最大のメリットが得られるように計画(戦略)をたて実行(手術)するわけです。しかし、胃癌の手術のスペシャリストが大腸癌はまったく手術ができないということはなく、それぞれ共通した技術、考え方があり、これが解っていれば、あとはポイントを理解することで多くの疾患の手術が(標準的な と条件がつきますが)可能です。ただ、ちょっと特殊な分野は別に十分な修練が必要でしょう。(例えば一般的に消化器外科医で血管外科が得意な人は多くありません。) とはいえよい手術を行うためにはやはり複雑で色々な技術の習得が必要だろうと思われる人も多いかと思いますが、習得すべき技術は決して多くなく、いくつかの基本技術を確実にマスターしこの組み合わせで手術は進行するものです。むしろ経験がものをいうという部分は応用問題で例えば、 1)再、再々、再々々手術 癒着がひどく温存すべきものの制限が強く許容範囲が狭いこと多し 2)炎症が強い手術 剥離が困難で解剖書とおりにはいかない、攻め方をいくつか組み合わせて、かつ多方面からアプローチしてーーと、まるでシミュレーションゲームのようです。 3)anomaly(通常でない解剖、血管の走行など)への遭遇、 Ex.内臓逆位の患者さんが以前遠位側胃切除を受けており、この方の胆石の手術をしたことがあります。胃の手術はかなり昔で内蔵逆位のことは誰も知らない状況でした。開腹してみるとちょっと解剖が変なのです。癒着もかなりひどいのですが。回りはみな癒着のためおかしく見えるのだと了解したようですが、やはり納得できず胆石程度の手術ですがオリエンテーションがつくようにある程度癒着を解除しましたら、胃腸の走行が逆になっていたのですね。解らなくても大きな事故にはならないと思いますが、いつもと違う風景には、ことのほか臆病になったほうが良い。これは経験、本人の感性の問題です。 4)合併症を有し効率のよい手術が必要、 当然、無駄の無い、迅速な手術が術後合併症を減らします。 などは経験の豊富な外科医が手術を行うべきです。 ちなみに私は再々手術でも癒着小腸の損傷を起こすことはほとんどありません。癒着があるから小腸の損傷程度は当たり前 と思っている外科医は大変多いと思いますが、これはレベルが低いのです。 さてこのような、応用問題は別として基本的技術とは何でしょう。 まず、最近は器具の進歩が早く、電気メスは当たり前ですが、熱メス、ハーモニックスカルペル、パワースターなどは止血をしながら組織を切離するもの、肝臓外科ではキューサ、アルゴンビーム、マイクロターデなど大変便利な器械があります(わが病院にはいずれも標準装備―自慢です)。これらはその使い方、使うべき場所をよく習熟して自分のものにしていただければよいわけです。似たようなものでもうまく使うためには結構適応が異なる印象です)。 昔からある本当の基本的手技はというと、剥がして、切って、縛って、そして患部を取る。 つまり、切離(メス、はさみ) 剥離(メス、はさみ、ペアン) 結紮が基本手技になります。再建が必要な場合はこれに吻合が加わり、閉腹などの操作も加えれば縫合技術ということになります。助手とともにこれら基本的手技を用いて手術を組み合わせる訳です。 ただ、これだけといってもそう簡単には手術は進みません。スムースに進行させるのにはカウンターをかける、操作する組織間に適度の緊張を加える、という操作が極めて重要になり、助手が必要な大きな理由です。 あと、通常術者は患者さんに向かって右に立ち、第一、二助手が左に立ちます。これは変更しても構わないし、私も腰痛の持病からしばしば反対に立って操作を行いますが、この変更を嫌う医師もいます。また可能といっても回りは麻酔器具、手術器具がひしめき合っており、そうそう自由にはいきません。この位置関係の自由度の低さは手術操作に大きく影響します。この点に関して開腹手術を例に゛カウンターをかけながら行う手術操作Wと合わせて説明し、更に本題である左手の手術操作に言及していきたいと思います。 |
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