潰瘍性大腸炎
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潰瘍性大腸炎

大腸の粘膜に原因不明のビマン性炎症を起こす疾患です。自己免疫説、感染説、アレルギー説など色々な原因が考えられています。慢性の下痢、粘血便などを主訴とする。病変の広がりから全大腸炎型、左側大腸炎型、直腸炎型に分類される。発熱など全身症状を呈するものから軽症まで程度は様々であるが、全大腸型は癌の合併率が高いことを知る必要があります。

以下当科での経験をまとめてみました。(平成13年12月)

5例の手術治療経験があります 病悩期間は8-10年発症は16歳-37歳と若い方が多いですね
各症例の初発症状と行われた薬物療法です。まずステロイド サラゾピリンが基本と思われます。
手術に到るまでの8-10年間の間に行われた保存療法です。かなり再燃を繰り返しております。そして2例に癌合併が見られました。このような長い経過のものはこれ自体で手術適応でしょう。またプレドニンの総投与量が多い例も手術したほうがよいですね。
潰瘍性大腸炎の手術適応

左の如くです。

当科5例では 難治3例 癌合併2例でした。その他穿孔 出血などの合併症を有する例も手術です。

あるほかの施設での報告ですが、150例中難治で手術したものが60% 重症例が30% 癌合併が10%とのことでした。

そして全潰瘍性大腸炎のうち手術になるのは結局15%くらいです。

思ったほど高率ではないでしょうか。

手術術式と術中所見です。読み飛ばしてください。
簡単な手術模式図です。難治で手術になる例はみな大腸炎型が多いと思います。手術は大腸切除術です。その後回腸を図のように形成して便貯留部を作成しこれと肛門管と吻合します。わずかに直腸粘膜残りますが排便機能温存のためにこの程度残したほうがよいと考えます。
術後の造影です。回腸のポーチは十分な大きさです。直腸残存部が小さく残り排便機能は良好です
5例とも漏便を認めず、機能は十分温存されました。また小腸と吻合するので便形状は水様になりがちですが十分な整腸剤を投与し一日の排便回数は3−10回ですんでいます。

食事制限は無く、勿論社会復帰もできます。

病理所見を示します。大腸全域に強い炎症がみられ、組織像ではcrypt abscessが特徴的です。

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炎症性腸疾患のまとめ 

            一般向けではありません。詳しく知りたい人用

炎症性腸疾患の疫学

  罹患率

  UC 1.5-17/10万(欧米)  1.95(日本) Crohn 0.3-6.7/10万(欧米) 0.5 (日本) ユダヤ>一般白人>黒人>日本人(欧米の1/10  男:女=1:1(欧米) 2:1(日本)  先進国>途上国  都市>群部

本邦 UC 男2024歳 女2529歳にピーク  CD 男2024歳 女15-19歳にピーク

 

長期予後 IBDの長期予後は一般人口のそれと差はない

家族発生  IBDは1親等での家族内発生は一般に比較して10−20倍両親が本疾患を合併すると、その子供は高率に本疾患を有する。

環境因子 遺伝因子の関与 洋食はUCのリスクを高めている。喫煙者はUCが少ない。CDは逆。

潰瘍性大腸炎

  大腸粘膜上皮が選択的に障害され、直腸から上行性にびまん性かつ連続性に病変が生じるという特徴がある。

  罹患率  UC 1.5-17/10万(欧米)1.95(日本) 男:女=1:1(欧米) 2:1(日本) 本邦 UC 男2024歳 女2529歳にピーク

長期予後  UCの長期予後は一般人口のそれと差はない。むしろ非喫煙者が多く良いとのデータもある

家族発生  IBDは1親等での家族内発生は一般に比較して10−20倍両親が本疾患を合併すると、その子供は高率に本疾患を有する。

 環境因子 遺伝因子の関与洋食はUCのリスクを高めている。喫煙者はUCが少ない。CDは逆。

UCの成因

 自己免疫疾患か?いくつかの疾患感受性遺伝子が組み合わされ、かつ何らかの環境因子がこれに加わり発症するといった” multifactorial disease”であることが強く提唱されつつある。  多因子:感染、喫煙、免疫

  悪性腫瘍の合併   UC: 癌化例は全体の3%ていど 。 癌化率:3%(15年) 5%(20年) 9%(20年)。 発症から10年以上経過すると癌化のリスクが高くなる 全結腸型 6.3% 左結腸型 1.0% 直腸型 なし。全大腸炎型で7年後あたりから左結腸型では20年経てから発癌のリスクが生じる。また直腸炎型は癌合併のリスクなし。UCからの発癌は平均48歳。若年発症で多発が多い。組織学的には低分化、粘液産生腺癌が4割。肉眼的にも境界不明瞭な4型が多いことが特徴で、UCフォロー長期経過例の狭窄病変は癌を疑え。早期癌の形態は表面不整な広基性病変のことが多い。UC由来の大腸癌―術前診断は困難と言われる。また癌腫と連続、または離れてdysplaisと呼ばれる畏型腺管巣が認められることが多い。Dysplasia自体が前癌病変であるが、ほかに癌を合併しているマーカーと考えられ、これを監視するサーベイランスが推奨されてた。Dysplasiaは異型の程度により 高異型度 低異型度 不明(再生性変化との鑑別が困難) 高度異型ほど癌合併率がたかい さらにDALMDysplasiaAssociated Lesion or Mass)と呼ばれる隆起性病変を伴うdysplasiaは癌の合併率がさらに高くなる。(報告では40-50%低異型度→高異型度→DALMと変化すると考えられている。サーベイランスではこのDALMを探せ。しかしdysplasiaのほとんどは平坦粘膜でありDALMがなければ10cm毎に平坦粘膜から生検を行うことが推奨されている。サーベイランスから見つかった早期癌の予後は良い。一方進行癌は4型が多く腹膜播種を伴うことも多く、予後不良。UCであっても長期観察中に悪性腫瘍で死亡する頻度は一般人口と近似しているともいわれる。

内視鏡診断

 確定診断 罹患範囲 活動性 経過の確認と治療の判定 癌のサーベイランス   直腸最下端よりA全周性均一な病変がB瀰漫性連続性に確認される。初赤、浮腫を伴った炎症性粘膜に囲まれた麻浅い不整形潰瘍の多発

X線診断 ニッシェ バリウム班

治療の目的は短期間に活動期を終息せしめ、緩解期を長期間維持する。

炎症性腸疾患の新しい治療

 5−ASA(アミノサリチル酸)製剤 サラゾピリンは有効であるが、このうち5-ASAの部分が有効であり、アゾ結合しているスルファピリジン(SP)はむしろ副作用を惹起することがわかり、5-ASAをエチルセルロースでコーティングしたメサラジン(ペンタサ)が開発された。サラゾピリンー特異的な副作用として精子異常が知られている

 ステロイド

  局所(座薬 注腸)――副作用が少ない

  経口

  静注

  動注 (劇症の治療)

  治療継続中に急性像悪を起こすと元より劇症化していることあり

  ステロイドパルス:再燃例などに有効

 メチルプレドニゾロン500mg-1000mg/day *3日  ――1クール これを3−6クール行う 従来なら手術適応であった中毒性巨大結腸症でもまずパルス  強力静注療法  中等症 40mg/d    重症 60mg/d  トロピカルステロイド ブデゾナイド ベクロメタゾンは吸収後肝臓での代謝が早いため長期使用しても副腎機能の抑制がほとんどない。(日本ではまだ?)

 白血球除去LCAP: leukocyte apheresis)特にUCに有用。白血球除去フィルターを用いて1/w  5w 緩解導入後1/Mで。何らかの原因で白血球が活性化され、容易に大腸粘膜に浸潤し、それらの産生する蛋白分解酵素、活性酵素による強い粘膜障害、いわゆる免疫反応の悪循環が粘膜下の継続して起こっていると考えられる。明確な機序は明らかでないが、活性化した白血球を取り除くことにより免疫の悪循環を断ち切る.有効率 70%(従来の薬物療法でコントロールができない例が対象) 維持療法の有効率はまだ出ていない?。

 免疫抑制剤 アザチオプリン 6MP サイクロスポリン(T cellからのIL-2の抑制) 効果発現まで時間がかかる 副作用として易感染性 保険適応がない  などの理由で積極的ではない また有効性に関しても十分な検討がされているわけではない

 抗サイトカイン療法 IBDの病変活動性とサイトカイン産生量は比例している 抗TNF-α抗体 抗CD4抗体など   PSLの量を減らし5−ASAのみの維持療法とするが、投与期間は明確にされていない。 できるだけ長く投与したほうがよいと言われる。

UCの手術適応  UCの手術例  15%(日本) 欧米―25%

(適応) 難治:厚生省研究班『厳密な内科的治療下にありながら、慢性持続型、再燃後6ヶ月以上なお活動期にある、頻回の再燃を繰り返すのいずれかの条件を満たすもの』 UCの症状、治療により著しくQOLが下がった状態が手術適応となる

難治   慢性持続 頻回再燃  プレドニン使用量が総量10g  300mg/Mを超えるケースー副作用の出現率が上昇 (ステロイド副作用で手術になったー18g  500mgステロイドの副作用出現例(major side effect:感染 潰瘍 糖尿病 osteoporosis など 重症(大量出血、穿孔、中毒性巨大結腸症 大腸癌合併(病悩期間は6.4-27.5年 中央値 125年) displasia   難治 60% 重症 30%  癌 displasia   10%  (150例)

(時期)

 1116例の累積手術率  診断後5年 25% 、  10年  35% 、  20年   45%  難治例 5年以内が55% (平均6年)難治例の手術目的はQOLの改善なので発症から5年前後で手術を考慮する必要がある。

(手術術式) 疾患標的の大腸粘膜の完全除去と術後の長期にわたるQOLとの両立  緊急時:結腸亜全摘+s状結腸粘液婁で状態の改善を待って遠位側大腸切除

PCA(proctocolectomy and ileostomy)大腸全摘 回腸人口肛門

 IRA( ileorectal anastomosis) 楽でsoilingも少ない。機能障害も少ない。長期のサーベイランスが必要(炎症の再燃、癌の発生)7年みて95%で直腸の炎症に対して局所的ステロイド投与が必要であった。しかし発癌も含めてサーベイランスは容易

 IAA(ileoanal anastomosis)

IACA(ileoanal canal anastomosis) 漏便に対するパッドの必要度 IRA 5%  IACA 45%   IAA  50%

  回腸嚢肛門(管)吻合  

           回腸嚢肛門管吻合  回腸嚢肛門吻合

縫合不全       10%        17%  6%

 肛門狭窄(吻合部)    9%        21% 10%

 

 術後排便回数(1年)  6.4回         5.7

 夜間soiling (漏便3/w以上 直径3cm以上のStain ) 27%            8ヶ月以内に消失

 

 社会復帰            88%

 食事制限            なし

 全般満足度           78%

 不満足な要因は     soiling  排便回数の多さ

 性機能の障害          50%  妊娠出産も可能

 回腸嚢最大耐用量は術後経過とともに増大し12か月を経過すると正常健常人(315ml)とほぼ同じになる

IAAに比べてIACAは外科的肛門管を温存するため残存粘膜に炎症や癌発生の可能性があるが、その頻度は少なくまたサラゾピリン等でのコントロールが容易である。また一期的手術が可能、合併症が少ない、排便機能が良好という利点がある。Pelvic plexus(骨盤神経)のinferior rectal branchIACAでは完全に温存できる。歯状線を切除すると機能は悪くなる。Long cuffは面倒な割に益が少ない。Cuffの長さは短くしても機能に差がない。下部直腸筋層のみを残すmedium cuffでよい。

Crohn

口腔より肛門までの全消化管に病変の見られる区域性の全層性非特異的炎症疾患

  Crohnの成因 やはり複数の因子の関与と推測されている。  複数の遺伝子、複数の環境因子 遺伝子の関与はUCより強い。好発部位の回腸末端以外のどの消化管にも発生しえる非乾酪性上皮性肉芽腫を伴う慢性炎症疾患。感染説――確定的な証拠はない。腸管内容、食事因子――腸内細菌、食事中の物質などが抗原となってIBDの炎症を惹起する可能性が考えられている。 臨床的に多くの施設で成分栄養やIVHの治療により粘膜の透過性や炎症の沈静化が得られている。不飽和脂肪酸n-6 n-3の比が発生と相関ありとされ、n-3多価不飽和脂肪酸の投与が発生予防に有効との報告がある免疫異常 血管炎などもーー

癌の合併 3−7% 直腸肛門病変を有する例は、直腸癌、肛門管癌の合併が多くなる

内視鏡診断  正常粘膜に囲まれた非出血性潰瘍 生検で非乾酪性肉芽腫が証明されれば診断的価値は高い @潰瘍周辺に炎症所見を認めない(discrete ulcer)A縦走潰瘍Bcobble stone appearance

X線診断  縦走潰瘍(4-5cm以上の腸管の長軸方向の潰瘍。通常腸間膜付着側に存在) cobble stone appearance 狭窄 婁孔

クローン病では重症の定義がまだ確立されていない。

治療   根治的治療法はない。治癒することがない。. 症状の沈静化が目的で潰瘍病変などの完全消失にはない。病勢をコントロールしてQOLを高めることが治療の目的

(保存的治療)が主体 ステロイド サリチル酸製剤 5−ASA (小腸型でも大腸型でもいずれも可)サラゾピリン(大腸で5−ASAsulfapyridineに分解されるため大腸病変には有効であるが、小腸病変には有効でない) メトロニダゾール 抗原虫剤  嫌気性菌の繁殖した場合に有効 免疫抑制剤 メルカプトプリン アザチオプリン 効果発現まで時間がかかる  抗サイトカイン療法  栄養療法 脂肪のの過剰摂取が炎症を像悪し、脂肪含有の少ない成分栄養              ED elemental diet)が緩解導入に有効  脂肪組成 蛋白抗原を排除した低抗原性の2点が想定されている  長鎖脂肪酸の吸収により脈管作動性メディエータ放出が惹起されリンパ球のmigrationを修飾し腸管免疫を賦活化することが考えられる。  EDによる緩解導入率はプレドニンや完全静脈栄養に匹敵するが、本質的に治癒させているわけではなく、中止すると再燃してくる、また長期のEDが再発率の軽減をきたさないうことの理解が必要。 w−3系脂肪酸が緩解導入に有効 ――魚油 完全中心静脈栄養2000Cal以上のTPNは本性極期の初期治療に有用であるが、長期的には腸官の萎縮、感染への抵抗力の減少。あるいはbacterial translocationをきたし易いといった危険をはらむ。(動物実験では長期にわたる食事刺激の欠如は長官の粘膜防御能を著しく障害する)

  (手術)Farmer(1985)の報告 小腸大腸型92%  小腸型   66%  大腸型   58% 全体    69%が手術となっている

(手術適応) 絶対的適応:腸閉塞  全層性炎症に繊維化や浮腫が加わって起こる 非連続性に複数の病変が見られるのも本症の特徴 炎症はすでに収束に向かい繊維化によるので薬物療法は無効 腸穿孔(2% 通常狭窄部の口側に存在し内圧の上昇が誘因。縦走潰瘍内にあり腸間膜付着側が通常。大量出血(1%)  複数回の出血を来たすが、出血源の同定は通常困難で、輸血しなくてもよいような例は手術しないほうがよい 中毒性巨大結腸症toxic megacolon)(6%)   癌の合併2-7%  癌化例の罹患期間は20年と長い。UCと同様dyiplasia-carcinoma sequenceが提唱されている。

相対的適応 膿瘍、外婁、内婁(婁孔形成頻度15%)  腸管腸管婁孔は栄養などの障害がなければそのまま。腸管膣、腸管膀胱婁は厄介 肛門病変

 (術式) 大量切除し短腸症候群にならないように 小腸病変:再手術率が高い。生涯を通じての配慮が必要。 病変部のみの小範囲切除、端端吻合 主病巣から離れたSKIPには狭窄形成 5cm以下の短い病変―finney型の狭窄形成 しかしゴムホース状腸管や多発病巣では切除の対象   最も多い回盲部病変――回腸右半結腸切除 この際十二指腸への婁孔形成を避けて吻合部を十二指腸から離しておく 大腸病変   小範囲切除 吻合 病変が広い場合は大腸亜全摘 直腸、肛門病変がなければ小腸直腸吻合を行う 肛門病変 膿瘍:可及的にドレナージ

とにかくやばそうなら人工肛門にしろ。腸婁などではもたないぞ 

 適切な保存療法によってほとんどの症例で緩解導入が可能。最も効果的な治療として成分栄養療法があげられる。術後再発予防で成分栄養を指導し再手術率の著しい低下を証明した。

 

議論点

内科医師へ

1)UC:手術にまわすタイミング

   現在の手術療法の特徴:人工肛門にならない。排便回数、漏便の点から括約筋機能をかなりしっかり維持できる。まり薬物療法で引っ張らず、手術にまわしてもよいのでは。重症例だと、動注をやったり、白血球除去をやったりすると思いますが、緩解維持率はどうでしょか。これが低いようではいずれ手術ということであれば、早めに手術したほうがよいかと思うが。癌の症例を2例経験している。報告ではあまりガン化率は高くないが、癌のサーベイランスを実際のどのようにやっているか。活動期から脱した症例でも癌のサーベイランスは必要なのか これは外科医として自分で勉強しなくてはいけないことなのですが、内科の先生の知識から見て、IRAなどの場合で直腸粘膜は残した場合、これから癌は発生するものか。直腸炎型ではほとんど癌の合併はないと言われている。

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