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2014 紀ノ国トレイナート/和歌山県

題名:遡及空間 素材:木材、塗料、他 制作年:2014

 『紀の国トレイナート』という地域系アートの作品をつくる上で、地域の核心となるテーマを導きだしたい。熊野古道をたどって、熊野本宮大社や熊野那智大社をめぐると、紀伊の「場所性」神秘的な物や自然に対する畏敬を肌で感じる。近代に入って、紀伊半島は海岸沿いの狭い土地を結んで、紀勢本線という鉄道網がぐるっと結んでいる。この土地の土着的な世界観と、紀伊半島を巡る機関としての鉄道の役割を、ぼくはずっと考えていた。鉄道架橋と社が合体したようなイメージを思い浮かべ作品を構想した。作品は木材で造り、下部架構は紀勢本線のイメージカラーである『新和歌山色』オーシャンブルーで彩色、上部は那智大社の朱色で彩色する。

 紀伊の小説家である中上健次の作品に感銘を受ける。古代から土地の人々の信仰。自然崇拝的な風土にとって、林業と構造化された共同体におけるシステムが潜在しているという。漁師もまた海という不安定なものを相手にする。そこに自然信仰が潜在している。熊野川の圧倒的な流れと対峙。2011年の台風12号で堤防が決壊し氾濫跡が凄まじい。川は近代に入るまでは、鉄道とは違った交易のルート。この作品は台と流木は、木地の色で統一して、流木は固定する。ミニマルでシンプルな展示。熊野川の林業における交易の営み、氾濫の歴史などを象徴。熊野の神聖な土地性。流木は、それその物が結構おどろおどろしいので、生と死の森のようなイメージを喚起させる装置。


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