MY WORKS HOME


茅葺きの美術館

2002 花菖蒲園白井「田園」耕導画庵/千葉

 私は九十九里海岸の近くの街に、移住してきました。都会を離れ夢に見ていた田舎暮し。
そこには今でも茅葺き屋根の古い民家などが、残っています。まるで江戸時代の儀式や風
習が、生きずいているような風格のある建物たちに一目惚れしました。そしてある田園の
中の一軒家で、展覧会を実現させました。 
 私は大和絵や絵巻物といった日本の造形を、テーマに作品をつくっています。そして日
本建築の掛軸や襖絵のような生活空間と、絵画の境界線を取り払ったような関係に、興味
があります。日本建築は大きく開かれた襖障子から自然を取り入れて、内部の造形美と絶
妙に調和させようとしているのです。
 子供の頃いなかのお婆ちゃんの家には、天井の近くにななめにひっかけられた絵があり
ました。それは現代建築ではすでに失われた視点。すっかり洋風化してしまった私達の生
活環境は、自国の文化の方がエキゾチシズムを感じます。まるで日本に留学して来ている
東洋趣味の外国人のように、自分を錯覚してしまいます。
 私達の日常からは、失われつつある光景。黒光りした太い大黒柱。自由に仕切ったり広
げたりできる襖という境界。余計な家具などに支配されることのない生活。襖絵に欄間と
いったデットスペースを 利用しながら、さり気なくアートも共存しています。現代人の
方が、絵を飾ることのできない家に住んでいませんか?
 床の間は、かつてのディスクワークスペースだったのです。例えば違棚は、巻き物を広
げるためにありました。もともとは出文机という読書をするための独立したものでした。
そのために明障子の小さな窓もとられてます。私は特に掛軸の細長い画面に興味がありま
す。一つ掛かっているだけで、空間的にも精神的にも緊張感をあたえてくれます。 
 現代において伝統文化は、異文化のようになりつつあるのかもしれません。現代化を押
し進めるために世界中の文化が均一化されて、薄っぺらな工業製品に囲まれています。で
も遺物は、時には新鮮なデザインのように映りませんか?そして現代人はもっと昔の人の
工夫を再評価しても良いと思います。文化を再構築することが私のテーマになっています。

question:茅葺きの美術館はいかがだったでしょうか?では、中村さんにさっそくお話をおうかがいしましょう。
中村さんの中で九十九里海岸の近くに住むようになって、大きな変化がありましたか?作品はもちろんですが、
九十九里の空気とか、海が近いので夏は真っ黒とか・・・
九十九里海岸は66kmの長い海岸線で、180度のまさにパノラマって感じなんですが、
大きな平野地帯なので、後ろを見回しても360度のぐるっと地平線ってかんじですね〜 
この辺は日本でも2番目の快晴率と言われてます。最初来た時はとにかく空が高いな〜
と感じました。以前シシリア島で見た地中海の日射しにそっくりで・・・
海に行く時は、お茶を持参、喫茶店がわりにボーとしています。
question:生まれ育った、北海道。美術の勉強のために住んだ東京という都会。そして九十九里の街。
作品と街と建築、ここに中村さんの作品のヒミツが隠されているように思いますが・・・
本来北海道人は、合理的で新しいもの好きで、古いものは切り捨てるようなところがあり
ます。もともと開拓民の血筋を引いていますから・・・ 平気でまた別の土地へ移住して
いき、とにかくフットワークが軽いんです。
新天地を夢見るようなところがあり、自分の力で楽園づくりをしている感じですね。移住
してから4年間は、手作りのアトリエとガーデニングと畑、陶芸などをはじめて、大忙し
ですよ。すべて都会の10分の1ぐらいの予算で、実現できますよ〜。
(資料)BSデジタル放送 BSC301チャンネル 「アートウォーキング」2003年4月放送より


MY WORKS

HOME