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2005 ギャラリー現/東京 Gallery Gen/Tokyo

日本美術 考察

 我が国の芸術という概念は、明治以降に輸入されてきたものだろう。
ではそれ以前に美術がなかったかというと、そういうことではない。
どうやら江戸時代以前は、今とは随分概念が違うことは推察できる。
たとえば西洋では近代にアートとデザインが分化し、個人主義の発達から
美術館が誕生した。日本では江戸時代まではどうかというと
一人の絵師が襖絵や蒔絵や焼物の絵付け等、多くの分野を手掛けている
西洋ではクラフトと呼ばれるものまで、何でもこなす。
考えてみればそれらは描かれているということでは、共通しているのだが
現代の西洋式の教育を受けた我々からすれば、ギャップを感じてしまう
常々私はかつての日本文化を、まるで異文化のように感じることが
多いのだが、江戸時代以前の美術は我々の知る美術とは
文脈が違うことは推察できる。襖絵や欄間等、日本美術は建築との関係が
密接である。そもそも日本建築には壁が少なかったことに
私は注目している。それらは開け閉め取り外しのできる扉等に
描かれていることは不思議なことだ。よく現代の狭い住宅事情は
作品を飾るような壁がないと言われるが、昔の建物はもっと壁がなかった。
なんだか現代人の言い訳じみて聞こえる。日本建築は常に外界に開かれていて 
自然観と人工美を絶妙に調和させている。例えば茶室は一つ一つの部材に
意匠や技術を通じて、茶の思想を具現化させているという。
また高度な技術で施されている蒔絵の箱や文机等、あらゆるものに
気を使っている。単純にアートは優れていてクラフトは
地位の低いものだと、西洋式に切り捨てても良いのだろうかと 
ときどき疑問を感じる。そして我が国には独自に発展した吹抜屋台という
表現法までが確立されている。屋根や壁を取り払った建物の描き方が 
絵巻物の大和絵で発達した。私は特に日本建築に興味を持ち  
建物全体の意識をとらえながらも、人物の相互関係を示すことができる。
俯瞰構図と絵巻という。時系列を合わせた表現形式に興味がある
絵画というよりもメディアのような、まるで吹抜屋台の物語の中に
入っていくような仕掛けが隠されているようだ。今回題材に選んだ
紫式部日記絵詞という絵巻物の中に、紫式部が屏風絵の前で文机を
覗き込んでいる場面が描かれているものを発見し、その画面を
私なりの解釈と手法で記号化したものを、更に部材に施し画廊の中に
再現して配置するという。入れ子構造のような構成で展示している。
ちょうど鑑賞者が紫式部に対応させたものである。

遡及空間「屏-紫式部日記絵詞ge05G」 H60/W30/D2.5cm(×4)
素材:板、アルミ、塗料、金泥、他 制作年:2005
遡及空間「幅-紫式部日記絵詞ge05G」 H10.5/W283/D10.5cm
素材:木材、工芸うるし、塗料、アクリル絵具、油絵具、他 制作年:2005

遡及空間「幅-紫式部日記絵詞ge05G」 H10.5/W283/D10.5cm
素材:木材、工芸うるし、塗料、アクリル絵具、油絵具、他 制作年:2005(部分)
遡及空間「文机-紫式部日記絵詞ge05R」 H7/W45/D30cm
素材:木材、工芸うるし、塗料、アクリル絵具、油絵具、他 制作年:2005

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