西丹沢 檜洞丸'10.5.18~20 曇、雨、雨

一日目 新松田=西丹沢自然教室-用木沢出合-白石ノ滝-白石峠-加入道山(避難小屋泊)
二日目 小屋-大室山-犬越路-熊笹ノ峰-檜洞丸-ツツジ新道分岐-石棚山稜分岐-同角ノ頭-大石山-ユーシンロッジ(避難部屋泊)
三日目 ユーシンロッジ-雨山橋-雨山峠-鍋割峠分岐-雨山登山口-寄大橋-寄バス停=新松田

 ユーシン渓谷を知ったのは丹沢山塊を歩き出してすぐのことだから相当経ってしまった。すばらしい渓谷美をこの目で確かめたいと次第に思いつめるようになっていた。

 調べてみると途中のトンネル工事によりH23年度末まで全面通行止とのことである。もちろんこの玄倉林道だけを往復するだけのお散歩は物足りない。
 西丹沢の雄である丹沢山塊2番目の標高を持つ檜洞丸を踏んで、これまた大きな山体で目だっている大室山を経由しユーシンへゆったり行程で行こうと山仲間と思いたった。

 西丹沢自然教室でバス下車後は舗装道路を半時間ほど歩くと道沿いにはヒトツバテンナンショウが満開である。他にもマムシグサ、ミミガタテンナンショウ(以上サトイモ科)たちも林立盛んであった。
 またウツギ類も咲きだしておりヒメウツギ、マルバウツギなどの咲き初めが散見できたがゆっくり写真など撮る余裕はない。

ヒトツバテンナンショウ 葉が1本の茎より出て小葉が9枚ついていた。仏炎包の裏はハの字形から黒に変わっていた。

 用木沢出合のゲートで先は車は入れず舗装路も荒れだしてきたが巾は広い。次第に谷狭を縫い渡渉も繰り返して登るとやや登山道から離れたところへ白石ノ滝が落ちていた。このあたりは大理石の産地でもあったようで大理石ノ滝ともいうなどの説明板も設置されていた。この滝を見た後もう少し登って最後の水場だろうと今晩と明日一日の給水を取ることとした。
 白石峠まで0.4kの表示板からの九十九折れの激急登りは辛かったがなんとか2時間半ほどで峠まで上がってきた。ここはコルでもう薄暗く風も強く寒くなってカッパ着用だ。

 峠から山頂にかけて次第にお花が咲きだしてきた。谷合いにもテンナンショウ以外にほとんどお花なく2時間以上重いザックでただ歩くだけだっただけにお花を見れば元気が出てくるというものだ。
 ワチガイソウにツルキンバイが方々に咲いているではないか。一気に嬉しさが込み上げ興奮気味である。

ワチガイソウ(ナデシコ科) ツルキンバイ(バラ科)

 峠からすぐで加入道山だ。その右下には今夜世話になる避難小屋もどっしり座っている。寒さから小屋に飛び込んだが中はきれいにチリひとつないほど掃除もいきとどいていた。関東の山人たちのマナーのすばらしさが分って心もすっきりする。

加入道山1418.4 3等三角点 小屋内には毛布、布団もあった。

 毛布をマット代わりに使わせてもらいシュラフだけで寝たが、夜中の寒さに目覚めて布団を借りて事なきをえた。夜中には小雨が降っていたが明日は止むだろうと思いながら朝をむかえた。

 外は霧にむせぶような光景となっていたが、雨はほとんど消えているようだ。さぁ、今日のコースが本番で長帳場である。気合を入れてスタートしよう。
 加入道山頂は東西に長くこのなだらかな稜線にはマメザクラがほとんど花びらを散らしてしまっており、新緑は少しで他の木々はほとんどまだ冬枯れ模様であった。

 大室山への樹間から突然ガスが途切れて富士の姿が飛び込んできたのだが、今回はこの様子のみで最後まで顔を見せてくれずじまいとなったのは残念だった。

 さらに歩くとバイケソウの大群落保護のための木道敷きがあり、この様子はこの後に歩く檜洞丸直下と同じ景色を知っているだけに通過するのみだ。

 加入道避難小屋から1時間強ほどで大室山到着だが、評判どおり展望は苦しい。もちろん今日は真っ白である。
 すぐに引き返して犬越路へ標高差500mばかりの一気下りだ。下には4~5年前に改築なったバイオトイレもある避難小屋がきれいだ。ここでもゆっくり一息いれさせてもらった。

大室山1587.6m 3等三角点 アセビの奥に犬越路避難小屋

 ところがこれよりの小コオゲ、大コウゲのザレた急登の道には木製梯子にクサリ、ロープなどの連続で変化あるもなかなかの道となった。

 そんな中に終盤とはいえ期待していたコイワザクラが散見されたのが嬉しい。そして熊笹ノ峰手前の神ノ川分岐となるテーブル地で一本立て、その後のつぼみばかりのお目当てシロヤシオやトウゴクミツバツツジを横目にいよいよ今回の最高峰の檜洞丸に辿りついた。 

コイワザクラ(サクラソウ科) 檜洞丸1601m 三角点はない

 降りしきる雨で昼食もそこそこにしてほうほうのていで山頂を後にツツジ新道分岐から南に下って石棚山稜を右に見送りいよいよ同角山稜だ。

 ところがこの分岐すぐでアッと驚くマルバダケブキ(キク科)の大群落地であった。さぞかし花時の夏の頃にここを通過する人達のびっくり仰天が目に浮かぶようである。
 このお花は菊のような真黄色の大ぶりの見ごたえのあるものだが、私はあちこちで見ているもののこのような大群生には心当たりはない。今は一面瑞々しい可愛い葉が大きくなろうと頑張っている時季である。

 そして山頂より1時間20分でこれまた男性的なきつい激登りの鉄梯子、クサリ、ロープの連続をやっつけて、丹沢の鋭鋒である同角ノ頭を踏むことができた。
 山頂は今しがた来た道とは違い、たおやかなブナ林のすばらしい静かな佇まいの雰囲気がいい。いつまでもここでゆっくりしたいなと思えるところであったが、いかんせん雨の中だ。まだ先3時間は行かねばと心は急かされる。

 そしてやや道が細くなり人の入りが少ないことを思わせるコースであるが、同角から1時間ほど標高を下げるとようやくトウゴクミツバツツジが1本だけ満開であった。
 さらに下ると今度はシロヤシオも一杯真っ白なお花を咲かせてくれていたのに大満足となった。だがしかしこのあたりまで来るとデジも濡れっぱなしでなかなか撮影はままならないのがいまいましい。

同角ノ頭1491m 三角点はない トウゴクミツバツツジ オシベ10個
シロヤシオも雨中に沢山見られて満足オシベ10個 大石山1219.7m 三角点は見損なった。

 右画像の大石山山頂には珍しくヤマツツジが満開で咲いていたがトウゴク・・は無く残念であった。そしてこの後は自然林から植林帯を約2時間近く下って念願のユーシンロッジの避難部屋に到着できたが結局今日は10時間半の歩きとなってしまった。

 雨中とはいえ深山の中の建物がやや場違いな感じがしないでもないが、あたりの木々の新緑がすばらしい。ここでゆっくり休ませていただけたことには大きな感謝でもあった。

 明けて最終日はユーシンの森というあたかも日本庭園のようなすばらしき雰囲気のいい森を見ながら雨山橋まで林道を行き、いよいよ最後の登りの雨山峠へ向けて延々と長い鉄や木製の桟橋を滑り易い足元を気にしつつ友とともに順調に渓谷美を楽しみながら字のとおり雨中の雨山峠に辿りついたのだ。

雨山峠指導標 あたりは新緑が目にまぶしい

 たっぷりとブナ、カエデ類、クマシデ類などの新緑の渓谷美を楽しませてもらいながら、ややガレたヶ所をどんどん通過してユーシンロッジより2時間45分で水源林の森であり賑やかにいろいろな看板の立つ雨山登山口に降り立った。
 そしてさらに寄大橋、寄バス停まで約1時間弱歩いて三日間のロングランを終えた。足の揃った二人して大満足の雨中行軍であった。

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