上越 谷川岳 '10.10.5~7 曇

初  日 越後湯沢=平標山登山口(平元新道))-平標山ノ家(泊)
二日目 山ノ家-平標山-仙ノ倉山-エビス大黒ノ頭-万太郎山-大障子ノ頭-大障子避難小屋(泊)
三日目 小屋-オジカ沢ノ頭-肩の小屋-トマノ耳-オキノ耳-一ノ倉岳-茂倉岳(茂倉新道)-矢場ノ頭-蓬橋-土樽=越後湯沢

 私にとって谷川岳といえば5年前の風邪をおしての辛い思い出しかない。谷川岳の響きは一ノ倉沢などの東面岩峰群の印象が強いだけに「険しい山」と思われがちだが夏には案外お花の山であることは知られていないだろう。
 でも今回は紅葉が素敵だろうと思い、日本海側に寒気がきて大気は不安定との予報ながら雨は大丈夫だからと決行したのだが、山行中ずっとガスが取れなくてどうしようもない山となってしまった。いわれるとおり谷川岳一帯は天候も決してよい山域ではないのだろう。

 今回の行程は二日でもやれるのだがあまり無理することもないとのんびり3日間で向ったが、こんな景色しか目に入らないのであれば二日で足早にやるべきであった。

 バスを降りるとすぐに歩き出すが初めてのコースだったのだがネット上でしっかり事前調査を済ませていたためにまったく問題なく歩くことができた。30分で舗装路から地道の林道に変わって最初のゲート場にはホースで水場はありがたい。

 この後25分で実際の登山口だが、地図上標記ある水場(現地看板にはこの上20m)は流れが悪く飲む気にはなれないのでそのつもりでいたい。

 よく整備され歩き易い木の階段が始まった。あたりはぼつぼつ紅葉が目につくがどうやら一番手はウルシ科の仲間達だ。

ダケカンバにからむツタウルシ 笹の上には燃えるようなヤマウルシ

 さらに進むとブナの森が続くがこちらの紅葉はまだこれからだ。そしてちょうど駐車場のある平標登山口から2時間歩いて今晩のお宿である平標山ノ家に到着である。トイレ・水場ありできれいな建物だ。シュラフ持参で素泊まり2000円で寝かしてもらうだけだがありがたい。

 2時過ぎに着いた私を見て小屋の奥さんは京都からもうこんな時間に来れるのですか?とびっくりされていた。一番の新幹線利用ですからと答えるとへ〜新幹線でねー早いわネ〜??

 ところが夕食を済ませて6時ころすることもないしやむなく寝ようと思うころ、あたりは真っ白で何も見えない。それに風が強くなりだしおまけに雨も降り出すなど最悪状態となってしまった。
 さぁ明日はどうしよう?ここまで高いJR利用なのに下山するのか、木道の多いコースで転倒でもしたらなどなどいろいろ考え出したら眠られない。結局うとうとするだけで朝を向えた。

 でも昨夜の状態を脱して雨風はない。景色はガスで望めないにしても何とか歩けそうだ。仕方ないがこのまま山行継続だ!と決心してスタートであったがあれやこれやで気の進まないことからゆっくりしていると思いも寄らぬ空模様になってくれたのである。山の天気は分らないとはよく言ったものである。

 まわりのチシマザサに足元を濡らしながら木の階段を40分ほどで平標山へ上がるとご覧の天気にやった!と有頂天になってしまったが・・そして右はこれから向う仙ノ倉山の頭が少しだけ覗いていた。
 ムラサキヤシオツツジで有名な花の百名山の平標山付近のハイシーズンにも是非訪れたい山なのだ。

 振り返ると平標山も錦秋の衣を見せてくれるなどすばらしい!、、、平標山から20分ほど下ると木道周辺の初夏にはお花畑が圧巻となる付近を想像しながら歩いた。
 でも青空の広がった光景は今回の中でこの時間帯だけだったのが悔やまれてしまった。もっともこの時点ではこの後もずっと晴れてくれたらいいのになぁと淡い期待感で歩いていたのだが・・・ 

 そして谷川連峰最高峰で山頂の開けた仙ノ倉山では思う存分?の360度の展望を楽しみたい・・富士はさすがに顔はなかったが同方向の浅間山は少し雲つくも確認でき、赤城ははっきりし上州武尊はあれだろう、それに苗場山も十分同定できた。

 道沿いにお花はこの時期だから期待はしていない。でもハクサンイチゲはそこそこ咲き残ってくれていた。他にミヤマヨメナだろうか、タテヤマウツボグサが最終の姿、アキノキリンソウも終りでトリカブトは完全に黒く枯れた姿となっていた。

 青空の見える山歩きは1時間半で白いガスが広がってしまった。もう多くは望まないようにしよう。ここで止める分けにはいかない。心をいれかえてガスの中の行進が始まった・・・

唯一きれいに咲き残っていたハクサンイチゲ 避難小屋だ、コース中にはカマボコ型が目立つ
エビス大黒への岩場を二ヶ所通過もあたりは殆どみえないので恐怖感はない。イヤ下を見たかったが・・

 それでも時々ガスが薄くなってくれ谷底や紅葉の景色も少しではあるが見せてくれる。金山沢、赤谷などだろうか。

 何度もなんども小さなピークの連続である。重いザックも苦にならないができればコブはないほうがいい。そうはいっても近くの紅葉もきれいで元気が出てくる。あぁ来てよかったと思わせてくれる。

 でもこの天気だ、今日は誰にも遭うことは無いだろう。コースを貸切で行こう!でもこう一人ぼっちでは人恋しくなってしまう。そう思いながらあたりの山肌を楽しんでいるとむこうから何かしら赤いカッパの人物が近づいてくるようだ。

 そうだそろそろ毛渡乗越(ここの道標は倒れたまま)の分岐のはずだが休むなら丁度あそこがいいと計算しながら速度を調整していた。ところがどうだ、向かいからの人物も同じことを考えていたのだろうか。この乗越で互いが同時に到着した。

 その単独行の女性も上野から来て昨夜は肩の小屋からですという。そして一しきり山の話が続き百名山はやらないが谷川が好きですからここは何度も歩いてるし、これから平標山ノ家泊りとのこと。へ〜大障子小屋泊ですか?もったいないもう少し頑張ってついでに馬蹄形縦走してから京都へ帰った方がいいのに・・と勧めてくれた。
 相手もこんな日だし誰にも会えないだろうと思っていたころでした、人恋しい時に出会えて嬉しかったです。と笑顔で話す姿にこちらも心が同じでよかったですと25分も話し込んでしまっていた。

  山中で見知らぬ人と言葉を交わすことができ、うれしくなった気分で元気に万太郎を目指そうと気分爽快になる己がおもしろい。そうするとまたまた真っ赤な紅葉が待ってくれていた。

ミネカエデとミヤマシグレ ツツジをバックにクロヅルの黄葉
ドウダンツツジ アカミノイヌツゲも緑と赤で参加している。

 1時間ほどで頂上が狭い万太郎山だが時計を覗くと12時だ。お昼にしようと座り込んでパンを飲み込んでいるとカウベルの音が近づいて上がってきた。
 一度人に会うとまた出会うか?、この若い青年は清々しく言葉少くなに天神尾根から来たのですが吾策を降ります。何も見えないしただ山頂を踏んだだけですと笑ってそさくさと分岐へ引き返していった。

 そうだ真っ白で周囲に変化のないこんな状態ではただピークを踏んだだけだなと、同じように自嘲しながら腰を上げて今日最後のピークである大障子ノ頭へ歩くこととした。

 同じように白い世界がどこまでも続いていた。あぁ、今日の歩きはもうすぐの大障子避難小屋までか・・・と淋しそうな気持ちでとぼとぼ歩いていると小屋に着いてしまった。 

 すぐにドアを開けると事前調査どおりのこ綺麗な室内であった。広さは5人までなら快適だろう。でもネットで見ると多い時には10人近くも寝ることもあるという。さて今日はどうだろう?

 そんなことよりさぁ水場へ降りよう!と計2.5リットルの空き容器を小脇に抱えてちょっとだけガレた道を降りると情報どおり伏流だろうか、7〜8分で元気な流れの水場であった。
 顔や手を洗って息を吹き返した。急な道を10分ほど登って小屋に戻るが誰も来ていなかった。よしこれなら人はこないだろうと横になることにした。

 そうして居眠りしていると男女でガイドと客の二人が3時ころ着き、さらに一時間すぎてから男性の一人が入ってきた。結局4人で快適な広さを使用できのんびり一夜を過すことができた。明日は3人とも平標山へ向うといい聞くと普通は肩の小屋方面から歩く人の方が多いよとのガイドの話であった。
 もっとも夜中に小雨が降ったが少しだけ雨漏りで目が覚めた。もし土砂降りならゆっくり寝てはいられないだろう。

 なんとか無事に朝を向かえ最終日の行動だが私を最後に7時前小屋を後にした。最初のコブの小障子ノ頭を過ぎてすぐにガスが途切れ今日の後半に歩く予定の一ノ倉岳から茂倉岳に矢場ノ頭の姿が顔見世してくれた。
 ついでにその北側の鋭尖の足拍子岳や左の荒沢岳に右のコマノカミノ頭までもきれいに見ることができた。

 その後はオジカ沢ノ頭のピークを踏みその北側の地図上でも表記の「ヤセ尾根注意」でクサリも2箇所ある。これまでゆったりと歩いてきたのだが、ここにきて初めて足元を意識しつつ降りることとした。

 クサリ2箇所の真ん中あたりで空身の女性とザックを持つ若いアベックが上がってきた。ガレの上で待機していると肩の小屋からオジカ沢まで往復してるんですと話ながら登ってくる。そこにクサリ場がありますよ。でもそのオジカ沢のピークはもうそこですからね。気をつけてと声をかわして交差した。これできのうからここまで7人にもあった。以外である。

 その後に中ゴー尾根を右に分けて有名な肩の小屋に2時間弱で到着だ。やっぱりこんな日は客はないのだろう。スタッフが大声で笑いに興じているのが聞こえるのみだ。イヤこの時間だ、客はもう小屋を後にしているのだろう。

 小屋の入り口前のベンチで10分ほど休ませてもらっていよいよ谷川岳へ登ろう。トマノ耳とオキノ耳だ。もちろんこんな日で誰も居ないに決まってる。よほど物好きな自分にまたまた自嘲気味である。
 わずか5分もしないで最初の山頂トマノ耳である。そして双耳峰のもう一つのピークのオキノ耳だが予想どおり人の姿はない。これまで百名山山頂で一人ぼっちは初めてだ。

 今日は運良く新潟県側のガスが途切れることがちょくちょくあり、紅葉もきれいに見下ろすこともできた。また谷川岳稜線歩きは岩の悪場が連続でクサリもあるなど要注意だが、そのガレ場を下ると富士浅間神社奥宮をすぎて、一ノ倉沢を俯瞰できる岩畳状のノゾキと呼ばれる場所に着いた。その一帯も今日ばかりは白い絵の具で塗りつぶしたような様で眼下の絶壁は見られなかったのも残念だった。

 そして今回の紅葉の圧巻がやってきた。う〜んこれでガスがなかったら最高だろうにね〜〜と一人合点しながら山の斜面に身をおいていた。それは一ノ倉岳への登りの肌である。

 ご覧のように東の群馬県側はガスで有名な一ノ倉沢を隠しているため、あのノゾキは残念である。でも西の新潟県側の真紅に染め上げた紅葉の見事さはどうだ!あまりある光景が繰り広げられている。
 空の青がほしいとこんなに思ったことはない。ここはその空の青、紅葉の赤、笹の緑とまさしく三段紅葉のビューポイント地だろう。

 ゆっくりと紅葉を楽しみ、停まったり振り向いたりしながら一ノ倉岳への登りを楽しんで歩いた。頂上あたりはこの白ではちっともおもしろくない。さっさと先の茂倉へ進もう!・・

 そうだ、私は別に三角点病者ではないが、トマノ耳、一ノ倉岳、茂倉岳の山頂に三角点はいずれも見当たらないのはどうしてなのだろうか・・?

 茂倉岳から進む方向に目をやると避難小屋が見下ろせる。当初はこちらから登ることを考えていたのだが、小屋裏下にある水場が細いとのことで計画変更だったので、その場所に確認のため行くと何とか思っていたよりは水は流れていた。それに避難小屋のきれいで広いのがすばらしい。一度は利用してみたい場所となったのだが・・

茂倉避難小屋、左はトイレ棟 1分の水場、横にも少し細い水が落ちる。

 しかし、この茂倉新道利用はどうか?と分ったのはこの後の矢場ノ頭以降の下り道の歩きにくさが問題であろうと考えざるを得なくなってしまった。登りの場合は茂倉岳までJR土樽駅からは4時間半のタイムとなっている。
 でも紅葉の素晴らしさは矢場ノ頭から茂倉岳までの急登のしんどさに余りあるものもあろう・・悩みは多い?

1683ピークと矢場ノ頭を小屋から見下ろす 1683ピークから茂倉岳を見上げる

 それにしても矢場ノ頭から土樽の駐車場までの道の歩きにくさは強烈だ。上部には矮小のクロベが多くそのうちにクロベの大木にクロマツ、トウヒの大木達の木の根っこが登山道を縦横にふさぎ、「木の根の露出多く歩きにくい」と地図にまで表記があるくらいだ。
 もっとも標高を下げるとブナ林が出てくるが若いブナの森が見えるとやれやれの気持ちとなる。でもここを登るには地図上では矢場ノ頭まで2時間40分とあるようにうんざりだ。

矢場ノ頭から茂倉尾根を見上げる クロベ(ヒノキ科)の根が連続

 結論としてこのコースを反対側(土樽側から)より登るのかとの答えは出ないままに下山してしまった。1683ピークの下方の途中にはウメバチソウの群落があり、コゴメグサも咲いている。でもこのコースへの今後の入山は夢となりそうだ・・?
 そんなことより谷川岳といえばやっぱり知る人ぞ知る馬蹄形縦走をやらない訳にはいかない。来年は土合からその朝日岳、白毛門を周回しようと考えながら後学のためにJR土樽駅を覗きに足を伸ばしていた。

 初  日 京都607=東京=越後湯沢1140=平標登山口1215-登山口1308~13-平標山ノ家1414(泊)
 二日目 小屋710-平標山751~56-仙ノ倉山841~57-エビス大黒941~50-毛渡乗越1036~1100-万太郎山
        1205~20-大障子ノ頭1252~57-大障子避難小屋1310(泊)
 三日目 小屋645-小障子ノ頭656~701-オジカ沢ノ頭740~45-中ゴー尾根分岐812~17-肩ノ小屋836~46-
       トマノ耳850~905-オキノ耳916~25-一ノ倉岳1024~29-茂倉岳1045~59-避難小屋1058~1110-
        矢場ノ頭1159~1217-駐車場1330-蓬橋バス停1413-JR土樽駅1415~1515-蓬橋バス停1520~30
       =越後湯沢1558~1604=東京=京都2115

 『紅葉のメカニズム

 あの美しい紅葉は実は樹木の生態保護システムなんです。つまり木々が自分の生命を守るための知恵の一部なんです。紅葉するのは落葉樹ですが、その名のごとく毎年秋から冬にかけて葉を全部おとして丸坊主になります。
 植物は常に葉の気孔から水分を蒸散させて体内の水分量を調節しています。雨量の多い時期には余分な水分はどんどん体外に蒸散させればいいのですが、冬期になって水分量が少なくなってくると葉からの蒸散は逆に木に必要な水分量まで減らしていきます。水分は植物にとって命綱ですから必要な水分量が不足すれば大ピンチとなります。
 そこで水の少ない季節は蒸散を防ぐために葉を落として身を守るわけで、この落葉に至る一過程として紅葉という現象がおきるのです。つまり紅葉、黄葉は落葉の準備段階すなわちプロセスということです。

 さてその紅葉の具体的なメカニズムについてもふれてみましょう〜

 水分量が少なくなってくる秋から冬にかけて気温の低下とともに葉柄の基部の部分に離層というコルク層が形成され、葉と茎の間で水や養分の流れが悪くなって「光合成により作られた糖分が葉に蓄積され、これからアントシアンという赤い色素が作られ、クロロフイルという葉緑素が分解されて緑の色素が減少する」と紅葉になります。
 これらの過程でいろいろな紅葉になる一方で今まで目立たなかった黄色のカロチノイドという色素が目立って現れてきて黄葉となります。

 植物の種類や土壌、日照などにより、これらの過程には個性があり、赤、黄、まれに橙、紫色というように様々な色合いの葉となります。

 私たちを楽しませてくれる紅葉は実は植物の保身術の副産物で、理屈が分ってみると一枚の落葉もワァー可愛い、きれいだねと感じていとおしくなりますね〜〜♪

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