鈴鹿 綿向山の春 ’15.4.2 曇り

 鈴鹿方面の春の足音を聞きに山友と綿向山へ登ってきた。山麓はすぐそこへ春の訪れとなることだろうが、さすがに谷筋にはまだ残雪も広がっており、山頂まで登れば北風強く、一面雲の広がり濃く展望もさっぱりで、すぐに辞することとなるほどだった。
 春景色を期待しての山歩きだったが、私的にはまだまだ春を感じることはなかったような気がしたのだが、同行者のみんなは如何だっただろうか・・・。なお、今回は地元の方による案内で、部分的にいつもと異なる道の山歩きとすることができたので、その点では趣あり、2年ぶりの綿向山を新たな気持ちで楽しむことができた。

 そして、みんなで樹木の観察をしながら一日たっぷり楽しめたので、その樹木たちを主体のレポとしよう。

     
 ミツマタ(ジンチョウゲ科)    ニワトコ(スイカズラ科)

◎ミツマタ  ジンチョウゲの仲間。枝が三つに分かれることからの名の謂れで、古くから紙の原料に使うために植栽されたが、日本産でなく中国原産の植物

◎ニワトコ  別名セッコツボクといわれ、枝や幹を煎じて骨折などの患部にあてて湿布すれば効果ありと思われる。花のつく小葉は2~3対、花のつかない枝では3~6対の奇数羽状複葉と、花のあるなしで葉の対数が変わる。また、花や葉を乾燥させ解熱、利尿などの民間薬にも利用されているようだ。

     
4本株別れで、 4人姉妹ブナと呼ぼう・・    綿向山1110m

 行者コバからすぐで夏道はまだストップで、急登の冬道を登っていけば北風がきつく、稜線にようやく上がれば4人姉妹のブナちゃんが頑張って立っていた。このような厳しい自然の中にたつブナを目の当たりにすると、こちらも寒いなどと言ってられなく元気がもらえた。すぐに山頂であるが、そうはいってもやっぱり修業が足りなく寒い寒い!!。山頂の憩いもむなしくとってかえして下山とするばかり・・

     
ブナの珍変木(幸福ブナ)     登山道の雪はここ以外消えていた。

 下りがきついことで知られる竜王山へ向おう。幸福の木を見てすぐに稜線から急降下だ。そしてあたりの多くのブナたちが雪つくころだろう、強風にたたきつけられたのだろうか、太い枝の途中から痛々しく折れてしまっていた。そんな倒木の中を急坂下りとなった。

 そして強風の中を激下りをやっつけ、植林帯への下りから奥の平へととった。このような道なき道を楽しく進む愉快な仲間たちの足も速い。明るい林道沿いでキブシやダンコウバイを観察してゆったりお昼とした。

 
キブシ(キブシ科)

◎キブシ  下がる花の姿は祇園の舞子さんのカンザシや算盤の珠のようにも見えるのが印象的。昔は髄を灯心に、果実に含まれるタンニンを結婚した女性がお歯黒に用いたといわれる。

 さて、そのダンコウバイと近縁種のアブラチャンだが、こちらアブラチャンは最後の方での歩きの中で多く見られたが、同種を先に比較してみよう。

     
 ダンコウバイ(クスノキ科)    アブラチャン(クスノキ科)

◎ダンコウバイとアブラチャン  黄色い花が早春の日当たりのよいところに咲き初めとなっていた。花時には酷似するアブラチャンとの見分けは容易ではない。その同定ポイントはダンコウバイの花序が無柄であり、アブラチャンには花柄があることから、その花柄の有るなしで早春のころは見分けたい。
 また、花が終わって葉の展開が始まれば、ほとんど葉が三浅裂する特徴があるために葉での同定は容易なのがダンコウバイだ。ただ、アブラチャンの葉には割れ込みなしの特徴のない単葉のために、普通初級者には見分けはほとんど不可能だろう。


 近くには枯葉をいっぱいつけたままの小低木がぱらぱら目立っていた。これはこの時期には容易に見分けが可能となるこの時期限定樹木種と、私はいっているヤマコウバシ(クスノキ科クロモジ属)である。さて、それではどうして枯葉がいつまでも落ちないのであろうか。これはふつうの落葉樹と違い、葉柄のつけ根に離層ができないからであろう。そして春になって新葉の展開でようやく枝にお別れして落葉するのだ。
 このヤマコウバシの画像を撮り忘れたが、茶褐色で縁にギザギザといって鋸歯のない全縁の葉をつける種だ。春本番のころには葉の表面がやや革質の葉に変わるが、その頃あたりから枝を折ればよい香りがすることからの謂れのようだ。いずれにしてもクスノキ科の仲間たちはこのように香りよいのが特徴でもあるのだ。また、若葉を乾燥させ保存し、熱湯で戻して非常食として昔は食べ、トロシバという方言名でも知られるようだ。
 なんといっても10~11月ころには黒い果実ができるのに雄株が日本では知られていないミステリアスな植物として知られるのがおもしろい。雄株なしに結実するのはどうしたことだろう。いつになればその原因究明が研究発表されるのだろうかと期待しているのは私だけではないだろう。


 オンバノフトコロに上がればまたまた稜線歩きだ。そしてアセビ満開に取り巻かれた竜王山で一息いれよう。ここまでくれば綿向山の縦走も終わったも同然で気も緩んでくるが、でもこの後も急下りが待っていた。そして千畳平の自然林続く広場へ着くと、ずっと前の紅葉の時期に歩いた想い出が蘇ってきた。あの頃は若かったのだが・・・。

 そしてシキミ(シキミ科)が咲き初めとなっていた。


咲き初めのシキミ

◎シキミ  全体が有毒で、特に果実は猛毒、名も悪しき実が訛ったものと言われる。土葬時代の昔は地方によってはお墓の周りにこの樒を植え、獣からの土葬の掘り返しを防ぐ策としての習慣が知られていた。

 
 お疲れ様でした。写真や軌跡もありがとうございました。時や山を変えてまたよろしくです。

 *お断り 文中の表記は山と渓谷社の図鑑を主として参照させていただきました。

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