静岡 安倍東山稜・大光山を歩く ’15.4.26 曇り

 富士山と花の希少種を求めて遠征し、ついでに安倍東山稜北部も歩いてきた。それにしても今日ほど富士がまったく顔を隠してしまい、0%の富士見山行でもあったのは珍しい。気温上昇の今週では致し方ないのだろうか。

 ところが、花巡りは最高の一日となってくれた。希少種のキバナハナネコノメは、ここでは多数が咲き乱れ、気分上々となった。しかし、満開時の21日のブログを見てまだいけると向かったのだが、5日経つだけでやや葯の状況が変わっていたのが若干悔やまれた。

 それにしても、東海地方に分布するという本種は、どうやらあちこちの谷筋でも見られるようで、東海方面の山人はよく目にしていることだろうが、でも、ネット上に名前を間違ってUpしているブログも見かけるほどで、名前はまだそんなにメジャーとはなっていないと思われる。

 さて、そのキバナハナネコノメはいがりまさしさんのサイトでは「ハナネコノメに似ているが,萼裂片の色が黄色。ハナネコノメ とともにシロバナネコノメソウの変種。分布は東海地方に限られる。」とある。これまではネット上で見るばかりで、やっとの思いでこの種に出会え、夢が叶えられて大満足の気分で大自然の山狭に身がおけた。
 

     
キバナハナネコノメ(ユキノシタ科ネコノメソウ属) 

 もちろん、どのネット上でもこの花以外の名が出てこなかったので、この種だけだろうかと疑問に思っていたが、やっぱり他の花も見られた。それらはキバナハナネコノメの仲間でもあるイワボタン、ヨゴレネコノメの二種が咲いていた。この二種も関西ではそんなに多く目にする種ではないため興奮度はやや高めであった。その他ではヤマエンゴサクが見られたが、この時期としては植物層豊富とは思えぬ谷であったが、時期を変えれば他にも咲くことだろう。。

     
 イワボタン    ヨゴレネコノメ

 こうして、ひとつめのお目当ては大成功理となって、次は富士見としようと旧安倍峠あたりで様子を伺うも、東方面全体が雲がかかり、とても富士どころの状態ではない。しぶしぶ安倍東山稜を南下しながら歩こうと急登である最初のピークのバラの段へ登り上げるも、あたりはやっぱり雲が広がって富士山どころではない空模様が続いている始末に、これでは富士の頭すら無理っぽいのではと思いながら、稜線漫歩とすることになってしまったが、最後まで富士には泣く日となったのは久しぶりであった。

 さて、安倍東山稜とは安倍川の東側を南北に連なる稜線を安倍東山稜と呼ぶようだが、高度こそ下十枚山の1732.4mが最高峰だが、数重なる小さなアップダウンが数えきれないほどあって、静岡の山人の人気の山塊となっているようだ。とりわけ、GWの頃歩けば静かな山旅がすばらしいとのことだ。ネット上でも全踏破の縦走にテント歩きも多く目にすることがある。
 今回は北の始まりである安倍峠から、バラの段(1647.5m2等三角点)で早めの昼食をすませて下れば、ここで初めての女性が安倍大滝から登ってきたとやってきた。バスではなくマイカーで来たに違いない。それにしても元気だ。次はワサビ沢の頭だが、ピーク手前あたりで男性が下りてき、少しおいてまた男性に出会った。
 そして、この後のピークから下山までは誰にも会わず、まったく静かなひとり旅となったのである。それにつけても稜線のブナの木などに熊のひっかき傷が随所で見られ、思わず熊鈴を振り回しながら歩いていた。展望のない大笹の頭(1672m本日の最高峰)、奥大光山なども標示がなければ通りすぎてしまうようなピークであったが、このようなピークを片づけ、最後に名前がおもしろい大光山(1661.3m3等三角点)を踏んだが、ここも展望はなく、西峰へ少し進んでダケカンバ立つ笹原の稜線からは眺望が楽しめる所なのだが、この真っ白状態模様は泣くに泣けなかった。時間調整に景色を見ながら行動食タイムとしようとの計画だったが、やむを得ない。指呼の間のはずの八紘嶺すらも見えないような中でのんびり腰を落として中休憩としていた。

 これより、少しのブナなどの自然林帯を楽しみ、20分ほどで杉檜の植林帯に突入して草木集落コースを下っていくのだった。この稜線のブナの大木が続き、道もすっかり笹が刈られて歩きやすく、天候に恵まれれば富士に真白き雪をいただく南ア南部の山々などが見られる稜線のために、最高の山歩きが楽しめるはずだったのだが・・・。稜線最後あたりでは可愛いトウカイスミレが咲いていた。

 ところが自然林の稜線が過ぎると急な九十九折れの植林帯の歩きには閉口した。岩小屋は屋根が潰れて避難小屋としも使えない。その後の水場の小屋は荒れてはいるがまだなんとか・・という感じだが、それよりこの一帯から花が出だしてくれた。この草木コースでもまたまた花巡りで心なぐさめてくれることとなったのが、想定外のうれしさとなってくれた。
 それはキバナハナネコノメ、イワボタンはもとより、関西では最近ほとんど見ていないミツバコンロンソウが群生していたことだった。もちろん、ほかにも沢の水が流れるあたりにはピンク色の可愛らしいヤマエンゴサクやマルバコンロンソウなども咲いていた。

 
ミツバコンロンソウ(アブラナ科)

 歩き始めた山歩きの中で梅ケ島温泉上の植林帯の登山口から少しでガレた日当たりのよい箇所ではトウゴクミツバツツジであろう濃い紅紫色のツツジが咲いていたが、そばではなく離れていたために写真は撮れなかった。その後1600m台あたりでバイカオウレンがまだ咲き残っていたし、稜線ではアブラチャンが終盤とはいえ多数見られた。もちろん、シロヤシオの古木が目につき、看板には5月から6月にはサラサドウダン、チチブドウダンなども咲くとあった。

 いずれにしても、富士山こそ泣いた一日だったが、それにしても山歩きと花歩きには大満足な山旅となったのである。

ホームヘ