京都西山クリンソウのポンポン山’15.5.2 晴

 今年の天候なら、もうクリンソウが咲いていることだろうとポンポン山に登ってきた。一日終わってみれば京は31度と猛烈な暑さで、もちろんクリンソウは一斉に咲き初めとなっていた。いつもの奥海印寺立石橋から取りついた。

 最初はバラ科キイチゴ類のクマイチゴが咲き残っていた。ニガイチゴやナガバモミジイチゴは花は終わって実に向かっていたが、遅咲きのクマイチゴがふるえる様な花弁の白花が見られた。そして次にはスノキにウスノキ(こちらの萼筒には稜角あり)のツツジ科の仲間が咲き初めとなってくれていた。

   
 クマイチゴ(バラ科)  スノキ(ツツジ科) 

 この二種はなかなか区分点が容易ではないのだが、こうして二つならんで咲いているので同定ポイントさえ押さえれば容易に見分けられて楽しい樹種でもある。まず、ウスノキの花の基部にある萼筒には5個の稜があるが、スノキには稜がなく丸っぽい。そして同定ポイントの決定的なのは、7月頃になればスノキの果実は黒熟してくるが、ウスノキの果実は赤く熟すので一目瞭然だ。もっとも花時はややはっきりしない個体もある。なお、スノキの葉裏に短毛があり、主脈、側脈や葉柄に曲がった毛が密生するのはカンサイスノキと名が変わるのも関西人なら知っておこう。

 続いてだが、ラン科のオオバノトンボソウは昨年盗掘されてしまい、他にはどうだろうと探すもまったくその姿はない。盗掘といえば西山ではこれだけではない、珍しく沢山咲いてくれていたイチリンソウはすべて影も形もなくなっていた。まだある、長い間立派に咲き誇ってくれていたツチアケビも昨年咲いてたのを確認していたのだが、盗掘にあったようでまったくの笹原となってしまっていた。今年は気が滅入るばかりである。

 真の登山者で花愛好家は決して盗掘などはご法度を知っている。生半可な山歩きをする程度の素人ハイカーはどうしてもきれいなものに手を出すのだろうか。その人たちにとっての美、希少、高根の花などに出会った時、たとえ単独で誰もそばに居なくても自宅の庭で咲かせたい、欲っしたいとの咎められる道である欲望には絶対に打ち勝ってほしいものだ。

 さて、歩けば超満開が目に飛び込んできた。先に山友より和歌山でクロバイを見てきたよと知らせが入ってたのだが、私もこの目でハイノキ科のクロバイにバンザイと思わず声を上げたい気持ちで眺めた。もっとも落下盛んであったが、それはあたかも大庭園に続く白い花びらで敷かれた絨毯の廊下のように思えたのだった。

     
クロバイ(ハイノキ科) 

 そして、本日のお目当てである長岡京小沢渓谷上のクリンソウ地であった。咲いていました!、咲き初めであったのだが、日当たりのない場所以外の花はほとんどが咲き始めてくれていたのだ。今年の異常気象で例年より相当早めの開花のようだ。
 このGWの通過者にはきっと満開のクリンソウが喜ばれることだろう。だが、くれぐれも願いたいのは写真撮る方はたとえ一人で誰も見ていないからといって柵の中には入らないというマナーは厳守いただきたい。可憐な花たちの命ははかない、踏みつけによる根絶は盗掘とともに大きな絶える要因であることを知ってもらいたいのだ。

     
クリンソウ(サクラソウ科) 

 その後にはパノラマ台からの我が家の方面を見下ろしたのだが、暖かすぎて眺望はハッキリとはしていなかったのが残念であった。釈迦岳への本線には戻らずに、そのまま裏道を川久保尾根途中の大杉へ出て、四差路を川久保林道歩きとした。ポンポン山に登る人たち、それも韓国系の言葉も聞こえるなど、さすがにGWさなかだ。普段であれば人の姿などほとんど見かけることは少ないのだが、今日は花たちを見ながらゆっくりのんびり歩いていると20人くらいが登ってきただろうか。終いには何かあるんですか・・?、などと聞く始末であったが、ポンポン山に登るんですとの返事であった。こんな山奥の中の道中でこれだけ多数の人たちに出会ったのは初めての経験でもあった。

 日当たりのいい林道法面ではジャケツイバラ、ゴマギが蕾膨らみ、カナクギノキ、クロモジなどが終焉で、ニワトコは緑色の若い実をつけていたが、コバノガマズミが白花を咲かせて峠を越しかけているのに出会った。このスイカズラ科のコバノガマズミもガマズミ、ミヤマガマズミ等と仲間が酷似し、山歩きの中でいつもどう違うの・・?、と問いかられる種であるのだが、簡単にふれてみよう。

 まず、葉の名のとおり、ガマズミ属では葉も花も小形であり、葉柄が他のガマズミ属の種と異なり、ほとんどないほど短いのが特徴である。なお、決定的な同定ポイントに、このコバノガマズミの葉柄基部には針状の托葉があるので確認してみよう。

     
コバノガマズミ(スイカズラ科)     同左の葉裏基部の針状の托葉

 いろいろな植物たちを目を皿のようにして観察しながら歩くのが楽しい。ポンポン山への大阪方面から川久保へやってきた人の一般的なコースである水声の道入口を右に見送って、その下のメガネ橋を渡るのだ。そう、いつもの美女谷へ上がろう。誰一人出会わないルート取りがお気に入りだ。少々荒れている、これもまたお気に入りだ。苔むした倒木や道など大雨による崩壊の連続で、もちろん、昔の橋などどれひとつ使用に耐えるものはほとんどないに等しいだろう。美女とは名ばかりの谷の名前だが、その謂れは知らない。
 でも、マイナー好き登山者はどこにでもいるものだ。どうやら赤テープなどが徐々にだが、増えつつあるのだがもう必要以上となりそうな状況に、そろそろそれらを清掃しようかなと思うほどでもあるのだが、興味ある方は今のうちにチャレンジしといた方がよさそう・・。

 林道終点まで上がるとそこにはミツバウツギの蕾が広がっていた。実は私はミヤマハコベはどこでも咲くのを見るのだが、ここではサワハコベが見られるのでハコベのシーズンがくればいつでもこの谷が思い出される。今日ももちろん咲いていた。それに進めばミヤマハコベも咲いているではないか。さらにムロウテンナンショウも花時であった。

       
サワハコベ(ナデシコ科) 花弁が浅裂で、茎に毛がなく無毛 ミヤマハコベ 花弁が深裂し10弁に見え、茎に2裂の毛がある。 

 頭の上に人の声が聞こえだすと東海自然歩道へ登り上げ地点はすぐそこだ。ハイカーの消えるのを待ってその登り口へ身を持ち上げる。どこから登ってきたのですか・・?、との質問責めに嫌気がさしているためだ。

 美女谷を終えて、遊歩道並の道に上って10分で人混みのポンポン山である。人だかりの山頂はいただけないが、頂には何の花が咲いてるかなとの確認作業だ。(笑)、ウワミズザクラがやや終焉、アオダモやコナラ、コバノミツバツツジ、クロモジは完全に終わっており、カマツカは蕾膨らみ、GWが終わる頃には咲きだしてくるのだろうか。

     
 ウワミズザクラ(バラ科)   カマツカ(バラ科) 

 この後にはリョウブの丘へ下って、やや遅めの昼食としよう。先客がお一人おられたが、こちらもベンチでゆったり静かな森の中から小塩山の向こうの愛宕の山並みを眺めながら、昼食にはんなり時を過ごしていた。そうしてほとんど端境期の竃ケ谷を下るのだが、鹿除け柵の中だけヤマブキソウが終焉で果実をつけている。そうそう、その中にラショウモンカズラの咲き初めが更に網を着せられ保護されていたのは、それは過保護では・・との思いだった。またオオキツネノカミソリの柵内ではその葉が元気に繁って、一面が白くなっているのはニリンソウの大群落が広がっていた。

 ここでのイチリンソウは数えるほど咲いていたのだが、今日は完全に終わっており、結局、何のために谷歩きをしたの・・との様相を呈していたのは泣きたいほどの道となってしまっていた。鹿除け柵設置にともなう作業員たちの踏みつけ等で丸裸の地となってしまっているのだが、後何年かすれば元の花の谷筋へと変わってくれるのを期待しながら気長に待つこととしよう。それにクサボケは終わっていた。

 そして最後は森の案内所から善峰寺までの自然観察としよう。この長い道のりでもいろいろ見ながらゆったりのんびり歩けばその間、ヤブデマリが満開でゴマギはやっぱり蕾、ヤブニンジン、ネコノメソウ、ニッコウネコノメはもう終わって果実化が進み、オオバタネツケバナ、キツネノボタンやコウライテンナンショウも咲いていた。

           
ヤブデマリ(スイカズラ科)     ゴマギ(スイカズラ科)  ムロウテンナンショウ(サトイモ科)    コウライテンナンショウ(サトイモ科)

 森の案内所から車道を歩きだし、杉谷集落より山道に入って北尾往生院本殿跡経由で、また車道を西国札所20番の善峰寺バス停まで急な下り道の舗装路歩きだったが30度からの猛暑には参った。1時間に1本の24分発のバス時刻に合わせてバス停に着けば、大勢の登山者でバスは満員となったが本日の裏山でもそれなりに楽しむことができた。

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伊藤新道から蓬莱山