比良 ’15.5.5 晴
坊村-伊藤新道-白滝山-音羽池-長池-森山岳-蓬莱山-小女郎谷-JR蓬莱駅 |
青天のGWに浮かれて比良の静かな山歩きを楽しんだ。花折れ峠のトンネルを抜けると、満員の登山者たちはきっと、よし、いよいよ今日も山へ向かうのだと心するのだろう。やがて坊村だ。吐き出された登山者は一斉に武奈ケ岳へ向かうようだ。我が足は地主神社横を右折し、明王林道に入っていくのだった。それにしても例年より花期が早い今年だが、これほど花が早く咲き終わているとは想定外であったのだ。好きなニッコウネコノメ、キンシベボタンネコノメはもちろん、ネコノメソウ類はみな終わっていた。
それに、いつもなら三の滝は素通りなのだが、今日は滝も楽しむことにしようとの気が起きた。アスナロの木の下を少し降って行けば轟々と落ちる音は豪快だ。不動滝とも謂われて不動明王が祀ってあるのだろう。一見の価値ある名瀑であった。アワブキが目についたが、今後も季節の変わったあたりの植物たちが楽しみとなった。
明王林道から降りると三の滝あり
明王林道に戻って岩場に群生するウワバミソウ(別名ミズ)の満開も久しぶりの出逢いだ。この種は東北方面では野菜として食すると図鑑にもあるが、一度は試してみたいものだが、そう多くはないので気がひけて手は出せない。
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白滝コースはワサビ大滝をへて白滝山へ登るコースと看板の立つ伊藤新道から登ることとしよう。なぜか3年連続でこの時期に登ることとなるお気に入りコースとなっているが、そこそこ荒れている道でアドベンチャー気分が楽しめるのだ。
それに花も見られることが一番の理由なのだ。といっても今回はほとんどの花たちが終わってしまっており、やっぱりワサビ大滝、ワサビ天井滝の見物となってしまった。そうはいっても、クルマムグラの蕾、ムロウテンナンショウやモミジチャルメルソウが咲いていた。それに長角果をつけたオオバタネツケバナの終焉が滝の落水を受けながら咲き残っていた。
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ワサビ大滝 | モミジチャルメルソウ | ワサビ天井滝 | クルマムグラの蕾 |
チドリノキがここまでのコース中に多くあるのだが、残念ながら歩く斜面からは写真が撮りにくいものばかりには困った状態で、ぶらさっがって咲く緑色の可愛らしい花を見ながらの谷歩きで楽しんでいる。そして滝音が聞こえ、白く流れが見えてくればワサビ大滝だ。もちろん、ここで荷を下ろして一本立てよう。その小さな滝壷近くに寄ってみる。ひんやりとして気持ちよく、何度来ても心休まる場所であった。
大トチノキが滝周辺に立ち、水辺が好きな樹木であることがよく分かる。すぐその上にはテツカエデの数えきれないほどの数の幼木がちょっとした森を作っており、これからはこの地を「テツカエデの森」として大きくなっても互いに成長できるように、適宜程よく伐採するなどして見守っていこうと思うのであった。
痛んだ道を行けばすぐでワサビ天井滝が落ちていた。こちらはやや水が細く、それに樹木が邪魔をして、下の滝より見劣りは否めない。この後は杉檜の植林帯を入ったり、出たりしながら急登のジグを切りながら上がって行く。イワチワ地はもうとっくに終わって花のかけらも見当たらない。
次第に自然林が出てくれば左の樹間から武奈ケ岳が顔見世となる。今日もあそこは人混みでごった返していることだろう。それに引き替え、こちらの道で出会う登山者は2人組に2回と単独者の計5人に行き違っただけだった。あ~、うれしい、こんなに静かな山の中に今日も身を置いていることがなんと幸せなことかと、母親の顔を思い浮かべながらにっこり感謝している我が身があった。
ほどなく平らな白滝の稜線で、足元には小さなフモトスミレが咲き、またシハイスミレの咲き残りも見られる。それに咲き初めのムシカリ(別名オオカメノキ)があちこち咲き誇っている。すぐで三角点もない白滝山であった。このピークも訪れる人もほとんどないが、青年が一人音羽池方面から上がってきた。
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フモトスミレ | 白滝山 |
こちらも新緑の景色の中を前方にこれから向かう蓬莱山を眺めながら、ミズナラ、カエデ類の最高の気分で散策気取りのハイキングだ。すぐで音羽池、ここは夫婦滝への分岐でもある三叉路となっている。今日は南の長池へ進んで、長池を見下ろしながらお昼としよう。今日も元気だ、昼飯がうまい!!
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三叉路にある音羽池 | 長池を見下ろしながら昼だ・・ |
カシラゴ池は乾燥化で水はほとんど見えないが次のスギヤ池は水はあった。このあたりで先ほど白滝山で逢った青年がうろうろしてS社の「山と高原地図」を見ている。どうやら長池への道が分からないようだ。地形図も磁石もなく、初めての入り込みの様子である。このような歩き方は若者に多い危険な冒険心だ。
どうやら、その後も人の少ない巡視路ルートを木戸峠へと目指してキタダカ道を降りるようだ。この後の巡視路道やクロトノハゲ手前の崩壊地なども含めて注意点を説明して分かれたのだが、無事に下山できたのだろうか。ともあれ、若者の冒険心はいいのだが、登山の基本である地図とコンパスの必携は当然で、その読みができるようにした上での山歩きを楽しんでもらいたいものである。こちらは長池より南へ二つの無名の池を見ながら小さなアップダウンを重ねて進もう。今回のコース中では一番心なぐさめてくれるところであった。
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さらに南へとると、おっ、ニシキゴロモか、いやいや、これは珍しいモモイロキランソウが咲いていたのだ。この花は昔に大御影山への途中で初めて知った花で懐かしい出逢いであった。花は山野草も樹木もほとんどなく、咲いていたのはムシカリばかりであった。しかし、山の景色は極上の雰囲気が広がっていた。池を配したそのあたりはいいようがないほど素晴らしい。こんな山肌だが、新緑が広がる時期もすぐ目の前なので、またぞろ踏み入れたい蓬莱山北尾根一帯であった。
モモイロキランソウ
そして、樹木花たちも1000m越えの稜線ではまだもう少し時を要する感じで、唯一咲いているムシカリでさえも咲き初めで瑞々しく、ありきたりの樹木花とはいえ、今日ばかりはムシカリの可愛らしさがつのるばかりであった。
ムシカリ
そして着きました。森山岳手前の展望台だ。ここからの眺めが今回のコース中では、池の畔に次ぐ心なぐさめてくれるところでもあった。またまた武奈を眺め、先ほど踏んだ白滝山、それに烏谷山なども目に入ってくる。ひとしきり比良山塊のすばらしさに嬉しさ百倍で、元気で登山のできる我が身に大きな感謝を両親に捧げているのだった。すこし戻るようにして1080mの森山岳だ。ここは展望なしですぐに蓬莱山へ進もう。
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展望台からの武奈ケ岳など | 展望なしの森山岳 |
森山岳から南へ下って登っていけば笹原となるが、笹原は脛以下とすっかり短くなって踏み跡ができている。ササは鹿が食べつくしているのだろうか。そして人だらけの蓬莱山頂上であった。子供の日の今日だ、すごい人混みの中には子供や子犬が駆けずり回って、さながら街中の公園の様相を呈していた。
蓬莱山、奥は武奈とコヤマノ岳
逃げるように小女郎谷へ向けて前進だ。ずっと咲いているフモトスミレを見ながら降りよう。今日ばかりは小女郎ケ池はパスして、小女郎峠で琵琶湖を眺めながら一息いれてからこの谷を下ろう。最初はやや急坂が続くが、キンシベボタンネコノメなどの残花を見たりすれば元気が盛り上がって、急坂なども慣れてへっちゃらであった。その内に岩場っぽい箇所ではイワカガミの大群生があって、ヤマルリソウ、シハイスミレ、コウライテンナンショウなどの花がうれしい。そしてまた渡渉地となったので、残っている行動食の晩柑を食べて汚れた手や顔を洗うのであった。
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キンシベボタンネコノメ | イワカガミ | コウライテンナンショウ |
最後の渡渉地ではワサビや他の花も終わって姿なく、まだかまだかでようやく本日最後の滝の薬師滝であった。この滝は落差こそ短いのだが、いつ来ても水量は強烈である。今日はウワバミソウは少なく、傍らにはモミジチャルメルソウがほとんど終盤となっていた。
薬師滝
滝より5分もしないで林道終点だ。なんと林道はここまで簡易舗装されている。まだまだ下の方に見える琵琶湖を眺めると真正面に近江富士の三上山が存在感を見せている。そして道沿いの草花を楽しみながら降りよう。アケビの花が超満開だ。それにカワヂシャ、ミツバツチグリやヘビイチゴの黄花が可愛らしく道端に咲き、ふと目を上げればコバノガマズミ、ツタウルシが満開で、コゴメウツギが咲き初めとなっていた。
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アケビ | カワヂシャ | ミツバツチグリ | ヘビイチゴ | コゴメウツギ |
本日は坊村を9時半ころから歩き初めて、花巡り、滝巡りに池めぐりと忙しく、なんとかJR蓬莱駅へ18時ころに着くほどの、ゆっくりのんびり長時間歩きとなってしまった。フゥ~
① |
武奈ケ岳 |
1214.4m |
3等三角点 |
200名山 |
② |
コヤマノ岳 |
1181m |
|
③ |
蓬莱山 |
1174.3m |
1等三角点 |
300名山 |
④ |
シャクシコバノ頭 |
1121m |
|
⑤ |
打見山 |
1103m |
⑥ |
小女峠北のピーク |
1101m |
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⑦ |
釣瓶岳 |
1098m |
⑧ |
御殿山 |
1097m |
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⑨ |
森山岳 |
1080m |
⑩ |
烏谷山 |
1076.8m |
3等三角点 |
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⑪ |
釈迦岳 |
1060.6m |
3等三角点 |
⑫ |
堂満岳 |
1057m |
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⑬ |
比良岳 |
1051m |
⑭ |
白滝山 |
1022m |
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⑮ |
摺鉢山 |
1006m |