’15.8.18 晴
真夏の暑い一日の花巡りでしたが、湿原の畔の植物たちとの出会いでしたから、熱中症までの心配はしなくてもよさそうでした。ともあれ、期待どうりのサギソウ(ラン科)の群落に皆さま大喜びとなりました。その喜びは最初の小さな池塘そばでの25株ほどの群落が見られたのですから、一同の感激は大変な大騒ぎでした。
その後もいろいろな湿原徘徊としましたが、これだけの群落はなく多くても15株程度以下ばかりでした。シラサギが翼を広げたような形の花が咲くことによるそのサギソウをまずはご覧ください。
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次にモウセンゴケ科やタヌキモ科の仲間たちは種により花期がややずれます。この山域ではモウセンゴケ、トウカイモウセンゴケにイシモチソウが咲きますが、今日はそのうちのトウカイモウセンゴケが唯一残り花を見せてくれました。
なお、トウカイモウセンゴケはコモウセンゴケから新たに分類された種で、葉がスプーン形でコモウセンゴケより丸みがありくびれます。コモウセンゴケの葉がシャモジ形(楕円形)で立ち上がらない、またはへら形との表現などもあります。この種の花は両者とも紅色で咲き、葉の姿がポイントのようです。
タヌキモ科ではミミカキグサ(花は直径5mm)が6月ころから咲きだし今回は個体数も多く咲いていました。また、ホザキノミミカキグサ(花は約4mm)が遅れて咲くようで今が盛りの感じでした。これらモウセンゴケにタヌキモ科はすべて食虫植物です。
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トウカイモウセンゴケの花と葉の部分 | ミミカキグサの花の下に果実も | ホザキノミミカキグサの花は無柄 |
次に他に咲いていた花ですが、さすがに多くはなく、6月末ころから咲き始めていたヒメオトギリ(オトギリソウ科)、さらに秋花のサワシロギク(キク科)が咲き初めとなっていたくらいでした。なお、サワシロギクの特徴ある葉の部分はボケてしまってたのが残念でした。
ヒメオトギリは山麓の湿地に生え、茎は4稜形で、高さは15〜40cm、葉はやや厚く、葉の長さ5〜13mm、幅3〜10mm、明点があり、基部は茎を抱きます。写真↓中のように上部の花序下で分枝しますが枝分かれの下につく苞葉は線形〜披針形となり、この苞葉の姿がコケオトギリとの相違点です。
対生の葉は無柄で葉を日に透かすと半透明の明点が散らばって見えますが黒点はありません。花は直径6〜8mm。萼は長さ2.8〜5mm、明点及び明線があり、花弁は長さ約3mm内外となります。また、雄しべの数は10〜20個と多く、コケオトギリの雄しべは5~10個ほどと少なく、束にはならない特徴があります。
サワシロギクはキク科のなかでもやや珍しい種で、高さ50~60cmになり、花は直径約2.7cmと図鑑にあります。また、舌状花ははじめ白色でしばらくたつと暗紫色を帯びるようで、画像でもそのように感じます。
サワシロギクの葉が特徴的でしたでしょうか。それは厚くてしわが目立ち、縁はかたい毛があってざらつき、根生葉は花期にはありません。また葉のつく位置により少しずつ異なるようです。下部=線状披針形で長い柄・中部=長さ7~10cmで幅約1cmの披針形で柄は短いかまたはない・上部=ごく小さいと図鑑にあります。
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ヒメオトギリの花と葉の部分、シベは束になり易く、花序下枝別れにつく苞葉は線形 | サワシロギクの舌状花は少なめ |
続いて残花から果実類を見てみましょう。最初は山野草です。なお、コバノトンボソウも若い実となっていましたが撮り忘れました。それにしてもノギランがこの山域には多数咲くことが分かりました。
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キンコウカ(ユリ科)若い果実 | ノギラン(ユリ科)残花 | カキラン(ラン科)若い果実 |
最後は樹木たちの果実類を見ましょう。なお、サカキやイソノキにガンピの果実を見損ないました。
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サルマメ(ユリ科)珍しい種だ | ゴンズイ(ミツバウツギ科) 裂開後が面白い | ナツハゼ(ツツジ科)美味い | ヘビノボラズ(メギ科)珍しい | アオハダ(モチノキ科)短枝が特徴 |
暑い一日でしたが、沢山の植物たちに出合えて疲れも忘れるほどでした。ご参加ありがとうございました。