湿原の秋花巡り ’15.10.4 晴

 湿地帯の秋の花に会いに行ってこよう。こちらではいろいろな花の咲くのは、初夏から暑い夏の時期ばかりでなく、長かった酷暑を追いやってようやく暑さの一段落したこの秋がくれば、どちらでも咲くというのではなく、数少ない花が季節を忘れないで咲いてくれるのだ。

 出かけてみれば、思いがかなったのかきれいに希少種が咲いていた。京都府では絶滅危惧種、滋賀県では準絶滅危惧種となっている花、それはスイラン(キク科スイラン属)で鮮やかな黄色の花は、あたりに花などなにも見られないこの時期に鮮やかに凛として風に揺れながら立っていた。

 このスイランはランとつくもラン科でなく、歴としたキク科であるのだが、それは細長い葉がシュンランの葉に似ることからランと、また、沼地の畔を好むことからスイランとなったようだ。↑の花を見るとジシバリにそっくりだが、背が倍ほどあり乾いた地でなく湿地に咲き、また時季も春でなく、こちらは秋花なのだ。

     
 まだまだこれからも咲くだろう  写真では見ずらいが葉は細長い 茎は50cm以上あって花は3~4cmと大きい

 もっとも、この花の出会いにやってくる途中にはタンポポと同じような黄色花が咲いていたのだが、こちらは雑草並の外来種ブタナ(キク科)も目にしてきたのだ。両者を初めて見る方ならば「同じやないの・・?」との声になること必死の酷似種も咲いてはいたのだが・・、ちなみに↓がブタナで花だけを見るとタンポポの根生葉ともにそっくりだ。でも、こうして両者の画像をふたつ並べて見ると違いはすぐ分かるような気がするのだが如何だろう。


日の当たる地道によく群落を作って咲くブタナ

 さて、他にも見られた。まずはサワヒヨドリ(キク科フジバカマ属)だ。なお、フジバカマとの相違点は普通、葉が3深裂するのがフジバカマで、サワヒヨドリは普通、葉は単葉で切れ込まないし、またサワヒヨドリと相違しフジバカマは今では自然種はまず見かけない。さらに、よく似るがヒヨドリバナも見られたが、サワヒヨドリよりもこちらのヒヨドリバナの方が個体数は多い。

       
 普通見られるサワヒヨドリの花と茎の中ほどにつく葉の様子 ヒヨドリバナは白花が普通で、まれに赤紫色もある。茎と葉の様子、若干葉の幅は広く見えた・ 

 続いて、わずかにシラヤマギク(↓最初の画像)も見られた。さらに、これまた超珍しく希少種のサワシロギク(キク科シオン属)(↓二番目以降の画像)だが、こちらの花期が8~10月ということでほとんどが終焉となっていたのが残念だった。また、この花の舌状花は白色だが、はじめ白く咲いてしばらくたつと紅紫色に変化するところも面白い。なお、京都府では準絶滅危惧種、滋賀県ではその他重要種の位置づけで、酸性土壌の湿地帯好みのために、そうたやすくどこでも見られる種ではない花だ。

       

 その他の残花と今ごろの果実の様子、そうそう水が干からびた堰堤下流に珍しく、小さな黄色花を咲かすチョウジタデ(アカバナ科)も目に入ったが、そばまで近寄れず残念ながらピンボケだったのが悔やまれる。今後のことを考え咲いてた場所を忘れないでおこう。

       
 ツリガネニンジン(キキョウ科)  センブリ(リンドウ科)  サギソウ(ラン科)実、左垂れ下がりは距の枯れ  カキラン(ラン科)の果実もそろそろ裂開か

 続いて樹木たちを見よう。

 まず、今回の樹木はさすが、湿地帯にやってきているためにそのように湿った地が好きなウメモドキ(モチノキ科)のオンパレードともいえるほど、最初から最後まで方々で赤い実がよく目についた。いろいろな姿を並べてみよう。

   

 普段の山歩きではこのウメモドキはほとんど目にしない。なぜなら、生育地である湿地や湿った落葉広葉樹林内は我がコースに少ないからだろう。このウメモドキは高木にならず、樹木観察向きの樹高2~3mだから花時の6月ころの地味な花が満開時を狙いたいものだ。一方、名前が似るツルメモドキは分布域が大きく異なるので、この湿った山域では見られないのが残念だ。ツルウメモドキは図鑑によれば山野の林縁とあるが、我が経験では比較的乾き気味な山域で見ているのだ。

 次はこの木だ。最初にアッ、これはタンナサワフタギの実だ!、と思ったのだが、それにしては葉が細くスマートに見え、いや、もちろんサワフタギでもないし、それにこの木の高さ4~5mはあろうか、タンナサワフタギでこんなにデカイ木は見たこともない。周りはこの木一本ではなく、たくさん同じような高さで広がっている所でハタと困ってしまった。。
 どうやら暗紫色の紅葉が始まっているようだ。葉を返して見ると葉裏はどれも薄い緑色ばかりだ。葉の姿からハイノキ科は除外として考え出したが、どう考えても名が出ない。仕方ない、帰って調べようと思わざるをえなかったのが残念だった。

     
クロミノニシゴリ(ハイノキ科ハイノキ属) 紅葉時は独特な色あいとなる
     
葉表の紅葉     葉裏は紅葉色にならず、もちろん無毛

 図鑑でもいろいろ調べるも答えが出なく、やむなくネットで尋ねることにした。ところがどうやら関西方面には少なく、東海地方中心だと勝手に思っているクロミノニシゴリ(ハイノキ科)のようだ。特徴はハイノキ科の近縁種は葉裏に毛があるのだが、こちらは脈腋を除いて無毛なので区別ができるとある。
 残念ながら葉裏の毛の様子を見損ねたのは、植物観察のイロハなのに大きなチョンボだった。それにサワフタギに似るクロミノサワフタギもあるようだが、こちらの裏面は軟毛があって白色を帯び、さらに樹皮にはこの種だけがサクラのように横に裂けることから、このポイントも忘れず次回の宿題としたい。結論として一応、この木はクロミノニシゴリではないのかと同定しておこう。
 それにしても、この紅葉の色には驚愕ものであった。なぜなら、暗紫色の紅葉はこれまで南アの北岳でヤマウドの暗紫色に出会った以外に経験はなく、この点で木の前にしばし佇み動転したものであったのも答えを探せなかった原因ではなかろうか。

 まだまだ湿原性の樹木たちはいるのだ。

       
 サルマメ(ユリ科)花期5月雌雄異株 ヘビノボラズ(メギ科)花期5月  ガンピ(ジンチョウゲ科)花期5~6月互生  イソノキ(クロウメモドキ科)花期5~6月

 他に目についた果実

   
 サカキ(ツバキ科)の果実との出会いは少ない アオハダ(モチノキ科)短枝発達が特徴 

 野蝶等、他にも2種見たが、飛んでばかりで写真は撮れなかった。なお、ホタルガの幼虫はクロミノニシゴリやサワフタギというハイノキ科の樹木葉だけを糧に成長するとのこと。左の2頭はヒヨドリバナで同時に吸蜜中を撮ったもの

     
 ツマグロヒョウモン(タテハチョウ科)♂  メスグロヒョウモン(タテハチョウ科)♀ ホタルガ(マダラガ科)飛ぶと白線がきれい ♂

 この山域へは季節を変えて、いや月毎の訪問が必要のようだ。さぁ、来春からまたまた忙しくなりそうな予感がしないでもない・・

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