京都西山’15.1015 晴
今年も妖精のような可愛さで知られるジンジソウ(ユキノシタ科)が無事に咲いただろうかとポンポン山へ登ってきた。それにしても本年の10月は現在までほとんど晴続きで山好きにとってはうれしい悲鳴が続いている。まさか、好天続きでその花はもう終わっていることになってはいないだろうかとの心配をよそに、どうにか三株の内一株だけがほぼ満開で咲き残っていてくれていたのだ。でも、よくよく見ると雄しべ10個の先の橙黄色に見える葯が揃ってつく、きれいなものが見られなかったのが惜しい。
このように当地でのジンジソウは至って希少な植物となっている。その主たる原因は鹿の食害だろう。なんとかその害獣防止柵設置によって当分は安心となっているのだが、金網の間にデジを差し入れ無理矢理に撮るしか仕方ない状態であり、このありさまは極めて悲しい。
さて、次のお目当てであったキッコウハグマ(キク科)がもう咲いてくれただろうかと訪ねた。しかし、こちらは白い花の開花が見られず、ようやく閉鎖花が一輪咲いていただけで、白い花の開放花はついていなかった。キッコウハグマの花のメカニズムなるものを調べてみると、閉鎖花で知られるもう一つの花のセンボンヤリ(キク科)は春頃に開放花が多く見られるのだ。そして、センボンヤリの花は今度は秋頃に閉鎖花で話題となるのだが、春に花を多く見ているから秋に閉鎖花を見てもそう気にはならない。
しかし、こちらのキッコウハグマはセンボンヤリとはどうやら様子が違う。キッコウハグマはほとんどが閉鎖花で、白く咲いて花弁先がスクリュウのような姿の開放花が見られるのは極マレな状態のようなために植物を気にする者にとっては食傷気味な種であろう。今一度、撮った写真↓画像右端を改めてチエックしてみると、ここの個体はどうやら閉鎖花ばかりのようで、細っぽいものばかりだったがしばらく観察を続けてみよう。ちなみに白い花の開放花の蕾はやや膨らむ丸っぽさがあるものだといわれる。
冠毛が目立つ閉鎖花 | 葉は5角形というがこの個体は丸みあり | 蕾はこのように細く、丸っぽい開放花の蕾ではない |
その他の秋花や果実等もいろいろ見られた。
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ノコンギク(以下上段キク科) | シラヤマギク | ナルトサワギク | コウヤボウキ | オカダイコン |
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レモンエゴマ(シソ科) | ナギナタコウジュ(シソ科) | マルバルコウ(ヒルガオ科) | マメアサガオ(ヒルガオ科) | ヒヨドリジョウゴ実(ナス科) |
下山後帰りの電車の軌道沿いの法面にはヒルガオ科サツマイモ属の仲間たちが丁度満開だった。この季節は菊や朝顔の姿の外来種の季節だが、他にホシアサガオ、マルバアサガオなどやヒルガオ属のセイヨウヒルガオなども咲いていたが、金網の中で遠くて撮れなかった。これら朝顔に似る花たちはほとんどが、熱帯から亜熱帯が原産地の中心の帰化植物であろう。なお、上段のナルトサワギクもアフリカ南部の原産である。
山野草以外に樹木の果実等についても目についたものを取りあげよう。
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クロソヨゴ(モチノキ科) | ツリバナ(ニシキギ科) | ヤブムラサキ(クマツヅラ科) | ムラサキシキブ(クマツヅラ科) | ケンポナシ(クロウメモドキ科) |
上段画像の中で最後のみ葉の裏表を撮ったのだが、この種は極めて珍しいケンポナシという樹木であることから、落葉を見つけたので取り上げたものである。なぜなら、普段は高木にまで成長してからでないと花や実をつけないため、花や果実に直接触ったり目の前で見たりするのが容易ではない種なのだ。葉だけでなく果実もたまに落下しているものに出会うことはあるが、こちらはまだその時期ではなさそうだった。特に近縁種のケケンポナシとの相違点もおもしろいが、その区分点も簡単ではないだろう。とにかく興味わく樹木であるのは間違いない。